好位から抜け出す理想の展開、古豪9歳牝馬が重賞10勝目
これまで4月に行われてきたマリーンカップJpnIIIがこの時期に移設され、牝馬ダート戦線でおなじみとなった顔ぶれが2月のエンプレス杯JpnII以来、久々に顔を揃えた。そこに新興勢力の挑戦などもあり、今後のダート牝馬戦線の勢力図を見極める上でも興味深い一戦を制したのは、9歳のメイショウバトラー。昨年のこのレース以来、久々の勝利となった。
今回もシスターエレキングが好スタートから先頭に立った。ストーリーテリングが2番手に続き、メイショウバトラーは外の3〜4番手、絶好位につけた。3コーナーでシスターエレキングが後退すると、3〜4コーナー中間から直線まで、2頭の叩き合いとなった。最後は古豪メイショウバトラーが、ダートグレード初挑戦となる4歳馬ストーリーテリングを貫禄の違いとばかりに突き放した。
単勝9.7倍とやや伏兵視されたメイショウバトラーだが、終わってみれば今回はこの馬にさまざまな条件が整っていたと言えそうだ。勝ち星から遠ざかっていたとはいえ、昨年のスパーキングレディーカップJpnIII(トーセンジョウオーの2着)の後は、ずっと牡馬一線級との対戦。なかには、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnIであわやブルーコンコルドを振り切るかという好走の2着もあった。今回は牝馬同士の対戦で、ユキチャンやヤマトマリオンより軽い54キロは恵まれていた。「(外の)枠もよかったし、2〜3番手と思っていた、いい位置がとれた」(福永祐一騎手)のは、まさにこの馬の勝ちパターン。1600メートルという距離も、この馬がもっとも得意とするところ。さらに梅雨入り前のここ数日、最高気温が25度超えるような日が続いていたことも、06、07年と夏場に連戦連勝の快進撃を見せたこの馬にとってはプラスに働いたことだろう。
最後に突き放されたとはいえ2着のストーリーテリングは、まだこれがキャリア11戦。1400メートル以下のダート短距離でオープンまで勝ち上がってきたが、今回マイルの距離をこなしたことで、さらに活躍の場が広がりそうだ。
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福永祐一騎手 | | |
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1番人気に支持されたヤマトマリオンは、休み明けのプラス9キロは仕上がりきっていなかったのだろうか。向正面から追い通しで、それでも3着を確保したのはこの馬の底力だろう。
そして白毛で注目度抜群のユキチャンは、残念ながら見せ場をつくれず6着。互角のスタートもダッシュがつかず内枠で後方からとなり、メンバー中もっとも重い別定56キロはいかにも厳しかった。
節目の重賞10勝目(ダートグレードは9勝)を挙げたメイショウバトラーだが、「まだまだ今年いっぱいは活躍してくれるのではないかと思います」と、高橋成忠調教師。次走はスパーキングレディーカップJpnIIIとのことで、今後も牝馬のダートグレード戦線を盛り上げてくれそうだ。 |