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2009年3月29日(日) 帯広競馬場


力勝負なら負けない、史上2頭目の3連覇達成!

 ばんえいの魅力が、馬の持つパワーにあるのなら、最高峰・ばんえい記念を勝つ馬は一番の“力持ち”でなければならない。酷量1トン、昨年ほどではないにせよ馬場水分2.3%の重馬場。真のチャンピオンを決める舞台が、完璧なまでに整った。
 さまざまな意味で、注目はトモエパワーだった。スーパーペガサスに続く史上2頭目のばんえい記念3連覇なるか。それとは反対に、今季21戦して未勝利という現実をどう受け止めるか。期待と不安が交錯した中で、ファンはトモエパワーの力を信頼し、単勝1番人気に支持した。
 果たして、ファンの目は確かだった。最大の難関・第2障害。他馬に先んじて天板に脚をかけたのはトモエパワーとミサイルテンリュウ。ソリをグッと曳き上げ、徐々に馬体が前傾しながら加速していく。2頭が並んだまま障害を下り、終いの脚比べとなったその瞬間、トモエパワーは勝利を手元にたぐり寄せた。ミサイルテンリュウとの末脚勝負、ましてや重量が1トンなら、まず負けない。
 ミサイルテンリュウをジワジワ引き離すと、残り20メートル付近で一度止まったものの、それ以降は独壇場。重馬場と酷量に苦しむ9頭を尻目に、3連覇の金字塔を打ち立てた。
 やはり、ばんえい随一の力持ちはトモエパワーだった。管理する松井浩文調教師によれば、今季未勝利でも決して体調面が悪かったわけではなく、700キロ台のスピードレースや帯広の軽馬場に泣いたとのこと。加えて近走はレースぶりに上向き気配が感じられ、陣営がここ一本に的を絞っていたのも強く感じられた。
 障害3番手から追い込んだカネサブラックが2着となり、松井厩舎のワンツーフィニッシュ。カネサブラックの松田道明騎手は「落ち着いてレースができたし、障害へのアタリもよかった。ただ勝った馬が強かったね」と脱帽。松井調教師も「もう少し馬場が軽かったらカネサブラックにチャンスがあったね。来年はフクイズミも加えた3頭で挑戦するよ」と、早くも来年へ向けて意欲満々だった。

 
西弘美騎手
 第1障害で手こずったので少し焦りましたが、ミサイルテンリュウと並んで下りたところで勝てるかなと思いました。状態も上向いていましたし、馬場が重くなったのもよかったのでしょう。本当に大した馬だと思います。 
 
松井浩文調教師
 今季の不調はナイターや軽い馬場が響いただけで、状態が悪かったわけではありません。昨日の雪が積もらなかったので、力勝負ならこの馬だろうと思っていました。道中も理想通りのレースができましたね。
 
 

 馬場が軽い帯広単独開催となり、これからもスピードが重視されるであろうばんえい競馬。そうした流れの中で、トモエパワーは最高峰3連覇という偉業を成し遂げた。ばんえいの魅力がパワーなら……、トモエパワーは真のチャンピオンであり続ける。

 

取材・文:大貫師男
写真:いちかんぽ


 
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