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2010年2月21日(日) JRA東京競馬場 ダート1600m

圧倒的な強さでGI・4連勝、ダートの実績馬が上位独占

 今回のフェブラリーステークスGIには、残念ながら地方からの出走はなかったものの、NARグランプリ2009のダートグレード競走特別賞を受賞したエスポワールシチー、昨年末の東京大賞典JpnIを制したサクセスブロッケン、JBCスプリントJpnIを制したスーニ、そしてジャパンカップダートGIのテスタマッタと、ダートGI・JpnIの勝ち馬が4頭出走。
 そしてレースをいっそう興味深いものにしたのは、芝のみで活躍してきた一線級の馬が複数出走してきたこと。
 結果から言えば、ダートGI・JpnIのタイトルホルダーが上位3着までを占め、芝からの転戦組ではローレルゲレイロの7着が最高。かつては芝より一段下に見られていたダートだが、近年のダート路線の充実により、舞台がダートであれば、やはりそのスペシャリストが圧倒的に強いことを示した。
 東京ダート1600メートルのコースは、スタートしてしばらく芝を走ることもあり、スタートダッシュならやはりこの馬、昨年のスプリントチャンピオン、ローレルゲレイロがハナに立った。ダートコースに入ると、断然人気のエスポワールシチーが無理せず2番手。サクセスブロッケンは4番手集団の外、テスタマッタはやや掛かりぎみに内ラチ沿いの中団を追走した。
 そして直線、残り400メートルあたりでエスポワールシチーが楽な手ごたえで単独先頭に立つと、外からサクセスブロッケン、内からテスタマッタも馬群から抜け出してきた。しかしエスポワールシチーは最後まで余裕の手ごたえのまま、追ってきた2頭をまったく寄せつけずにダートグレード5連勝、GI・JpnI・4連勝のゴールを決めた。
 「JCダートより集中を欠いていたけど、想定の範囲でした。先を考えて、目一杯は仕上げていなかった」と佐藤哲三騎手。集中を欠いていた上に、目一杯ではない仕上げで、この勝ち方。昨年のこのレースで4着に敗れて以降、連勝が続いているが、相当に力をつけていることは間違いない。いや、佐藤騎手はこの馬の能力を相当早い時期から見出していたというから、ここに来て力をつけたというより、もともと持っていた潜在能力を十二分に発揮できるようになったと言ったほうが正しいのかもしれない。
 そして「先を考えて」というのは、すでに正式に選出されているドバイワールドカップを意識してのことだろう。昨年秋、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnIを勝ったときから「オールウェザーを走らせてみたい」と語っていたことから、いよいよそれも実現へと向かうことになりそうだ。栗東トレセンのオールウェザーの馬場に一度入れて、すごい走りもしていたそうだ。
 テスタマッタは直線でサクセスブロッケンを交わし、エスポワールシチーから2馬身半差の2着。前走川崎記念JpnIで3着のあと、岩田康誠騎手は「一線級との対戦にメドが立った」と期待を語っていたのだが、まさにそれを証明して見せた。
 サクセスブロッケンは、主戦の内田博幸騎手が年明けの落馬負傷による療養明けの復帰戦。エスポワールシチーを負かすべく早めに進出したが、直線半ばで交わされたテスタマッタに3馬身半差をつけられての3着。しかし4着のケイアイテンジンには5馬身もの差がついていただけに、GI・JpnI勝ちのある上位3頭は、やはりダートでの能力が抜群であるところを見せつける結果となった。
 
 
佐藤哲三騎手
安達昭夫調教師

 

 

 

 冒頭にも書いたとおり、今年は地方からの出走はなかったのだが、メイセイオペラでこのレースを制した菅原勲騎手が来場。最終レースに行われた東京ウインタープレミアムのサブタイトルとしてJRAのWebサイト上で行われた投票で、過去のフェブラリーステークス勝ち馬からメイセイオペラが選ばれたことで招待されたもの。
 菅原騎手は、その最終レース『メイセイオペラメモリアル』の誘導馬に騎乗。表彰式のプレゼンターもつとめた。
 メイセイオペラがフェブラリーステークスを制してから11年。地方所属馬による中央のGI制覇は、いまだそのメイセイオペラ以外には達成されていない。そして今年、NARグランプリ2009の年度代表馬となった笠松のラブミーチャンが、JRA桜花賞挑戦を表明している。もちろんその前に予定している3月14日のフィリーズレビュー(阪神)で出走権利をとらなければならないのだが、期待を持ってその時を待ちたい。

 
メイセイオペラメモリアルのプレゼンターを務めた菅原勲騎手

取材・文:斎藤修
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)