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2009年6月24日(水) 大井競馬場 2000m

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直線一瞬で抜け出し完勝、GI最多勝争いに向け完全復活

 首都圏は午前中に大雨があり、天候や馬場状態が心配された。しかし上半期をしめくくる大一番を空のほうでも気遣ってくれたのか、午後には陽が差してきた。夏を感じさせる大井のトゥインクル開催特有の蒸し暑さとなったが、午前中の荒天を思えば、これ以上望むものはない。馬場状態の発表は不良。たしかにかなり湿ってはいたが、水が浮くほどではないくらいに回復していた。
 単勝1.6倍の圧倒的人気に支持されたヴァーミリアンだが、昨年のJBCクラシックJpnI(園田)以降勝ち星から遠ざかり、ここは4カ月ぶりの実戦で不安がないわけでない。このレース連覇がかかるフリオーソも、3.2倍で2番人気となったが、前走のかしわ記念JpnIではエスポワールシチーから1秒3も離される5着。
 しかし、やはりと言おうか、両馬ともにもっとも力を発揮できる大井2000メートルの舞台でもあり、人気どおり2頭での決着となった。
 デビュー戦以来久々のコンビとなった石崎隆之騎手のアジュディミツオーが果敢に逃げ、レースが始まった。やや離れてフリオーソが2番手、ヴァーミリアンがぴたりと直後につけ、3番人気のアロンダイト以下の有力馬が一団で続いた。
 3コーナーを回ってアジュディミツオーが後退すると、人気2頭が馬体を併せて一騎打ち。しかしそう思えたのも一瞬で、追い出しにかかっていたフリオーソに対し、ヴァーミリアンの武豊騎手は手綱を押さえたまま。手ごたえの差は歴然だった。直線、見せムチのみでフリオーソを突き放し、それでも実際にはムチを1、2発入れただろうか、3馬身差をつける完勝となった。
 フリオーソから5馬身離れた3着に、一昨年の覇者ボンネビルレコード。そして前走東海ステークスGII(2着)で復活のきざしを見せたアロンダイトが4着で、GI(JpnI)タイトルのある実績馬が上位を占める順当な結果となった。
 石坂正調教師は昨秋以降の惜敗を振り返り、「ヴァーミリアンはあんなもんじゃないと思っていたので、そのとおりのレースをしてくれた」と力強く語った。これでGI(JpnI)7勝。現役馬ではブルーコンコルド、カネヒキリの国内GI(JpnI)最多勝記録に並んだ。夏は休んで、秋は昨年と同じ路線でJBCクラシックから、とのこと。
 GI(JpnI)8勝の新記録を賭けた戦いは、大いに盛り上がりそうだ。と同時に、フリオーソはあらためてGI(JpnI)4年連続勝利を賭けて秋に臨むことになる。

 
武豊騎手
 去年の暮れから勝利から遠ざかっていて、復活してほしいと思っていたのですが、ヴァーミリアンらしい走りができました。スタートがすごくよかったので、いいポジションでレースができました。馬はすごく若く感じますし、まだまだ活躍してくれると思います。 
 
石坂正調教師
 勝ちたいと思って連れてきたので、そのとおり勝ってくれたのでうれしい。年をとったという印象はありませんし、若いころと違ってゲートもうまく出て、むしろ競馬が上手になった。3コーナーで持ったままだったので、勝てると思いました。

 
 

 

 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(宮原政典、森澤志津雄)、NAR