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2008年12月23日(祝・火) 名古屋競馬場 2500m

 

鞍上の闘志に応え、実力馬が久々に快走

 まだこれが8回目の名古屋グランプリJpnIIだが、一昨年のヴァーミリアン、昨年のフィールドルージュと、このレースの勝ち馬から後のGIホースをここ2年続けて輩出。歴史が浅いながらも翌年のダート戦線を占う上で重要な位置づけとなりつつある。そういった意味では、JBCクラシックJpnI3着から臨んだジャパンカップダートGIでヴァーミリアンに先着の2着と、この秋の充実ぶりがめざましいメイショウトウコンが断然の支持を集めたのも頷けるところ。別定重量57キロ、春には同じコースの名古屋大賞典JpnIIIを勝利、2500メートルの長丁場と、あらゆる条件が揃い磐石の存在だった。しかし、勝ったのは同じくジャパンカップダートから出走の2番人気ワンダースピードだった。
 センゲンゴローの出走取消で逃げ馬不在となり、好スタートを決めたヤマトマリオンが引っ張るスローペース。ワンダースピードはインの3番手、メイショウトウコンは後方から3番手の位置取りで1周目スタンド前での隊列が決まると、あとはいつメイショウトウコンが進出を開始するかという緊張感が支配する展開となった。2周目2コーナーでそのメイショウトウコンが馬群の外から進出を開始すると、同時に馬群全体の流れもややペースアップ。逃げ込みを図るヤマトマリオンにワンダースピードが接近、4コーナーでは、上がってきたメイショウトウコンも加わって直線の攻防となった。
 一気に前を交わすかに見えたメイショウトウコンに対し、「メイショウ(トウコン)が来るのを待って追い出した」と満を持してワンダースピードの小牧太騎手がゴーサイン。これに応えたワンダースピードがメイショウトウコンを再度2馬身半突き放してゴール。さらに3馬身差が開いて、直前で東川公則騎手に乗り変わったボランタスが3着となった。

 
小牧太騎手
 JCダートは内で包まれてまったく競馬にならなかったので、その雪辱をと思っていました。抜け出すと競馬をやめちゃうところがあるので、ヤマトマリオンが先行してくれたのも良かったです。相手に絞ったメイショウ(トウコン)が来るのを待って追い出して十分間に合うと思ってましたが、今日は完勝でした。 
 
羽月友彦調教師
 間隔は詰まっていましたが、具合はむしろJCダートより良かったぐらいです。いつになく落ち着いていたのが逆に心配になったほどでしたが、勝てるときはこんなもんなんですね。これまで苦手だった小回りを克服できたのも収穫です。来年はもっと頑張って欲しいですね。明けて7歳ですが、まだまだ現役で行きますよ。
 
 

 今シーズンの飛躍が期待されたワンダースピードだったが、ここまで今ひとつ不本意な競馬の連続。前走のジャパンカップダートも終始内で包まれどおしでまったく力が発揮できなかったが、その反省を活かして実力馬が年内最終戦で快走を見せた。昨年も同じ日にJRAのオープン特別を勝利しており、ゲンのいい日なのかもしれない。
 このレースの3日前、小牧太騎手はJRAでのレース中に落馬で負傷。満身創痍の状態ながら不屈の闘志で栄光を掴み取った様は、JRA移籍後、もがきながらも今年ようやっと念願のJRA・GI制覇を果たしたこととどこか通じるものを感じさせる。「この顔で表彰式は恥ずかしいなぁ」と照れくさそう語る小牧騎手の顔の左面には大きなアザ。しかし、恥じるものではない。勝てば勝利の勲章だ。

取材・文:土屋真光
写真:宮原政典


 
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