第1戦 マイスターチャレンジ
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第2戦 ヴィクトリーチャレンジ
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05年デビューの「アフター竹見」世代、川崎生え抜きとして初優勝
8回目を迎える佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ。今年もレースの合間に佐々木竹見元騎手がトークショーや出場騎手紹介セレモニーに登場。集まったファンから大きな声援を受けていたことから、その偉大さが未だに色褪せない存在であることが改めて伺える。そして、8回目という数字は、佐々木竹見元騎手が引退してからそれ以上の年数が経過していることを同時に表している。この間に内田博幸騎手が佐々木竹見元騎手の持つ年間勝利数を更新した後JRAに移籍し、昨年はそのJRAでもリーディングの座に輝くなど、時代も大きく動いた。今年は地元から町田直希騎手が初参戦。町田騎手は佐々木竹見元騎手が引退後にデビューした、いわば「アフター竹見」世代。こういった世代がこのシリーズに出場するということも、時代の流れの象徴と言えるだろう。
第1戦のマイスターチャレンジで町田騎手は単勝1.1倍という断然人気のマイネルリンクに騎乗。昨秋船橋に転入以来4戦4勝。いずれもワンサイドな内容が評価された。
各馬五分のスタートから、そのマイネルリンクが持ち前のスピードを活かして10番枠からあっという間に先手を取り切り、同じように外から切れ込んでこれに続いた横山典弘騎手(JRA)のミステリーゴット以下を引き連れて先行。道中、先行勢の隊列はあまり変わらなかったが、見た目以上に厳しいペースだったようで、勝負どころでは後続も追走に手一杯の様相。結局、マイネルリンクはマイペースながら他馬とのスピードの違いで直線では後続を突き放し、2着に4馬身差をつけて1500メートルを逃げ切った。
主戦の張田京騎手や管理する岡林光浩調教師から「普通に乗れば負けないから」との言葉もあって、「負けられないんで重賞よりも緊張しました」と、町田騎手はレース後に安堵の表情を浮かべた。
2着争いは、一杯になったミステリーゴッドを先に交わした菅原勲騎手(岩手)のビッグバンオーレに、内から繁田健一騎手(浦和)のトーホウヘルメス、外から赤岡修次騎手(高知)のアルゲンティアが同時に迫る大激戦となり、ビッグバンオーレがトーホウヘルメスをアタマ差抑え、さらにハナ差でアルゲンティアという結果となった。
「流れが速いと思ったんでじっくり行ったんだけどなぁ」。レース後に鞍の手入れをしながら赤岡騎手は苦笑い。その隣から「僕なんかここからどうすればいいんですか」と第1戦が10着だった吉原寛人騎手(金沢)と最下位だった岡部誠騎手(名古屋)。総合優勝賞金は200万円で、3位でも50万円。騎手同士は、さながらコントのような和気あいあいとした雰囲気も、心中はいずれも虎視眈々。「次(第2戦)はどの馬も経験の少ない長い距離だから、うまくやれば面白いかもね」誰ともなく発したその言葉こそ、まさにその心中の表れであったはず。
第2戦、2100メートルのヴィクトリーチャレンジは発走直前に今野忠成騎手(川崎)のマンツーマンが馬体故障で除外。横山騎手のレギュラーヒカルがハナを切り、赤岡騎手のアプストリームがこれに続いた。隊列が決まってペースも落ち着きかけた1周目のスタンド前で、返し馬から気合十分だった的場文男騎手(大井)のオレサマが外から一気にハナを奪うと、レースの流れも少しずつ静から動へ。向正面に入って1番人気、戸崎圭太騎手(大井)のアンハートフェストがレギュラーヒカルを交わして進出。3コーナーで外から山口勲騎手(佐賀)のコスモヴァシュラン、内から木村健騎手(兵庫)のシツジツゴウケンがアンハートフェストに追いつくと、3頭が加速。直線ではアプストリームと4頭が逃げ込みを図るオレサマを追う攻防となった。最後まで勢いが衰えなかったのはシツジツゴウケンとアンハートフェストで、オレサマを交わしての2頭の叩き合いは、終始内で脚を貯めたシツジツゴウケンが最後にクビ差だけ抜け出して1着。オレサマがしぶとく3着に粘った。第1戦で1〜3着だった町田騎手、菅原騎手、繁田騎手の各馬は中団でまとめてなだれ込むような形でゴールとなった。
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総合優勝 町田直希騎手 (川崎) | | |
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総合3位 菅原勲騎手 (岩手) | | |
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着順掲示板に表示されるのは1着から5着まで。1戦目9着だった木村騎手がこの勝利で58点、4着の赤岡騎手が49点となったが、1戦目で1〜3着だった騎手の得点動向がまったく判らない。着順次第では優勝だけでなく準優勝、3位の行方も大きく変わってくる。はっきりしているのは、町田騎手が8着以上なら優勝が確定ということだ。実際に経った時間以上に体感的には長い時間を経て、町田騎手の優勝が決定。第2戦は優勝条件ギリギリの8着だった。準優勝が木村騎手。第2戦を7着として3位となった菅原騎手も、これが8着だったら4位という薄氷の表彰台だった。
町田騎手は本シリーズ初出場で初優勝。これまで川崎所属騎手では第4回に酒井忍騎手が優勝しているが、川崎生え抜き騎手による優勝はこれが初めてのこととなった。思えば東京ダービーも18歳にして初騎乗初制覇(06年ビービートルネード)という快挙を成し遂げており、そういった星の下に生まれているのかもしれない。
「やっぱり川崎の生え抜きが優勝するのは特別だね。特に町田君というのはうれしいね」と上機嫌の佐々木元騎手。デビュー前の地方競馬教養センター当時、廃止によって元々希望していた宇都宮競馬でのデビューを断念、指導に訪れていた佐々木元騎手によって川崎行きを勧められたというエピソードは有名だ。最高の形で恩返しを果たし、今年の佐々木竹見カップジョッキーズグランプリは幕を閉じた。
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