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2009年12月29日(火) 大井競馬場 2000m

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仕掛けを待った鞍上の好判断、叩き合いをハナ差で制しリベンジ

 「帰ってきました!」と、表彰式で元気な声を上げた内田博幸騎手は、今年中央で146勝。武豊騎手に6勝差をつけ、なんと移籍2年目で目標にしていた中央リーディングのタイトルを獲得。そして里帰りともいえる、ここ大井で年末の大一番を制し、飛躍の年を締めくくった。
 直線を向いて、逃げていたフリオーソ、早めに仕掛けたゴールデンチケットをとらえ、ヴァーミリアンが先頭に立った。外からサクセスブロッケンがじわじわと差を詰める。2頭の叩き合いは、最後にグイッとサクセスブロッケンが出たところがゴールだった。
 レースのポイントは向正面。流れが落ち着いたところで、好位のうしろ6番手あたりを追走していたゴールデンチケットが一気に動き、先頭のフリオーソに並びかけた。3コーナーで連られるようにヴァーミリアンも動く。スタート後2番手につけていたサクセスブロッケンは、ここで5〜6番手あたりまで位置取りを下げた。内田騎手の手綱も動いていたため、このまま置かれてしまうのかとも思えたが、そこは大井コースを誰よりもよく知る内田騎手。仕掛けるタイミングを待っていたのだ。
 「3コーナーあたりでルメール騎手と武騎手が動いたんで、ヤバイなという感じはしたんですけど、内田騎手はそこで我慢して、馬の力を信じて、ラストに賭けたという乗り方が見事にはまったという感じですね」と、サクセスブロッケンの藤原英昭調教師も感心しきりだった。
 着差はわずかハナ。今季のJRAでのリーディング争いを再現するかのように、内田騎手が武騎手を接戦の末にしりぞけた。
 サクセスブロッケンはフェブラリーステークスGI以来の勝利。ときにあっさり負けてしまうこともあるが、藤原調教師によると、使いながらよくなっていくタイプなのだそうだ。「南部杯から始動して、ジャパンカップダートを最大目標にしていたんですけど、今回が体調も動きも一番よかったのは確かだったと思います」と。強敵エスポワールシチーを相手にしての、フェブラリーステークスGI連覇が次の最大目標となる。
 地方勢では、3着のロールオブザダイスにアタマ差まで迫ったセレンが光った。4コーナーでは中団の8番手あたり。そこからメンバー中最速となる上がり3ハロン36秒5の末脚で前に迫った。勝ったサクセスブロッケンからはタイムにしてコンマ3秒差。まだグレードタイトルこそないものの、この秋、地方馬では確実に頂点を狙えるところまで急成長を見せた。2010年は、中央勢を真っ向から迎え撃つ存在となることだろう。

 
内田博幸騎手
  このふるさとの大井で、暮れの大一番をいい結果で終われてホッとしています。ゴールデンチケットに3コーナーで先に行かれましたが、手ごたえも十分あったし、直線は長いので、抜けられると思っていました。昨年は悔しい3着で終わってしまったので、今年はこうやってリベンジできてよかったです。 
 
藤原英昭調教師
 
 ヤキモキしたレース内容と結果が続いていたので、最後に決めてくれてうれしいです。最後はヴァーミリアンとの叩き合いで、それを制してくれたので、ほんとうに強いなと思います。状態は常によかったですが、精神的にすごく成長して、それが力となって出たんじゃないかと思います。やっとフェブラリーステークスの覇者として恥じないレースができました。

 
 
 
 
 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、トム岸田、三戸森弘康)、NAR