スタート一息も、地力の違いで差し切る
スタートでスタンドのファンがどよめいた。単勝1・6倍の断然人気となったメイショウトウコンが、ダッシュがつかない感じで出遅れ、ポツンと最後方に取り残されたからだ。
前に行く馬が多く先行争いが注目されたが、キングスゾーンがハナを奪い、2番手にレオカーディナルで、クインオブクインは3番手に控えた。併走するように内にムーンバレイが続き、キクノアロー、アルドラゴン、サカラートなどは中団にひとかたまりとなった。
最後方からの追走となったメイショウトウコンは、2コーナーを回って向正面に入るあたりから徐々に進出。直線を向いて先頭に立っていたアルドラゴンに外から並びかけると、じわじわと前に出て、半馬身差をつけたところがゴールだった。
馬券を買っていたファンにしてみれば、「あっ!」と思うほどの出遅れ。しかし武幸四郎騎手は、「この馬にしたらスタートは出ているほう。あまりスタートがいい馬ではないので」と飄々とした様子で語っていた。
だとすれば、最後方からのそういう展開も折り込みずみだったのだろう。中団の他の中央勢、そして先行する地方の有力馬たちの手ごたえを確認しながらレースを進めると、勝負どころで相手はアルドラゴンと定め、ゴールでは半馬身、測ったように差し切った。
メイショウトウコンは、昨年末の東京大賞典JpnIが離されての3着だったとはいえ、前にいたのが、ヴァーミリアン、フリオーソという昨年のダート戦線で主役を演じた2頭。それだけに、このメンバーでは力が違っていたということだろう。
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武幸四郎騎手 |
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惜しかったのは連覇を狙ったアルドラゴン。昨年は中央所属としての出走で勝利を飾ったが、その後は中央のダートで二桁着順続き。地方のダートに適性がありそうなこと、そして中央に在籍していると地方のダートグレードは除外になる可能性が大きいことなどから、地方(兵庫)へ転厩してきたたのだろう。今回は勝てなかったとはいえ、その選択は間違っていなかったようだ。
今年のJBCは園田競馬場での開催。アルドラゴンには、佐賀記念JpnIIIを制したチャンストウライとともに、兵庫の2枚看板として期待がかかることになる。
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