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いずれも名勝負となった4年目、地方競馬の歴史を刻む血統が活躍
ダービーウイークは今年で4年目を迎えたが、年を追うごとに、ファンの間にも、関係者の間にも、確実に浸透してきているということが感じられた。
今年、ウェブハロンでの取材は、順次記事がアップされたように、佐賀、門別、大井、姫路は私、斎藤修が担当し、盛岡、名古屋は赤見千尋さんが担当したことをまずお断りしておく。
安っぽい表現になるが、今年はほんとうにどのレースもいいレースだったというのが全体を通しての感想だ。これは私ひとりだけの感想ではなく、行く先々、そしてネットやCS放送でレースを見た人たち、多くから聞かれた言葉だ。
九州ダービー栄城賞は、九州では敵なしのギオンゴールドと、高知から遠征のグランシングが直線を向いて一騎打ち。最後はギオンゴールドが突き放した。
岩手ダービーダイヤモンドカップは、阿久利黒賞で接戦を演じた2頭が再び叩き合い。マヨノエンゼルがわずかハナ差先着して、岩手ダート3歳二冠を制した。
門別グランシャリオナイターで行われた北海優駿(ダービー)は、上位人気4頭が4コーナーで横一線の見せ場。そして直線は1、2番人気の叩き合いとなり、一旦は先頭に立った断然人気のフーガをアラベスクシーズが差し切ってアタマ差で勝利。
2強対決と言われた東京ダービーは、たしかに直線半ばまでは2頭のマッチレースになるかと思われたが、ゴール前、大外一気でサイレントスタメンが鮮やかに差し切った。
初めて姫路競馬場で行われた兵庫ダービーは、断然人気のカラテチョップが出遅れながらも直線堂々と抜け出し、追ってきたキヨミラクルを半馬身差で振り切った。一冠目の菊水賞と同じワンツーで、カラテチョップは二冠達成となった。
残念ながら雨中の不良馬場となった東海ダービーは、向正面から徐々に後続を引き離したダイナマイトボディが直線も独走で圧勝。2着にトウホクビジンが入り、牝馬のワンツーとなった。
なかにはいくつか感動的なレースがあった。
東京ダービー初制覇となった金子正彦騎手は、デビュー30年目、46歳のベテラン。レース後、本人が喜んでいたのも印象的だったが、驚いたのはファンの反応だ。断然人気の2強がともに連対を外したにもかかわらず、表彰式では金子騎手の名前がコールされると、ファンは大歓声で応えた。大井には今やJpnIのジャパンダートダービーがあり、格的にも賞金でもそちらのほうが上だが、伝統の「ダービー」はやはり特別なタイトルなのだと実感させられた。
東海ダービーで大きなガッツポーズが出た倉地学騎手は、「ダービージョッキーになるために騎手になった」とのこと。デビュー22年目、39歳にしてその夢が現実のものとなった。
各ダービーの勝ち馬の父馬名を一覧にしてみる。
ギオンゴールド:ゴールドヘイロー
マヨノエンゼル:キャプテンスティーヴ
アラベスクシーズ:カコイーシーズ
サイレントスタメン:レギュラーメンバー
カラテチョップ:スキャン
ダイナマイトボディ:レギュラーメンバー
中央の重賞ではあまりメジャーではない種牡馬ばかりだが、地方競馬では多くの活躍馬を出している代表的な種牡馬がズラリと並んだ。
ゴールドヘイローは、昨年のホッカイドウ競馬2歳戦線で次から次へと勝ち馬を送り出して注目を集めた。
カコイーシーズは、帝王賞のコンサートボーイ、川崎記念のエスプリシーズなど、地方所属馬からダートグレード勝ち馬を何頭も送り出している。また、昨年はノーブルシーズが金沢三冠馬となった。
スキャンは、地方・中央を問わず、ダートでの活躍馬をコンスタントに輩出している。
そして今年2頭のダービー馬を送り出すことになったのがレギュラーメンバー。牝馬ながら南関東三冠を制し、東京大賞典まで制したロジータの血を引き、自身はダービーグランプリ、川崎記念、それに第1回JBCクラシックの覇者となった。まさに地方競馬の歴史を刻んできた血統ともいえる。ダイナマイトボディはこの後は未定とのことだが、サイレントスタメンには中央馬を相手にジャパンダートダービーJpnI制覇の期待もかかる。
最後に売上面について触れておきたい。これまで4年間の各ダービー当該レースの売上げは別表のとおり。
年 |
佐賀 |
岩手 |
北海道 |
大井 |
兵庫 |
名古屋 |
06 |
42,761,900 |
68,942,300 |
69,463,800 |
576,502,900 |
95,993,900 |
59,740,700 |
07 |
45,939,000 |
58,080,400 |
72,235,300 |
678,252,500 |
105,352,600 |
71,532,000 |
08 |
48,518,500 |
55,420,900 |
72,296,500 |
677,048,000 |
97,264,200 |
72,165,500 |
09 |
42,694,900 |
61,762,000 |
62,921,600 |
678,074,000 |
83,941,200 |
59,020,700 |
残念ながら、佐賀、北海道、兵庫、名古屋の4レースで過去最低となってしまった。
佐賀競馬場では毎年JRAGIの場外発売が行われ、06、07年は安田記念、08、09年は日本ダービーの開催と重なっている。昨年までは16:15の発走だったが、今年は最終レースとして16:50の発走となった。大井がナイター開催のため、南関東場外発売での売上を期待しての繰り下げだったようだが、残念ながらその効果はあまりなかったのかもしれない。
北海道は、06年が札幌の昼間開催、07、08年が旭川ナイターで、初めての門別ナイターとなった今年、最低の売上げとなったのは残念だが、過去最低の9頭立てが影響したように思う。
兵庫は、開催のほとんどが行われている園田ではなく、今年初めて姫路競馬場での開催となったことが影響したのかどうか。
名古屋は、本場の大雨に加え、大井開催中の関東地方でも雨だったことが影響したのかもしれない。
これらに対して、岩手は前年比111.4%の大幅アップ。06、07年は日曜日の開催で、昨年月曜開催に替って落ち込んだが、今年も引き続き月曜開催にもかかわらず、かなり持ち直した。
大井はここ3年、ほぼ横ばいとなっている。
全体で見ると、佐賀、北海道、兵庫、名古屋は、07、08年が好調で、1年目と4年目の今年があまりよくないという共通した傾向を示しているのは興味深い。ということは、兵庫が姫路での開催になったこと、名古屋が雨だったことは、売上減の直接的な原因ではなかった可能性も考えられる。
ちなみに岩手だけはこれらとまったく逆で、07、08年に落ち込み、1年目と今年の売上げが好調だった。
とはいうものの、ダービーウイークの全レースがほぼ全国発売に近い形での広域発売が行われているだけに、各競馬場で行われている地区重賞の売上げと比較すれば、かなりの売上げを記録していることは間違いない。
JBCとともに、ファンの間では地方競馬のビッグイベントとして完全に定着した感のあるダービーウイークだが、今後さらなる発展のためには、新規ファンの獲得はもとより、中央競馬オンリーのファンに目を向けてもらうこともひとつの課題となるのではないだろうか。
文:斎藤修
写真:NAR・いちかんぽ
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