加賀百万石での第一陣は、肌を突き刺す寒さを吹き飛ばす大熱戦!
「DRAMATIC
3」。地方競馬の秋を彩るシリーズの最後を飾るのは、恒例となった「レディースジョッキーズシリーズ(LJS)」。3つの競馬場を巡る全6戦でのポイント争いは、女性騎手が所属していない競馬場としては初めて、金沢競馬場からスタートすることとなった。
しかし北陸の天気は荒れ模様。朝からみぞれ混じりの強い雨が降り、南西からの風も強烈。落雷で北陸本線が一時運転を見合わせた影響で到着が遅れた騎手もおり、開始前から波乱の雰囲気も。ようやく正午前に全員がそろったものの、雨はさらに強烈になり、第4レース後に予定されていた騎手紹介のセレモニーは中止となってしまった。
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ところが競馬の神様は優しかった。第1戦が始まるころに雨が小降りになってきたのだ。しかしながら馬場状態は超のつく不良。前検量後に控え室に戻る騎手が一様に「寒い寒い」と口にしていたほどの厳しい天候は相変わらずだった。
そのなかで始まったLJS金沢ラウンド。パドックではいつもと違う雰囲気を察知したのか多くの馬に落ち着きがなく、各騎手が短い時間のうちにどれだけパートナーと息を合わせられるかも興味あるところだった。また、ある騎手によれば「誰もが勝ちたい気持ちが強いから、先行馬には厳しい流れになりやすい」というこのシリーズ。さらに慣れないコースでのレースは全員が手探り。そうなると、道中の折り合いがもっとも重要となるのかもしれない。
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そんな雰囲気のなか、最高の形で結果を出したのが、第1戦の加賀友禅賞を制した増澤由貴子騎手(JRA)。勢いよく逃げた森井美香騎手(高知)を見る形で2番手につけ、3コーナーでは馬なりで先頭に立っての押し切り勝ち。騎乗したヴィーナスイモンの持ち味を最大限に生かせる流れに導いた。
第1戦の後検量を終えて、馬具の手入れをする出場騎手10名。つい1時間前は再会を喜びつつ談笑していたのに、今はお互いに声もかけないし目も合わさない。体感した馬場の感触と第1戦の内容を振り返り、そして考える。黙々と作業をする姿に、彼女たちのこのシリーズに対する意欲というものが垣間見えた。
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第2戦のイーバンク賞は、好スタートを切った岩永千明騎手(荒尾)のテレパシーが大差の逃げ切り勝ちを披露し、20ポイントを獲得。しかしそのうしろが激戦。LJSの加算ポイントは着順によって細かく設定されていることもあって、とにかくひとつでも順位を上げたいという思いが充満しているのだ。2番手から粘りこみを図る平山真希騎手(浦和)のアジアンティックを目指して、インを回る別府真衣騎手(高知)。増澤騎手も好位から勝ちにいくレース運び。さらにはスタートで挟まれて最後方追走を余儀なくされた池本徳子騎手(福山)の大マクリ。結果的に着差が開いたが、「ひとつでも上を」の気持ちが伝わってくる2着争いだった。
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金沢ラウンド終了時点でトップとなったのは、31ポイントを獲得した増澤騎手。しかし10名中6名が20ポイント以上となっており、今後も順位が激しく変動することは必至。加賀百万石での第一陣を終え、次の舞台は南国土佐。女性騎手たちの激しい争いは、さらにヒートアップしていくことだろう。
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金沢ラウンド 2位 岩永千明騎手(荒尾)
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