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2009年11月25日(水) 浦和競馬場 2000m

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3コーナー早め先頭で押し切る、3連勝でダートグレード制覇

 過去10年で地方馬が5勝、連対まで広げると地方馬は11頭。中央勢優位のダートグレード戦線にありながら、地方勢が互角以上に健闘しているのがこの浦和記念JpnII。
 ダートではいまだ連対を外していないスマートファルコンが当然のように1番人気。未勝利戦からダート5連勝でオープンまで駆け上がってきたエーシンモアオバーとの馬連が1.7倍と人気が集中したが、果たして今年は、驚きの結果となった。
 先行集団の直後5番手を追走していたブルーラッドが向正面で仕掛けると、3コーナーではスマートファルコンを交わして一気に先頭へ。スタンドがどよめく。そして4コーナーをまわるところでは後続に4馬身ほども差をつけた。直線を向いて追ってきたのはルースリンド。スタート後は最後方で、2コーナーでも後方から2番手。そこから徐々に位置取りを上げてきたが、ブルーラッドが2馬身差をつけて振り切った。中央勢の最先着は3着のテスタマッタだった。
 レースのポイントはスタート後にあった。高知の快速馬ポートジェネラルが押してハナに立ち、好スタートのスマートファルコンは2番手に控え折り合うかに見えた。しかし、1周目の3〜4コーナーでは、意外にもスマートファルコンがポートジェネラルを交わして先頭に立った。スマートファルコンの岩田康誠騎手によると、内枠でやや出負けしたエーシンモアオバーが一気に上がってきたときに馬体がぶつかり、完全に掛かってしまったのだと。ポートジェネラルが1周目のゴール板あたりで早くも後退してしまったところを見ると、スマートファルコンが抑えきれずに先頭に立ち、エーシンモアオバーが直後を追走する展開でペースが速くなったようだ。
 たしかにこうした展開のアヤが、中央の人気馬が馬群に沈む一因にはなった。しかし、勝ったブルーラッドの戸崎圭太騎手、2着ルースリンドの石崎隆之騎手が、そうした展開やペースをうまく読んだ結果であることも確かだろう。全国リーディングで新旧のトップを極めた名手の好騎乗ともいえる。
 それでも戸崎騎手はあくまで謙虚だ。「馬主さんや調教師にはうまく乗ったと言われましたが、僕のほうは少し慌ててしまい、3コーナーで先頭に立ったのは仕掛けが早かった。馬の力があったから勝てたようなもの」と。

 
戸崎圭太騎手
 今回は強いメンバーが相手で、胸を借りるつもりでレースに臨みました。スタートは出てくれたんですが、馬がレースを知っているのか行かなかったので、僕のほうが慌ててしまいました。それでも3コーナーで仕掛けたら動いてくれました。前回も乗せてもらって、力をつけているのを感じていました。 
 
足立勝久調教師
 強い馬を相手に勝たせてもらって、興奮しています。ハミをとるのがおかしいような感じだったのが、3コーナーでハミをとってくれました。直線は差されるんじゃないかとヒヤヒヤして見ていました。次走は未定ですが、斤量を背負ってしまう(レースが多い)ので、東京大賞典になるのではないでしょうか。

 

 

 ブルーラッドは、東京ダービー(8着)、黒潮盃(11着)こそ足踏みしたが、その後は戸塚記念、埼玉栄冠賞、そして今回の浦和記念JpnIIと、いずれも後続を寄せつけないレース内容で3連勝。この秋、中央のダート戦線では3歳馬の躍進が際立っているが、その勢いは、地方もまた例外ではなさそうだ。

 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、三戸森弘康)