中央の実績馬がレコードで完勝、期待の地方馬も善戦
新装門別競馬場のナイターで行われる初めてのダートグレードとなった北海道スプリントカップJpnIIIには、2頭の出走取消を除く12頭が出走。季節は初夏にも関わらず、この日の門別競馬場は冬を思わせるような寒さで、多くの観客が厚手の防寒着を身にまとっていた。
単勝1.6倍という圧倒的な支持を集めたのが、JRAの7歳馬ヴァンクルタテヤマ。昨年、重賞初挑戦となったプロキオンステークスJpnIIIで勝利を上げると、続く佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIも優勝。今年に入ってからの勝ち鞍はないものの、前走の栗東ステークスで2着と復活の兆しを見せ、このレースに向けて早い時期から札幌競馬場に入厩して調整されるなど、陣営は勝利への高い意欲を見せていた。
しかし、そのヴァンクルタテヤマのハナを叩く形で、川崎のスパロービートが先手を奪った。
「スタート後に速い馬が目に入った」とヴァンクルタテヤマに騎乗していた藤田伸二騎手をも驚かせたスパロービートは、通算9勝のうち8勝をダート1000メートルの条件で挙げている名うての快足馬。このレースでも2番人気の支持を集めたことが示すように、北海道スプリントカップはこの馬のためにあるような絶好の舞台だった。
「他に前に行ける馬がいるなら番手の競馬も考えていましたが、スタートが良かっただけに逃げることを決めました」という戸崎圭太騎手の腹を決めた騎乗もあり、ハイペースで流れたレースは隊列が乱れることなく直線へと入った。00年のオースミダイナー以来遠ざかっている地方所属馬の優勝を期待する満員のスタンドからはどよめきも起こったが、2番手で力を温存していたヴァンクルタテヤマが馬体を併せる間もなく一気に抜き去り、完勝のゴールとなった。
その後、スパロービートは後方から追い上げてきたJRAのガブリンにも交わされ、レコードタイムで駆け抜けた勝ち馬から0秒5差の3着に敗れた。
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藤田伸二騎手 | | |
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「力をつけていることは間違いありません」と悔しそうな表情を浮かべた戸崎騎手だったが、記者からの「また北海道スプリントカップに参戦したいですか」との問いには「来年も来たいです」と力強く答えていた。
地元ホッカイドウ競馬勢が苦戦を強いられるなか、高知のポートジェネラルが5着に入着。鞍上の赤岡修次騎手は、「スパロービートがハナを奪ったことで、自分の馬も走りやすい流れとなりました」と、馬の力を出し切れたレースに納得したような表情だった。
今年も地方所属馬の優勝とはならなかったが、スパロービートとポートジェネラルは今後の可能性を充分に感じさせてくれた。そこにホッカイドウ競馬勢の奮起も加わってくれば、歓喜の瞬間はそれほど遠い日のことではなさそうだ。
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