園田得意の鞍上が見事な騎乗、断然人気馬を完封
スーニに死角はないかに思われた。ダートでは昨年の全日本2歳優駿JpnIを含め5戦全勝。前走の伏竜ステークスでは、3歳のこの時期で59キロという酷量を背負い、届かないだろうと思うような位置からの差し切りを見せられてはなおさらのこと。しかも園田は兵庫ジュニアグランプリJpnIIで経験済みのコース。単勝1.1倍の圧倒的に人気に支持されたのも当然のことだろう。
今回、そのスーニにダートで初めて土をつけたのが、ゴールデンチケットだった。
ゴールデンチケットはすんなりとハナを奪い、予想どおりの先行策。ケイアイテンジン、トップオブピーコイが続き、スーニは好位の4番手を追走。レースは淡々と流れたが、向正面でスーニが仕掛けたところでペースが一気に上がった。
3コーナーでスーニがゴールデンチケットに並びかけると、3番手以下とはみるみるうちに差が開いた。2頭の一騎打ち。直線を向いて、スーニがゴールデンチケットを交わしにかかる、と見ている者の多くが思っていたことだろう。ところが、ゴールデンチケットは最後までスーニに先頭を譲ることなくクビ差で振り切った。
3着のシルクダンディーに1秒8の大差がついていたを考えれば、スーニは十二分に力を発揮したと言えるだろう。
レースのポイントは2つ。まずひとつめは、園田コースを得意とする武豊騎手の好騎乗だ。武騎手は、これがなんと園田のダートグレード9勝目。「スーニに並ばれないように、待つことなく先に仕掛けようと思っていた」という騎乗が見事に奏功した。
もうひとつは、スーニにも死角があったということ。内田博幸騎手によると、実は小回りがあまりよくないとのこと。これまではおそらく力の違いでそれを克服してきたのだろう。今回、3〜4コーナーでゴールデンチケットに完全に並びかけていたものの、4コーナーでわずかに外に膨れ、1馬身ほど置かれてしまった。「4コーナーで膨れたのを最後まで挽回できなかった」と内田騎手は悔しがった。
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武豊騎手 | | |
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ゴールデンチケットは毎日杯GIIIでの2着があり、皐月賞にも出走(11着)したものの、勝ち星はこれで地方のダートでのみ2勝。「芝もダートも走るので、ここを勝って日本ダービーと考えていた」とは、いかにも、地方競馬にも広い視野を持った森秀行調教師の先見の明と言えるだろう。
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