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2009年10月12日(祝・月) 盛岡競馬場 ダート1600m

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4歳2強同士の決着も、逃げ切りで4馬身差圧勝

 今年から中央枠が1頭増えて6頭、そのぶんフルゲートも14頭から15頭に拡大されたマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI。ダートGI(JpnI)戦線の秋初戦としては、過去になかったほどハイレベルなメンバーが顔をそろえた。
 注目は、ダート路線世代交代の急先鋒に立つ4歳馬2頭、フェブラリーステークスGIを制して以来の休み明けとなるサクセスブロッケンに、かしわ記念JpnIを制してここに臨むエスポワールシチー。その期待の高さは、2頭の馬連複が1.5倍というオッズにも表れていた。
 レースはやはりこの2頭での決着となったが、明暗は分かれた。エスポワールシチーは、マーチステークスGIII、かしわ記念JpnIと、控える競馬を覚えて連勝してきたが、今回は再びハナを切って完勝ともいえるレース内容での逃げ切り。
 「サクセスブロッケンが行くなら2〜3番手からでもと思っていましたが、行かなかったのでハナに行きました。ただ、2〜3番手よりうしろに下げるつもりもなかったです」と佐藤哲三騎手。相手はサクセスブロッケンただ1頭と見ての作戦だろう。
 対するサクセスブロッケンは、そのエスポワールシチーを前に見る位置でピタリと2番手。しかし4コーナーあたりで勝負が見えてきた。ほとんど持ったままで先行するエスポワールシチーに、サクセスブロッケンは内田博幸騎手が手を動かしながらもじわじわと差を広げられた。
 マイペースで逃げ切ったエスポワールシチーの勝ちタイム1分35秒4は、98年のメイセイオペラのレコードにコンマ3秒と迫るもの。ただメイセイオペラのときは雨上がり後の不良馬場でタイムが出やすい馬場だったのに対し、今回は良馬場だったことを考えれば、その価値の高さがわかろうというもの。
 2着に敗れたサクセスブロッケンは4馬身という決定的な差をつけられた。「4コーナーで並びかけたかったけど、動きが悪く進まなくなったのは、久々のぶんだと思う。折り合いはついていたので」と内田騎手。やはり約8カ月ぶりの休み明けに加え、目標はまだ先にあるということなのだろう。それでもバテることはなく、3着のメイショウバトラーに2馬身半差をつけてのゴールは、この馬の底力を示すものだった。
 そのメイショウバトラーだが、中央6頭の中でもっとも人気薄ながら、牝馬の9歳にして3着という結果には陣営も喜んでいる様子だった。結果次第ではこれで引退も考えていたとのことだが、少々先延ばしとなったようだ。
 南部杯4連覇に加え、GI(JpnI)8勝の日本記録がかかったブルーコンコルドは残念ながら5着。年齢的なものに加え、過去になかった約8カ月半という長期の休養明け、そして何より今もっとも勢いのある4歳の2強が相手では、いかにも厳しかった。

 
佐藤哲三騎手
 太め感もありましたが、いい重量感が出てきました。今日も遊びながら走ってるようなところがありましたが、集中力を持続するように気をつけて乗りました。今日のような勝ち方をしてくれればこれから楽しみです。ベストは左回りの広いコースの1600メートルです。 
 
安達昭夫調教師
 強い馬ばかりの中でよく走ってくれました。今回プラス14キロでしたが、これは休養をはさんで、成長した分です。状態を見てJBCクラシックを使うかどうか、最終目標はジャパンカップダートになります。

 
 

 

 JBCクラシック、ジャパンカップダート、東京大賞典へと続く秋のダートGI(JpnI)路線。勝ったエスポワールシチーはもちろんのこと、負けたとはいえ2着のサクセスブロッケンも、今後さらにレベルの高い争いを見せてくれそうだ。

 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(三戸森弘康、森澤志津雄)、NAR