圧倒的なスピードを見せつけ、ダートグレード5連勝
「きのうはマイネルキッツが天皇賞を勝ったでしょ。ウチもそれに続きたいですね」
とは、スマートファルコンとトーセンブライトの生産牧場である岡田スタッドの岡田将一氏。従兄弟が代表を務めるクラブ法人の所有馬の快挙に続き、岡田一族で重賞連勝を、という思いだった。
しかし大きく違うのはその立場。マイネルキッツは単勝12番人気という伏兵中の伏兵。それに対してスマートファルコンは単勝1.0倍の断然人気。続くトーセンブライトが4.7倍で、3番人気は20倍以上。完全なる一騎打ちムードのなかでのファンファーレとなった。
ゲートが開いて逃げる意欲を見せたのが、地元のキングスゾーン。高知のポートジェネラルも先手を取ろうと試みるが、それ以上に速かったのがスマートファルコンだった。鞍上の岩田康誠騎手が腰をやや浮かしているのに先手が取れてしまう圧倒的なスピード。向正面では逃げたかった2頭が早くも苦しくなるほど、その速さは抜けていた。
観客が唯一歓声をあげたのが、3コーナーでトーセンブライトが外から2番手に進出したところ。その勢いからすると逆転も、という感じのどよめきだったが、それはほんの一瞬のことだった。
そのときのスマートファルコンは息が入った状態の走り。直線入口で岩田騎手が手綱をひとしごきすると、一旦は2馬身まで縮まった両馬の差はみるみるうちに開いていった。しかもムチは使わないまま、最後の数十メートルはむしろ手綱を抑えぎみ。その姿は観客を沈黙させるほどに説得力のあるものだった。
検量室前では、「参りました」という様子のトーセンブライトの加藤征弘調教師が、苦笑いしつつスマートファルコンの小崎憲調教師と握手。後方から3着に追い上げたリミットレスビッドの加用正調教師は「展開は向いたんだけどなあ」とあきらめの表情をみせていた。今のスマートファルコンは、もう誰も手がつけられないところまで来ているのかもしれない。
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岩田康誠騎手 | | |
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「筋繊維から水っぽさが抜けて、強靭になってきました。これは当分、強いですよ」と、岡田氏。
スマートファルコンの半兄は、東京大賞典GIを制してドバイに遠征したワールドクリーク。どのような道を歩んでいくのかはわからないが、いずれ兄が旅したその地に足跡を記すことになるに違いない。
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