次元の違いを見せ完勝、目指すは暮れの全日本
エーデルワイス賞JpnIIIを勝利したオノユウが、その時と同じくJRAの武豊騎手を鞍上に据えて出走。牝馬としては01年のフェスティバル以来の戴冠に注目が集まったが、勝ったのは、そのオノユウをブリーダーズゴールドジュニアカップで下していたビッグバンだった。
この日の門別競馬場は、積極的にレースを進めた馬が最後まで残る先行有利の馬場状態。騎手たちもそれを見越していたのか、ゲートが開くとどの馬も積極果敢にレースを進めていくなか、先手を奪ったのはポップコーンだった。内枠の利を生かしてマドモアゼルノンが直後につけ、2番人気のオノユウ、3番人気のモエレエンデバーらが先行集団を形成した。
1番人気のビッグバンは、この日の馬場状態では好位置とは言えない後方5番手を追走。ペースが上がった3コーナー過ぎでオノユウがポジションを下げていくなか、馬群の外を回って追い上げてきたのがビッグバン。インコースを突いて抜け出したブンブイチドウやモエレエンデバーの叩き合いを見ながら楽な手ごたえで先頭に立つと、1頭だけ違う脚いろでその差を広げていく。2着馬とは2馬身差ながらも、力の違いは明らかと言える完勝だった。
2着には外から伸びてきたポシビリテが入り、3着にはブンブイチドウが粘ったことで、ホッカイドウ競馬勢が上位を独占。昨年、JRA所属馬に奪われたタイトルを地元に取り戻しただけでなく、ホッカイドウ競馬所属馬のレベルの高さを見せつける結果となった。
この日、前走よりプラス10キロの馬体重で出走してきたビッグバンは、デビューからの約5カ月で馬体を26キロ増やしたことになる。それでも管理する角川秀樹調教師は、「今回を含め、増えた馬体はすべて成長分となっています。決して太くはないと思っていましたし、むしろ走りに迫力が出てきました」と、ビッグバンの成長力を高く評価する。一方、2番人気の支持を集めながら敗れたオノユウについては、「状態は良かったのですが、牡馬との差が勝負どころで出てしまったようです。うしろの馬が早めに上がってきたことも、この馬にはきつかったかもしれません」と振り返った。
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桑村真明騎手
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これで角川厩舎は鎌倉記念(川崎)のナンテカも含め今シーズン重賞10勝目。このレースでもブンブイチドウが3着に入着したように、特に2歳馬の活躍が目立っている。
「この世代は冬の早い時期から調教を進めることができました。スタッフも一生懸命に仕事をしてくれましたし、何よりもこれだけの素材を預けてくださったオーナーのおかげだと思います」と感謝の言葉を述べる。確かな仕事が結果となって現れた充実の布陣で挑むのは、暮れの大一番、全日本2歳優駿JpnI。
「出走に関しては、ビッグバンを含め、すべての馬がオーナーとの相談となりますが、いい結果を残せるようにしたいです」と話す角川調教師。
先日、北海道を季節外れの寒波が襲ったが、今年のホッカイドウ競馬の2歳戦線を席巻した角川厩舎の馬たちが、年末の南関東でも北の地から嵐を巻き起こしそうだ。
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