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2009年4月29日(祝水) 笠松競馬場 2500m

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軽快な逃げで長丁場を制す、デビューの地で完全復活

 笠松に戻ってきたクインオブクインが完全復活を果たした。
 好スタートからハナを奪うと、道中は、ぐいっ、ぐいっ、と首を決まったテンポで深く下げ、まるでおじぎをしているかのような独特な走法で、後続を引き付けての逃げ。松原義夫調教師によると、こうして遊びながら走れるのが、この馬のいいところなのだそうだ。
 エーシンアクセランにクビ〜半馬身の差でつつかれながらも、勝負どころの2周目向正面でハミを掛けると、頭を少し高く上げて後続を離しにかかった。あとはクインオブクインのひとり舞台。3〜4コーナーではマヤノグレイシーが一気にまくって2番手まで進出してきたが、クインオブクインの倉地学騎手の手ごたえはまだ楽なまま。直線を向いて追い出されると、後続を寄せ付けずに逃げ切った。
 06年のレッドストーンに続いてこのレース2勝目となった倉地騎手は、左手を大きく挙げてガッツポーズ。
 クインオブクインは昨年夏、初めてデビューの地・笠松を離れ、北海道に移籍。ところが4戦して7着が一度あるだけであとは二桁着順と、まったく結果を残せないまま笠松に戻ってきていた。そして復帰3戦目のマーチカップこそミツアキタービンにちぎられて3着だったが、前走のスプリング争覇から連勝。しかもこのオグリキャップ記念は、一昨年、昨年と、2年連続2番人気で惜しくも2着に敗れてたが、7歳になった今年は堂々単勝1.8倍という1番人気での勝利となった。

 
倉地学騎手
 テンションが高い馬で、けっこう行きたがっていたのですが、なだめながら乗りました。2番手くらいと思っていたのですが、スタートがよかったので結果的に逃げることになったのですが、かえってよかったようです。7歳ですが、まだまだ活躍できると思います。 
 
松原義夫調教師
 どこからでもレースができる馬なので、位置取りは気にしていませんでした。暑いのが苦手で、夏場はあまりよくないので、北海道でも結果を残せなかったのでしょう。遊びながら走れるのがこの馬のいいところで、長い距離でもこなしてくれます。

 
 

 松原調教師によると、クインオブクインは夏場はあまりよくないとのこと。なるほど過去の成績を見てみると、3歳時こそ3歳馬限定重賞での2着はあるものの、翌06年はまったく振るわず、07年は休養に充てられていた。おそらくそういう意味での昨夏の北海道移籍だったのだろう。しかしいくら涼しい北海道とはいえ、その効果はまったくなかったということのようだ。
 クインオブクインはこれで重賞8勝目。今回の走りを見る限り、7歳ですでに53戦もしているとはいえ、まだまだ衰えはなさそう。次走は未定とのことだが、地元東海地区だけでなく、各地に遠征して、全国の強豪相手に軽快に逃げる姿をこれからも見せてほしいもの。

取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)