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2010年3月24日(水) 浦和競馬場 1600m

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いよいよスタート! GRANDAME-JAPAN
3歳第1弾は北海道デビュー組


 『ロジータふたたび。』を合言葉にした、世代別牝馬重賞シリーズ『GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)』。その「3歳シーズン」第1弾が南関東牝馬クラシック一冠目・浦和の桜花賞で始まった。
 過去55回の歴史の中で初めて地方全国交流戦として行われ、フルゲート11頭中、他地区枠は2頭。NARグランプリ2009の年度代表馬に輝いた笠松のラブミーチャンが、JRA阪神・フィリーズレビューGII(12着)から中9日での出走を表明して注目を集めたが、熱発のために出走取消。一気に混戦の様相を呈し、コンディションと展開ひとつでどんな結果にもなりそうな難解を極めた。
 冷たい雨が降りしきり、うら若き3歳牝馬たちに試練を与えているかのようだった。いてつくような寒さは桜の季節とは思えぬほどで、馬たちのはく息も白かった。
 しかし、砂上でドラマが展開されている瞬間は、すべてを忘れさせてくれる。
 56代目の桜花賞馬となったのは、真島大輔騎手が手綱を取ったショウリダバンザイ(大井・高岩孝敏厩舎)。オーナーは、エンゼルカロ(99年・JRA函館3歳ステークスGIII)でもお馴染みだった林正夫元調教師。デビューしたホッカイドウ競馬時代は息子の林和弘調教師の元で手掛けられ、素質の高さを見せていた。
 転厩初戦となった前走の準重賞・桃花賞(優勝)後は馬体回復を目指し、馬体重はプラス11キロで447キロ。今回からブリンカーも着用し、「フワフワすると聞いていましたが、ブリンカーも効いていて乗りやすかったですよ。初めて乗る馬だったので様子を見ながら出たなりで競馬をさせようと思っていました」とテン乗りだった真島大輔騎手。
 道中は中団後方から構え、向正面に入ると早めに進出。「逃げていたバックアタックを目標にしていたので、道中の手ごたえも良かったし早めに上がっていきました。最後は夢中で追いました」(真島騎手)。長くいい脚を使って大外から一気に上がっていくと、直線に入ったところでは先頭のバックアタックを交わし、そのまま独走。
 初コースや初左回りを見事克服。脚質的にもゆったり行けた方がいいタイプだけに、小回りの浦和コースよりも広いコースの方が向くと見られていた。二冠目の東京プリンセス賞に向けて好発進。昨年の南関東2歳牝馬チャンピオン・プリマビスティーとの直接対決が楽しみだ。
 ここ数年の南関東牝馬戦線は、中央や北海道からの転厩馬の活躍が非常に目立つ。今年の桜花賞上位組もしかり。そんな傾向を如実に感じた一戦となった。
 『GRANDAME-JAPAN』3歳シーズンは、このあと4月19日の日高賞(水沢・1600メートル)へと続く。

 
真島大輔騎手
  オーナーさんご一家には以前からお世話になっていたので、今はうれしいの一言です。初めての馬場でも物見はしなかったし、競馬も上手で乗りやすい馬でした。マイルから長い距離の方がいいと思いますよ。  
 
高岩孝敏調教師
 
  大きいレースを勝ちたいと思っていたので、重賞を初めて勝つことができてうれしいです。大井の若手調教師たちも頑張っているので負けないように続かないと(笑)。今回は馬体回復がポイントでしたが、この後も減らさないようにしたいです。
 
 

 

 


取材・文:高橋華代子
写真:NAR