1200mでも力の違いをアピール、ホッカイドウ所属馬が3年連続勝利
近年のダートグレードは中央馬の寡占状態が続いているが、エーデルワイス賞JpnIIIはその傾向とは違う結果が出ている。
1998年に創設されてからの過去11年間で、JRA所属馬が5勝、ホッカイドウ競馬所属馬が4勝と、ほぼ互角の成績を残しており、地方他地区の2勝(佐賀、岩手)を加えると、地方所属馬がJRA所属馬の勝利数を上回っているのだ。
特にここ2年は地元ホッカイドウ勢が連覇しているだけでなく、上位を独占。ファンもこの傾向を熟知しているのか、1番人気に支持されたのはここまで7戦4勝の成績を残し、前哨戦となるフローラルカップも優勝したオノユウ。JRAのヒシヴェリタスが2番人気となるも、3、4、5番人気はホッカイドウ勢が占めた。
ペースをつくったのも地元のプリモエナジーだった。スタートダッシュを決めたプリモエナジーは果敢に先頭を奪い、後続に2馬身ほどの差をつけてレースを進めていく。人気のオノユウ、ヒシヴェリタスが好位に構えるも、3コーナーを過ぎたあたりでヒシヴェリタスは徐々にポジションを下げた。
一方、手応え充分のオノユウは、好位置をキープしたまま最後の直線へと入っていく。残り1ハロン手前で鞍上・武豊騎手のゴーサインに反応すると、並ぶ間もなく逃げるプリモエナジーを交わし、その後は手綱を押さえたままでゴール。2着に後方から押し上げてきたクラキンコ、そして後方一気の末脚を見せたプリマビスティーが3着に食い込むも、オノユウとの力の違いは歴然であった。
デビュー以来、最高の馬体重となる532sでの出走となったオノユウであるが、育成当初の馬体重は580sに迫っていたという。しかし、調教とレース経験を積むに連れて馬体も引き締まり、この日のパドックにおける完成度と威圧感は、1頭だけ牡馬が混じっているような印象すらあった。3着のプリマビスティーに騎乗していた服部茂史騎手も、「自分の馬もよく走っているけど、勝った馬は完成度が違った」と、その強さに脱帽していた。
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武豊騎手
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これで3年連続でのホッカイドウ競馬所属馬による優勝、しかも上位独占と地元ファンにとっては最高の結果となった。
そしてなお喜ばしいことは、「10冠ベイビー」ことクラキンコが2着に入ったことではないだろうか。父は北海優駿や道営記念を含む重賞5勝を挙げたクラキングオー、母は北海優駿を含む重賞5勝のクラシャトルという、まさにホッカイドウ競馬の魅力が凝縮されたような血統馬。来年の北海優駿では、父母双方との親子制覇も期待できそうだ。
今後は北海道2歳優駿JpnIIIへの出走が目されているオノユウであるが、心強い援軍が加わった。今回鞍上を務めた武豊騎手が、引き続きオノユウの手綱を取ることに前向きな姿勢を示しているのだ。この日の第10レースでも勝利を収めた武豊騎手は、これで今年ホッカイドウ競馬で7戦4勝。また2着も3回と連対率は100%を記録している。
昨年の北海道2歳優駿JpnIIIでは、JRA所属馬の前に涙を飲んだ地元ホッカイドウ勢だが、今年は武豊騎手という心強いパートナーを手に入れたオノユウを中心に、栄冠を取り戻す公算は高そうだ。
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