第1戦 マイスターチャレンジ
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第2戦 ヴィクトリーチャレンジ
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馬の力を確実に引き出し、6度目の出場で初優勝
今年で7回目となる佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ。その出場騎手紹介イベントでは、野太い声援が飛び交う盛り上がり。観客の間にもこの戦いへの期待が大きいことが感じられた。
2レースの獲得ポイントで争われるこのシリーズの第1戦は、1500メートルの『マイスターチャレンジ』。佐々木竹見元騎手の勝負服がデザインされた馬着に身を包んだ誘導馬に続いて本馬場に登場した14頭と14名の騎手は、気合も十分。総合優勝騎手に授与される200万円という賞金は、各騎手にとってかなりのモチベーションとなっているようで、じっくり返し馬をする姿からもその意気込みが伝わってきた。
しかしそれは微妙な流れとなって、各騎手に難題を仕掛けてきた。先手を取った戸崎圭太騎手(大井)のナイスシリアスワンが2コーナーで一気にペースを落とすと、行き脚に待ったをかける後続勢が多数。それもつかの間、バックストレートで再びピッチが上がると、今度は置かれてしまう馬が複数。そんなタフな流れをくぐりぬけて勝ち星を得たのは、3番手で自分のリズムを守り通した内田博幸騎手(JRA)のフェアリーパルだった。そして2着には、後方から徐々に進出していった岡部誠騎手(名古屋)のカズサハイウェイ。ともに周りの流れに惑わされずに馬の力を出し切った騎乗だったといえよう。
第1戦と第2戦の間には、別のレースがひとつはさまっている。そのしばらくの時間に、いま騎乗したレースを振り返って、反省と後悔が入り混じった表情をみせる騎手がいた。ある騎手は「左回りは久しぶり。違和感ありますね」と苦笑い。また、1着=50点から14着=2点まで細かく設定されている得点設定も、一か八かという動きがしにくいという考えにつながっていたのかもしれない。
各騎手がどうすれば好走できるかと頭を悩ませつつ迎えた第2戦『ヴィクトリーチャレンジ』は、さらに難しい舞台設定の2100メートル戦。スローペースになりやすい距離だが、多くの騎手にとっては勝負に出なければ総合上位が望めない。さらに第1戦で不完全燃焼に終わった悔しさ……。それらの思いが、先頭に立つ馬が次々に変わっていくという、出入りの激しい展開となった。その流れのなかで、2周目の3コーナー手前から一気に動いていった吉原寛人騎手(金沢)のヤクモアクティヴが直線入口で先頭に。そこを、道中は中団で溜めていた今野忠成騎手(川崎)のセトノギムレットが、エネルギーを一気に爆発させる形で突き抜けていった。決め手に屈した形のヤクモアクティヴだったが2着は確保。3着にはインで粘った岡部誠騎手のヤマイチカチドキが入り、第1戦で勝利をおさめた内田博幸騎手が4着に流れ込んできた。
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総合優勝 内田博幸騎手 (JRA) | | |
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この結果、総合優勝は内田博幸騎手。2位には2戦ともに善戦した岡部誠騎手が入り、第3位は4位と1ポイント差という明暗で吉原寛人騎手となった。
第2戦終了後、表彰台に乗れなかった騎手たちの多くは「納得できない」という表情をしていた。また、ある騎手は早くも「次こそ」と宣言。再びこの舞台に立つためには地元でしっかりとした成績を挙げなければならないが、『佐々木竹見カップ』は全国のトップジョッキーたちにとって大きなモチベーションのひとつになっていることは間違いなさそうである。
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