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2009年5月5日(祝火) 船橋競馬場 1600m

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控える競馬は思いどおり、強い4歳世代がJpnI初制覇

 天気予報では弱い雨と伝えられていたが、メインレースが近づくにつれて雨が強くなり、JpnIのかしわ記念は雨中の決戦となった。GI(JpnI)勝ち馬が4頭という好メンバーによる厳しい争いを制したのは、昨年後半、ダートで500万下から一気にオープンまで駆け上がったエスポワールシチーで、これがJpnI初制覇となった。
 有力馬に先行タイプが多く、この雨の重馬場で、まず何が行くのかが注目されたが、今回はJRA三浦皇成騎手が鞍上となったアジュディミツオーが大外枠から気合を入れてハナを奪いに行った。フリオーソは4番手、カネヒキリが5番手に続き、エスポワールシチーは外枠の有力馬を先に行かせて中団を進んだ。
 向正面、エスポワールシチーが早めに進出すると、3〜4コーナーでは抜群の手ごたえで外から一気に先頭に迫った。
 直線を向いて先頭に立っていたのは、道中2番手を追走していたフェラーリピサだったが、エスポワールシチーが残り100メートルでこれを交わして抜け出すと、ゴール前ではカネヒキリが追い込んで来たが3/4馬身差で振り切った。
 今回、エスポワールシチーが控えたのは、佐藤哲三騎手の作戦。前走マーチステークスGIIIを勝ったときの鞍上、松岡正海騎手とともに控える競馬を教えようという研究の成果だったとのこと。エスポワールシチーの陣営にとっては、思い描いていたとおりのレースとなったようだ。
 一方、GI(JpnI)8勝目の日本新記録がかかったカネヒキリにとっては、フェブラリーステークスGIに続き、またも4歳馬によって記録達成を阻まれる結果となった。差し切れなかったとはいえ、ゴール前では伸びていたが、入線後に内田博幸騎手が下馬。左前脚に違和感があったとのことで、厩務員に引かれて検量室前まで戻ってきた。
 今年1月の川崎記念までは、カネヒキリ、ヴァーミリアンという7歳世代がダート路線を席巻していたが、ここに来て4歳世代が一気に台頭してきた。フェブラリーステークス1、2着のサクセスブロッケン、カジノドライヴに、前日のかきつばた記念JpnIIIでダートグレード5連勝を達成したスマートファルコン、そしてエスポワールシチーと、層の厚さでは7歳世代をあっという間に逆転した。
 さて、次なるダートの大一番は帝王賞JpnI。エスポワールシチーは、ここまで使い詰めで来たので、馬の様子を見て帝王賞を使うか、秋まで休ませるか判断するとのこと。カネヒキリはその後検査の結果、残念ながら左第3指骨々折が判明。復帰にはまたしばらくかかりそうだ。
 直線で伸びを欠き5着に敗れたフリオーソは、「ダイオライト記念JpnIIから距離が短くなって馬が戸惑っていた」と戸崎圭太騎手。あらためて距離の延びる帝王賞で巻き返し、4年連続GI(JpnI)制覇を期待したい。

 
佐藤哲三騎手
 前走の松岡(正海騎手)と一緒に研究した成果が、今回の控える形になりました。手ごたえもよくて、思ったようなレースができたし、エスポワールシチーもがんばってくれたと思います。今回は小回りだから下げられたというのもあるし、脚質にも幅が出てきました。 
 
安達昭夫調教師
 位置どりは騎手に任せていました。直線ではカネヒキリも来ていましたが、今回のレースは騎手の好判断だったと思います。ここまで使い詰めで来たし、秋もあるので、このあと帝王賞を使うか、休養するかは、馬の状態を見て決めたいと思います。

 
 


 


 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(三戸森弘康、森澤志津雄)