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中島 秀峰
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『 栄城賞 レース中盤からゴールまで 』

2010.6.4



レースも半ばを過ぎる頃、橙色の帽子を被った男は、又しても後ろを振り向きました。この時、彼の視線の先には、間違いなく桃色の帽子を被った男がいました。そしてメイオウセイの山口勲騎手は、二度目の向正面に入る頃、三番手まで位置を上げました。更にその数秒後、桃色の帽子を被った吉田順治騎手の位置を確認、一気に仕掛けました。

メイオウセイ 山口勲


しかし山口勲騎手の一気の仕掛けにも慌てることなく、ゴールドセントの吉田順治騎手は即座に反応しました。まるで互いが、少し長めの紐で繋がれているかの動きでした。吉田順治騎手は、コースを外に持ち出して、メイオウセイの後方2馬身差で追走します。春の飛燕賞の優勝馬が、荒尾ダービーの優勝馬を追いかける展開になりました。

ゴールドセント 吉田順治


ダンツウォッチの新原健伸騎手は、向正面の左端にある第2コーナー後方ポケット地点でのスタートから、二度目の向正面の中間地点に到るまで、終始一貫ゴールドセントを右斜め前に見ています。そして常にその2馬身差前方には、メイオウセイの姿がありました。当然のように、ダンツウォッチと新原健伸騎手も追撃開始です。

ダンツウォッチ 新原健伸


同じくゴールドセントの後ろ姿を、眼前に置き続けて来たのは、リワードシャンヴルと寺地誠一騎手でした。高知からの遠征馬、荒尾ダービーへの挑戦に続いて、二度目の海峡越えを敢行して臨むリワードシャンヴル。そして今回の鞍上は、寺地誠一騎手。彼の決断には、迷いが全くありませんでした。ゴーサインは、既に出ています。

リワードシャンヴル 寺地誠一


一方でこれらの中段グループとは違い、上位人気馬を気にすることもなく、終始十番手でレース中盤を迎えたのは、ウインクルムと吉留孝司騎手でした。ウインクルムは、古馬達との対戦でも上位争いを繰り返すなど、その末脚には定評があります。ウインクルムの剛脚に吉留孝司騎手の手綱捌き、この組合わせは、最後まで目が離せませんでした。

ウインクルム 吉留孝司


第3コーナーを回る頃、メイオウセイとゴールドセントの両馬は、三番手以降の集団を突き放し始めます。そして直線に向いた時点では、完全に一騎打ちとなりました。果たして、「守るが勝ちか、攻めるが勝ちか」。



1着 メイオウセイ    山口勲
2着 ゴールドセント   吉田順治
3着 リワードシャンヴル 寺地誠一
4着 ウインクルム    吉留孝司
5着 ダンツウォッチ   新原健伸

メイオウセイは、体半分差だけ残して、ゴールドセントの追撃を凌ぎました。相棒を勝利に導こうと、持てる力を出し尽くして闘った、山口勲騎手と吉田順治騎手。いずれも幾多の大舞台を経験してきた、腕自慢の両者です。壮絶な直線の追い比べは、迫力満点でした。さすがに実況席から彼らの表情まで見ることは出来ませんが、もしかすると二人とも、鬼のような形相だったかもしれません。この日の最終レースの出走馬紹介後、表彰式の前に行なわれたインタビューで、山口勲騎手は「最後の直線が、長く感じた」と語りました。追われる立場になっていた山口勲騎手にとっては、やはり「いつもより、ゴールが遠く思えた」ようです。そして逆に、追う立場だった吉田順治騎手は、おそらく「今日だけは、ゴールがもう少し遠くにあって欲しかった」と想ったことでしょう。

ところで両者が、後続集団を突き放した頃。私は、最悪の事態に陥ります。自分で勝手に最後の直線の激しい攻防を想像して、興奮してしまったのです。このため実況放送員として必要な冷静さを欠いた状態になり、場景を表現することに集中出来ていませんでした。そして自分の感情を制御していない愚か者の仕事は、お聴き頂いたとおり不様なものです。申し訳ございませんでした。この場をお借りして、お詫び申し上げます。



メイオウセイの手綱を捌いた山口勲騎手は、九州リーディングジョッキーの地位を不動のものにし始めています。今回もメイオウセイに初めて騎乗しましたが、非の打ち所がありませんでした。私は彼のことを、「任せて安心、ミスターほとんどパーフェクト」と呼んでいます。ただ意外だったのは、数多くの重賞競走の優勝実績に加えて、ダートグレードレースの優勝経験もある山口勲騎手が、栄城賞をこれまで勝っていなかったことでした。彼ほどの名手を以ってしても、このタイトルと出逢うのは、容易なことではなかったようです。

メイオウセイを管理している三小田幸人調教師は、荒尾ダービーに続いて、栄城賞も制しました。いずれのレースも、今回が初めての優勝です。これで「九州三冠」のタイトルのうち二つを、わずか一ヶ月の間に獲得したことになりました。残す一つは、秋に行なわれるロータスクラウン賞です。既にご紹介しましたが、これまで全てを制覇したのは、「王様」と呼ばれたカシノオウサマだけです。メイオウセイには、8年ぶりの九州三冠馬誕生に向けて、順調に成長してくれることを願います。「メイオウセイよ見えるか、あれが九州の星じゃ」。

さて優駿達にとっては、生涯で一度しか経験出来ない重賞競走、栄城賞。多くの試練を乗り越え、戦い抜いた優駿。持てる技術を駆使して、相棒を導いた騎手。万全の態勢を以って、愛馬を送り出した陣営。彼らが栄の国で演じた夢舞台、お楽しみ頂けましたでしょうか。ただ若き優駿達の物語は、まだ始まったばかりです。彼らの挑戦は、これからも続きます。どうぞ皆様、ご声援をよろしくお願いします。それでは北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 栄城賞 パドックからレース序盤まで 』

2010.6.3



風薫る、日曜日の佐賀競馬場。佐賀城の通称である栄城の名を冠した重賞競走、栄城賞が行なわれました。創設以来半世紀余り、幾多の優駿が勝ち名乗りを受けた伝統の一戦です。栄光のゴールを目指して、緑に囲まれた競馬場で繰り広げられる、新たな競馬物語の起承転結。今年も栄城賞は、ダービーウイーク開幕を華やかに飾りました。

佐賀競馬  5月30日(日) 第10競走(16:15発走)
農林水産大臣賞典 第52回 九州ダービー栄城賞(KJ1) 3歳オープン 2000m(晴良)

残念ながら今年は、荒尾からの参戦がありませんでした。また当初予定されていたエンデバーマンボは、疾病のため出走を取り消しています。九州勢は、いずれも地元佐賀の10頭でした。そして高知からの遠征馬1頭は、荒尾ダービーにも挑んだリワードシャンヴル。今月初旬に続いて二度目の海峡越えで、再び九州競馬の重賞競走に臨みます。

穏やかな初夏の日差しの中、下見所で周回を続ける出走馬達。担当委員の周回停止を告げる指示と同時に、待機場所で座っていた騎手達が立ち上がりました。正面を向いて整列、そして騎乗の指示を受けて一礼したあと、相棒のもとに向かいます。厩務員に甘えるような仕草をしていた出走馬も、歩み寄る相棒の目を見て姿勢を正しました。騎手を背にする優駿達は、その時が近づいたことに気付いたでしょう。いよいよ人馬一体、決戦の舞台へ。

  フレーザーハクユウ     セブンワンダー
 
  リワードシャンヴル     ゴールドルミナス
 
  アッレグレット     ケイエムサンクス
 
  ミクロン     ウインクルム
 
  メイオウセイ     ゴールドセント
 
  ダンツウォッチ    
 
ファンファーレのタイトルは、「凛として」。そのトランペットは、「優駿の嘶き」。そしてテーマは、「日を受け輝く優駿達の、勇壮さそして優雅さ、力強さと美しさ」。ついにダービーウイーク2010オリジナル・ファンファーレが、ここ佐賀競馬場で初めて鳴り響きました。優駿達の、夢舞台の幕開けです。

向正面の左端、第2コーナー後方に置かれているゲートの前扉が開きました、大きな遅れはありません。概ね出脚が良かったのは、外枠からスタートした馬達でした。しかし九州においては、「何人たりといえども、キングシャークの行く手を阻むこと罷り成らぬ」という言葉があります。もちろん冗談ですが、ただ出脚は今一つのように見えた最内枠のフレーザーハクユウと鮫島克也騎手が、やや強引とも思える押し上げから、先手を取りに行きました。

  フレーザーハクユウ 鮫島克也

そしてフレーザーハクユウの外に並んで押し上げているのは、セブンワンダーと南谷圭哉騎手でした。同じような出脚から、馬体を接した状態で伸びて来ました。実況席から望む向正面の中間地点辺りでは、南谷圭哉騎手の姿が、鮫島克也騎手に隠れて見えません。どうやら今日も、序盤での二番手確保は、スタート前からの決定事項だったようです。

  セブンワンダー 南谷圭哉

両者の動きに少し戸惑ったのは、ミクロンと西村栄喜騎手でした。外枠の馬達とほぼ互角の出脚だったミクロンは、逃げる形に持ち込もうとしているように見えました。しかし後から追いかけて来たフレーザーハクユウとセブンワンダーの勢いは、それを許しませんでした。若干驚いた表情を浮かべながら、西村栄喜騎手は三番手の位置取りです。

  ミクロン 西村栄喜

最初の3コーナーを回る頃には、馬群が三つから四つに分かれ始めていました。ケイエムサンクスと杉村一樹騎手は、中段の直後を追走しています。ケイエムサンクスの前走は、後方から追い上げる競馬で、古馬達を鮮やかに差し切っての勝利でした。杉村一樹騎手は、中段の馬群の隙間から、上位人気に支持された馬達の姿を見ているようです。

  ケイエムサンクス 杉村一樹

更に後ろ、杉村一樹騎手の背中を離れて見ながら、アッレグレットと倉富隆一郎騎手が続きます。アッレグレットは、前回の開催で初めて、古馬達との戦いを経験しています。序盤から中盤まで後方からのレースでしたが、終盤に鋭い伸びを見せて、最後は上位争いに加わりました。鞍上の倉富隆一郎騎手には、全く慌てている様子は窺えません。

  アッレグレット 倉富隆一郎

かなり縦長になった隊列の最も後ろ、殿を追走しているのは、ゴールドルミナスと真島正徳騎手でした。ゴールドルミナスは、今年既に三つの重賞競走に挑んで、いずれも上位入賞を果しています。前走の荒尾ダービーは、追い込んで3着でした。真島正徳騎手は、先行集団が見えないほど離れた位置取りでしたが、彼女の末脚を信じての騎乗です。

  ゴールドルミナス 真島正徳

下の写真は、一度目のスタンド前です。小さいので見難いでしょうが、橙色の帽子にご注目。4番手の山口勲騎手が、後続集団の動きを確認しています。明らかに振り返って送る視線の先にある物は、桃色の帽子でしょうか。


次の写真も、やはりスタンド前です。1枚目の写真から約10米は進んでいるでしょうか、時間にすれば一瞬ですので、橙色の帽子の騎手は当然まだ後ろを見ています。そして隊列に大きな変化が無いまま、第1コーナーを回ります。


レースも半ばを過ぎる頃、橙色の帽子を被った男は、又しても後ろを振り向きました。





『 制覇 』

2010.5.31



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
全国各地で繰り広げられる、若き優駿達の夢舞台、ダービーウイークが開幕しました。
開幕初日は佐賀競馬、九州ダービー栄城賞、優勝馬を紹介します。

2010.5.30 栄城賞 メイオウセイ


九州ダービー栄城賞、当日の場景は、後日改めてご報告します。
それでは全国の競馬ファンの皆様、6連戦のダービーウイーク、存分にお楽しみ下さい。





『 挑戦 』

2010.5.28



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。待ち焦がれていたその日が、ついに訪れようとしています。いよいよ明後日は、ダービーウイークの開幕初日です。優駿達が、生涯で一度しか経験出来ない大舞台、九州ダービー栄城賞に挑みます。

佐賀競馬  5月30日(日) 第10競走(16:15発走)
農林水産大臣賞典 第52回 九州ダービー栄城賞(KJ1) 3歳オープン 2000m

枠番馬番所属性齢負担重量馬名騎手
佐賀牝354フレーザーハクユウ鮫島克也
佐賀牡356セブンワンダー南谷圭哉
高知牡356リワードシャンヴル寺地誠一
佐賀牝354ゴールドルミナス真島正徳
佐賀牝354アッレグレット倉富隆一郎
佐賀牡356ケイエムサンクス杉村一樹
佐賀牝354ミクロン西村栄喜
佐賀牡356ウインクルム吉留孝司
佐賀牡356エンデバーマンボ小松丈二
10佐賀牡356メイオウセイ山口勲
11佐賀牝354ゴールドセント吉田順治
12佐賀牡356ダンツウォッチ新原健伸

他場からの遠征馬は、高知から1頭。荒尾ダービーにも挑んだリワードシャンヴルは、二度目の海峡越え、再び九州競馬の重賞競走に臨みます。そして今回の鞍上は、兵庫から期間限定で佐賀に所属している、寺地誠一騎手です。

リワードシャンヴル



九州勢は、いずれも地元佐賀の11頭。その中には、九州競馬の重賞競走を勝利している馬達がいます。或いはタイトルを持たないものの、重賞競走の常連と呼べる馬達がいます。加えて実力上位の古馬に揉まれて、確実に成長している馬達がいます。更に鯱の門特別を戦い抜いて、堂々と出走権を手にした馬達がいます。

私に競馬予想の才能が無いことは、既に判明しています。出走馬達の力関係を、全く分析出来ません。ただ九州競馬が誕生して10年余り、九州三冠馬に輝いたのは、王様だけです。そして昨年の九州二冠を獲得したのは、扇の舞姫でした。この流れに沿う注目馬を、1頭だけ挙げさせて頂きます。荒尾ダービーを優勝した、メイオウセイです。

メイオウセイ



ダービーウイーク開幕は、5月30日。グリーンドリーム、サンデー佐賀競馬、九州ダービー栄城賞。いずれの優駿も、多くの試練を乗り越えて、栄の国の夢舞台に挑みます。そして愛馬を送り出す陣営は、万全の態勢を以って、戦いの場に臨みます。それでは全国の競馬ファンの皆様、ダービーウイークを存分にお楽しみ下さい。





『 王様 』

2010.5.26



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。昨日から今日そして明日、ダービーウイーク開幕に向けて、カウントダウンが進みます。待ち遠しく思っていたその日が、もう間もなく訪れようとしています。

さて私だけではないと思いたいのですが、半世紀余りの時を過ごした昨今、何かと過去の話をする場面が多くなってきました。同世代の集まりなどでは、未来に向けた建設的な話題よりも、場が盛り上がります。しかも昔話が始まると、話題が尽きないのです、なかなか終わりません。私の書いた文章を読まれた方は、お察しのことでしょう。今年の栄城賞に直接関連しない話題を、既に二つも取り上げています。まず腕白坊主、そして扇の舞姫。もちろん両馬の活躍は、過去の話ではありません、現在進行形です。敢えて理由を付けて述べれば、今回の栄城賞に登場する優駿達にも、彼や彼女のような全国区の人気者になってほしい、という想いからです。そこで今日の昔話は、私の競馬実況人生において、最も強烈な印象を与えてくれた優駿、王様です。

今から10年前、競馬場間の交流を活性化するため、九州競馬が誕生しました。これにより各競馬場の重賞競走の多くは、九州地区全体に門戸を広げます。優駿達の目標とする舞台が、より大きなものに変わったのです。2000年から2007年まで荒尾ダービーには、九州皐月賞の冠が加えられました。また2001年に栄城賞は、佐賀ダービーから九州ダービーに名称を改めます。そして2004年にロータスクラウン賞として実施時期が少し変わりますが、当時の九州三冠の一角をなしていたのは九州菊花賞でした。九州競馬が誕生して10年余り、これまでの歴史の中で、九州三冠馬に輝いたのは1頭だけです。8年前の九州皐月賞荒尾ダービー、続く九州ダービー栄城賞、更に九州菊花賞。いずれも九州競馬ファンの多くの期待に応えて、全てを制覇した王様、カシノオウサマです。

2002.6.23 栄城賞 カシノオウサマ 北村欣也


その後もカシノオウサマは、九州競馬において数多くの重賞競走を制覇します。更にダートグレード競走では、地元開催のレースに止まらず、積極的に他地区への遠征を行ないました。そして幾度も上位入賞を成し遂げて、九州最強馬の地位を不動のものにします。まさに当時の九州競馬ファンにとって、カシノオウサマの存在は、夢と希望を持たせてくれる王様でした。その活躍ぶりを文章にすると、長くなり過ぎますので、ここでは控えさせて頂きます。カシノオウサマの戦績は、地方競馬情報サイトのデータルームにて、検索することが出来ます。

カシノオウサマ、九州競馬王国を築いて頂戴。これは、あるレースにおける最後の直線半ば、実況中に私が発した言葉です。おそらく競馬実況アナウンサーの多くは、在り来たりのものではない、なにか気の利いた言葉を使って、レースの場景を表現したいと考えています。もちろん文章にして書いたものを、実況中に読み上げるわけではありません。あらかじめ色々な状況を想定して、それらの場面に相応しい言葉を思い浮かべてから、出来るだけ多くのものを頭の中に蓄えておきます。言い換えれば、時として生まれるアナウンサーの名言は、日々の努力の積み重ねと経験の賜物です。そして迷言もまた、同様の過程を経た上で、恥ずかしながら世に放たれてしまうのでした。

ところが私の実況において、ただ一度だけ、上記の過程を経ることなく生まれた言葉があります。柏の王様、九州競馬王国を築いて頂戴。常に突込み所が満載の、私が発した幾多の迷言の中において、群を抜く迷言。それは優駿達が最後の攻防を演じている時に、突然まったく白紙の状態から、私の頭の中に姿を現し、公のもとに晒されてしまった言葉でした。私の四半世紀に及ぶ実況人生において、ただ一度だけの出来事です。このため2002年の九州三冠馬は、今も私の心の中で、王様として君臨し続けています。以上の理由から、私の競馬実況人生において、最も強烈な印象を与えてくれた優駿は、九州競馬ファンに王様と呼ばれ愛された、カシノオウサマです。

さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。
今週の荒尾競馬は、27日・28日の木曜日・金曜日。そして佐賀競馬が、29日・30日の土曜日・日曜日です。
いよいよ5月30日の日曜日は、ダービーウイーク開幕初日、九州ダービー栄城賞です。
それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 九州四国地区交流 』

2010.5.20



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。いよいよダービーウイーク開幕に向けての、カウントダウンが始まりました。おそらく週明けには、九州ダービー栄城賞の出走予定馬が、公式に発表されると思います。そこで今日は、栄城賞に出走する可能性の高い、佐賀競馬の格付上位の3才馬達を紹介します。

今年の3才馬で最上位のB1級は、フレーザーハクユウ1頭だけです。フレーザーハクユウは、昨年の秋に荒尾で行なわれた九州ジュニアグランプリを優勝しています。以下は、馬名そして通算戦績と九州競馬重賞競走成績です。
フレーザーハクユウ 10戦4勝 ジュニアグランプリ1着

フレーザーハクユウ


続くB2級には、5頭が格付されています。そのうち2頭が、今年行なわれた重賞競走のタイトルを既に獲得しました。2月下旬の飛燕賞は、ゴールドセントが優勝。今月上旬の荒尾ダービーは、メイオウセイが優勝しています。
ミクロン       12戦1勝 花吹雪賞7着・飛燕賞9着・ルプランタン賞7着
ゴールドセント   16戦2勝 ジュニアチャンピオン4着・花吹雪賞2着・飛燕賞1着・ルプランタン賞4着
メイオウセイ    14戦4勝 ジュニアチャンピオン3着・飛燕賞5着・荒尾ダービー1着
ブラックガール    9戦1勝 飛燕賞11着
エンデバーマンボ  8戦3勝 ジュニアグランプリ5着・ジュニアチャンピオン2着

ゴールドセント

メイオウセイ


そして現在C1級に格付されているのは、昨年の秋冬と今年の春、いずれも重賞競走を経験している3頭です。
ケイエムサンクス 14戦2勝 ジュニアグランプリ2着・飛燕賞7着
ウインクルム    15戦3勝 ジュニアチャンピオン5着・飛燕賞6着
アッレグレット   12戦2勝 ジュニアチャンピオン8着・ルプランタン賞11着

最後に多くの3才条件馬からは、先日行なわれたステップ競走で優先出走権を手にした、鯱の門特別1着馬セブンワンダーと2着馬ダンツウォッチ。そして今年の重賞競走で上位入賞している、ゴールドルミナスを挙げてみます。
セブンワンダー   7戦4勝
ダンツウォッチ   14戦3勝
ゴールドルミナス 13戦2勝 ジュニアチャンピオン10着・花吹雪賞3着・飛燕賞4着・荒尾ダービー3着

セブンワンダー

ダンツウォッチ

ゴールドルミナス


ここまで九州ダービー栄城賞に出走する可能性が高いと思われる、佐賀競馬の格付上位馬と3才条件馬、合計12頭を紹介しました。ところが栄城賞は、九州四国地区の交流レースです。そして出走枠は、全部で12頭です。私が勝手に名前を挙げた上記の馬達の陣営が、いずれも出走意思を表明するとは決まっていません。しかし当然のことながら荒尾競馬を代表して、何頭か遠征して来るはずです。しかも毎年のように高知競馬からは、海峡を越えて来る馬がいます。どうやら優駿達にとって、生涯で一度しか経験出来ない大舞台への道のりは、想像以上に厳しいようです。

さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。
今週の佐賀競馬は、22日・23日の土曜日・日曜日。
来週の荒尾競馬は、27日・28日の木曜日・金曜日。
そして佐賀競馬が、29日・30日の土曜日・日曜日。
5月30日の日曜日は、ダービーウイーク開幕初日、九州ダービー栄城賞です。
それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 鯱の門を抜け栄城に入る 』

2010.5.19



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。いよいよダービーウイーク開幕まで、あと10日余りとなりました。実はつい最近まで、有力馬をピックアップして九州ダービー栄城賞のレース展望を書いてみよう、と考えていました。ところが現在の九州3才馬の力関係を、全く分析出来ません、申し訳ございませんでした。私に競馬予想の才能は無いことが、今更ながら判明しました。そこで今日の話題は、5月16日の日曜日に佐賀競馬場で実施されました、鯱の門特別です。このレースは、栄城賞への優先出走権をかけた、最後のステップ競走として行なわれました。

ところで栄城というのは、佐賀城の通称です。佐賀城は、江戸時代の初頭に完成した、佐賀藩鍋島氏の居城です。亀甲城、沈み城、葉隠城などとも呼ばれています。残念ながら、幾度も火災に見舞われたため、城の建造物は大半が焼失してしまいました。その中にあって、鯱の門は、国の重要文化財として残っています。以上、私は詳しく知りませんので、簡単な説明しか出来ません。ただ少なくとも、鯱の門と栄城、これらの繋がりは明らかです。そして佐賀で行なわれる競馬の特別競走と重賞競走に、それぞれの名称を持たせた担当者の想いは、一連の流れに沿うものでしょう。栄の国に暮らす、優駿の物語です。鯱の門特別を抜けたら、そこは栄城賞だった。
セブンワンダー ダンツウォッチ


日曜日の佐賀競馬場は快晴、馬場状態も良。当日は風が緩やかで、日差しの中に立っていると、汗ばむぐらいでした。鯱の門特別は、3才1組の11頭立、距離は1750米です。ほとんどの出走メンバーが、特別競走の優勝経験はありません。更に今年行なわれた中距離レースで、勝利実績を持つ馬は1頭だけでした。このステップ競走で、九州ダービー栄城賞への優先出走権を獲得するのは、1着馬と2着馬だけです。九州競馬ファンの視線が、向正面の中間地点に集まります。枠入りは滞りなく終わって、ゲートが開きました、大きな遅れはありません。

先行争いから抜け出したのは、快速自慢の逃げ馬です。最内枠から、見事に先手を取りました。これでは他の先行タイプの馬達も、強引に競りかけることは出来ません。その中にあって、外枠のスタートから押し上げてくる馬が1頭います、セブンワンダーでした。実はこのセブンワンダーと南谷圭哉騎手は、二回前の開催で行なわれた1750米の特別競走を、四番手から動く競馬で大敗しています。しかし続く前走、短距離1400米の特別競走は、二番手から伸びる競馬で圧勝しました。勢いに乗って臨む今回の開催は、二度目の中距離への挑戦です。どうやら今回のレースで前回と同じ戦法を取ることは、陣営にとって当初からの決定事項だったようです。

セブンワンダー 南谷圭哉


セブンワンダーは、逃げ馬の直後の外二番手を追走する状態のまま、序盤から中盤まで大きな動きを見せませんでした。ところが終盤、三番手以降の集団が、先行している両馬に付いて行けません。おそらく南谷圭哉騎手は、最後の直線を迎える手前で勝利を確信した、と私は思います。レースの結果、セブンワンダーにとって二度目の中距離特別は、余裕の勝利でした。前回の1400米そして今回の1750米、特別競走を圧勝での連勝劇、お見事です。

離れた2着争いは、際どいゴールでした。既に重賞競走での上位入賞経験を持つ牝馬と、壮絶な追い比べを演じたのは、ダンツウォッチでした。ダンツウォッチのスタートの出脚は上々でしたが、他の先行馬達が押し上げる展開の中、序盤の位置取りは中団。おそらく新原健伸騎手が、レース前に思い描いていたポジションより、少し後ろになったでしょう。その後も後方集団の一角を構成する形のまま、終盤を迎えます。勝負所から動き始めてからは、上記の牝馬と共に追い上げて、並ぶように最後の直線に入りました。馬体を接したまま、お互い一歩も譲りません。競り合いを制しての2着で、ダービーへの優先出走権を手にしたのは、ダンツウォッチでした。

ダンツウォッチ 新原健伸


鯱の門特別は、優駿にとって生涯で一度しか経験出来ない競走への、出走権をかけた最後の戦いでした。やはり出来ればここを勝って、堂々と臨みたい。仮にここを勝つことが出来なくても、全力で挑みたい。この日の各陣営の願いは一つ、愛馬と共に大舞台へ立つ権利を手にすることでした。そして勝ったセブンワンダー陣営と2着のダンツウォッチ陣営は、胸を張って九州ダービー栄城賞に駒を進めます、ご声援をよろしくお願いします。

さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。今週は、荒尾競馬が21日の金曜日、続いて、佐賀競馬が22日・23日の土曜日・日曜日です。それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 扇の舞姫 』

2010.5.14



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。いよいよダービーウイーク開幕まで、あと半月余りとなりました。どうやら楽しみな大舞台は、待ち遠しく思う気持が強いほど、その日の訪れが近づくのも早いようです。

さて各地の競馬場では、先月から今月にかけて、三冠レースの一角をなす重賞競走が、数多く行なわれています。九州競馬の三冠は、日本で一番早いダービー、荒尾ダービーが第1弾に当たると考えられています。そしてダービーウイークの開幕初日、九州ダービー栄城賞が第2弾に当たります。九州の3才馬は、わずか一ヶ月の間に、三冠のうち二冠を制す機会が与えられています。それは一ヶ月で、ダービー馬の称号を二度も手にすることを意味します。そこで今日の話題は、昨年その偉業を成し遂げた、額に輝く白い扇でおなじみの、舞姫ギオンゴールドです。

2009.5.31 栄城賞

ギオンゴールドの初舞台は、2008年7月5日の佐賀競馬、ルーキーステージ。レース前の評価は3番人気でしたが、結果は2着馬に4馬身の差をつける圧勝でした。その後は、条件戦はもちろん、特別競走でも、そして重賞競走においても、全て1番人気に支持されます。最初の重賞競走は、10月20日の荒尾競馬。デビュー4連勝で挑んだ、九州ジュニアグランプリ。初めて他の競馬場へ遠征した影響でしょうか、なんと体重が前走に比べて14キロも減っています。彼女の関係者は心配そうに見守りましたが、期待に応えて2馬身半差で優勝しました。

2008年の最終戦は、11月23日の佐賀競馬。通算5連勝で臨んだ、九州ジュニアチャンピオン。荒尾への遠征から一ヶ月、今度は体重が20キロも増えていますが、2走前に比べれば6キロ増。多くの人々は、体重が元に戻って良かった、と逆に安心したようです。レースは、先行集団の一角から、勝負所で動いて抜け出す競馬でした。後続を離して最後の直線に入ります、誰もが無敗のチャンピオン誕生と思いました。しかしその時、後方から矢のように追い込んで来る馬がいたのです。九州競馬ファンの悲鳴と歓声の中、彼女はクビ差の2着でした。

2009年の初戦は、お正月の佐賀競馬、古馬との対戦です。初めての古馬戦がB1・B2級、レース前の評価は、期待を込めての3番人気でした。ところが結果は、接戦を制しての勝利です。3才になったばかりの牝馬が、このクラスで勝つのは容易なことではありません。九州競馬ファンそして関係者の多くが、今年の九州3才最強馬は決まったと感じました。その後は3才重賞レースに登場しますが、全て1番人気に支持されます。1月25日の花吹雪賞、2馬身半差の快勝。次は二ヶ月余り休養して、4月5日のル・プランタン賞、6馬身差の圧勝。続いて彼女にとっては二度目の遠征競馬、又しても体重を11キロ減らして挑んだ、5月3日の荒尾ダービー。他馬のアクシデントに翻弄されながらも、1馬身半差の優勝でした。そして5月31日、再び体重を19キロ増やして臨む、九州ダービー栄城賞。ダービーウイーク開幕初日、ファンファーレが快晴の佐賀競馬場に鳴り響きました。

2009.5.31 栄城賞

迫り来る土佐の闘将、突き放す扇の舞姫。大歓声の中、両者が演じた攻防は、九州競馬史に残る名勝負でした。

ギオンゴールドは、一ヶ月の休養後、サマーチャンピオンGVのステップレースに挑戦しました。なんと古馬のオープン馬を相手に逃げ切って、ここでも九州競馬ファンを驚かせますが、再び一ヶ月半の休養に入りました。そして復帰初戦は、荒尾へ遠征しての荒炎賞、六度目の重賞競走制覇を成し遂げます。ところが秋に入って、他の馬達にとっては絶好の競馬シーズンを迎えるあたりから、思うような走りが出来なくなりました。伝え聞いた話ですが、一年前、栄城賞で激闘を演じた愛馬を見ながら、九日俊光調教師が言ったそうです。彼女は、かよわい乙女なんだよ。

2009.9.22 ロータスクラウン賞

扇の舞姫は、全国区の人気者です。私も九州競馬ファンの一人として、次回の予想専門紙のコメント欄には、ギオンゴールド陣営の復活宣言を期待しています。

さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。
今週の佐賀競馬は、15日・16日、土曜日・日曜日です。
16日に、九州ダービー栄城賞への優先出走権をかけた最後のステップ競走、鯱の門特別が行なわれます。
来週の荒尾競馬は、21日、金曜日です。
続いて佐賀競馬が、22日・23日、土曜日・日曜日です。
それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 腕白坊主 』

2010.5.10



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。つい先日、やっと冬物の洋服を、タンスの奥にしまい込むことが出来ました。今年の春のような激しい気温の変動は、半世紀以上の時を過ごした私の身体には、少し刺激が強すぎます。日頃の体調管理の重要さを、改めて痛感しました。自然との闘いは、待ったなし。暦の上では、もう夏です。

さて今日の話題は、今年の九州ダービーに挑戦する優駿達ではありません。既に栄城賞への挑戦を経験し、今や九州競馬を代表すると言われるまでに成長した名馬。腕白&坊主の白い覆面でおなじみの、ワンパクメロです。今月初旬の大型連休期間中、佐賀競馬の開催最終日に行なわれた最上位クラスのレース、A1級の九千部山特別に彼が登場しました。もちろん鞍上は、長い間お互いを相棒として認め合っている、倉富隆一郎騎手です。

ワンパクメロは、2006年6月、九州ダービー栄城賞に出走しています。当時さほど目立つ実績を挙げていなかったことから、レース前の評価は、12頭立の7番人気。ところが結果は、優勝馬に2馬身半差の2着。このレースを見ていた九州競馬ファンにとって、彼の存在は、まさに腕白坊主だったことでしょう。彼が注目を集め始めたのは、ちょうど栄城賞の一年後あたりからです。下位クラスB級のレースを4連勝して臨んだ昇級初戦、上位クラスA級の特別競走を快勝しました。その後3ヶ月の休養に入りますが、休み明けもA級特別を連勝します。そして通算7連勝の勢いそのまま、重賞レースの九州大賞典に挑戦しました。

2007.11.18 九州大賞典

2007年は、九州大賞典と年末のファン選抜中島記念、重賞レースを連勝します。そして2008年は、はがくれ大賞典を優勝、さらに九州大賞典と中島記念の連覇も成し遂げました。かつて栄城賞で九州のファンを泣かせた腕白坊主が、翌年には腕白王子として九州の頂点に立ち、その後ついに九州を代表する腕白王者に成長したわけです。

先週の九千部山特別、ワンパクメロは3ヶ月余りの休養明けでした。彼にとって今年二度目のレースは、6頭立の1800米、少頭数ということでポジション取りは思いのままです。彼の出脚の良さは十分でしたが、他にロケットスタートを見せる快速馬がいました。更に別の先行馬を行かせて、序盤は三番手からの競馬です。折り合いの付いた状態で前との距離を縮めるシーンもありましたが、中盤まで大きなアクションは見せませんでした。

レースの結果は、逃げた杉村一樹騎手が、道中うまく捌いて1着。二番手の山口勲騎手が、あと一歩だけ届かず2着。倉富隆一郎騎手は、勝負所から終盤にかけて激しく手綱を動かしましたが、先行勢に追いすがる形で3着でした。この日は残念ながら、倉富隆一郎騎手の相棒の持ち味、鋭い切れのある末脚を見ることは出来ませんでした。

実は当日の予想専門紙に掲載されていたワンパクメロ陣営の記事に、さほど強気な発言は書かれていませんでした。私は素人ですので、馬体を見ても調子の良し悪しは分かりません。しかし休養明け初戦ながら、実力を付けてきた新興勢力を相手に演じた今回の九千部山特別、彼のレース内容は高く評価したいと思います。

2010.5.5 九千部山特別

白い覆面の腕白坊主は、全国区の人気者です。私も九州競馬ファンの一人として、次回の予想専門紙のコメント欄には、ワンパクメロ陣営の必勝宣言を期待しています。


さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。
今週の佐賀競馬は、15日・16日、土曜日・日曜日です。
16日に、九州ダービー栄城賞への出走権をかけた最後のステップ競走、鯱の門特別が行なわれます。
それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





『 荒尾ダービー 』

2010.5.7



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。超長期大型休暇をお楽しみ中の方々も、そろそろ通常の生活環境に戻る準備をされていることと思います。今年のゴールデンウイーク、お天気に恵まれた地域が多かったようで、有名な観光地などは大変な賑わいだったことでしょう。私の地元でも、あちこちで車が渋滞して、身動きがとれなかったという話を耳にしました。なお私は仕事柄、休日の行楽地へのドライブとは近年ほとんど無縁ですので、実際に遭遇したわけではありません。遅ればせながら、週明けあたりに少し遠出をしてみようかと計画中です。

さて先日のブログでご案内させて頂きましたように、連休中の九州競馬、5月初旬の日程は5日間連続開催でした。初めに荒尾競馬が、土曜日・日曜日。そして佐賀競馬が、祝日の月曜日・火曜日・水曜日に実施されました。おかげさまで、多くの九州競馬ファンの方々にお越し頂きました、ありがとうございます。そこで今日の話題は、5月2日の日曜日、荒尾競馬場で行なわれました荒尾ダービーです。

日本で一番早いダービー、荒尾ダービー。当日は福山ダービーも行なわれましたが、発走時刻の関係上、今年最も早く実施されたのは荒尾ダービーです。出走メンバーは、地元の荒尾勢が8頭、佐賀からは3頭が遠征、そして高知からの挑戦馬が1頭でした。私が個人的に注目したのは、ダイヤアストライア・テイエムアコガレ、一週間前のル・プランタン賞に出走した両馬です。笠松ガールズの大移動つき中5日には及びませんが、連闘で重賞レースに挑戦してきました。

レース前の出走馬の評価は、メイオウセイ・ダイヤアストライアが、ほぼ同じ位の1番人気と2番人気。ゴールドルミナスが3番人気で、佐賀勢が上位に支持されました。高知のリワードシャンヴルは、さほど差のない5番人気でした。

佐賀 メイオウセイ佐賀 ダイヤアストライア
  
佐賀 ゴールドルミナス高知 リワードシャンヴル

荒尾勢の筆頭は、4番人気のテイエムアコガレ。少し離れて、アラバマフォンテン・シゲルオカメノカタが、並んで6番人気と7番人気。アソノビックガールは、10番人気でした。

荒尾 テイエムアコガレ荒尾 アラバマフォンテン
  
荒尾 シゲルオカメノカタ荒尾 アソノビックガール

当日の天候は晴れ、馬場状態も良の発表です。荒尾ダービーのゲートは、向正面に置かれました。向正面の直線、少し2コーナー寄りからのスタートです。ほぼ揃った出足の先行争いから、まずシゲルオカメノカタの尾林幸彦騎手が、迷いなく先手を取りに動きました。アラバマフォンテンの吉留孝司騎手も、勢いよく押し上げて先行集団の一角に加わります。高知のリワードシャンヴルは、ダイヤアストライアと共に、後方集団を構成しました。


荒尾勢がレースの主導権を握った形で、一周目のスタンド前に入りました。メイオウセイ・テイエムアコガレは、先行集団を見ながらレースを進めています。そしてゴールドルミナスの真島正徳騎手と、アソノビックガールの杉村一樹騎手は、終盤の差し足に勝負を賭けているようです。


レースが大きく動き始めたのは、やはり二度目の向正面でした。ここぞと動いたメイオウセイの吉田順治騎手が、先行する荒尾勢をめがけて進出、シゲルオカメノカタ・アラバマフォンテンに取り付き始めます。同時にテイエムアコガレの山口勲騎手が、絶好のポジションから抜け出しを図ります。


ゴールデンウイークの日曜日、絶好の競馬観戦日和です。日本一早いダービー馬の誕生を見届けようと訪れた、多くの九州競馬ファンの歓声に沸きます、荒尾競馬場。最後の直線に入っても、前にいる荒尾勢の脚色は衰えません。尾林幸彦騎手と吉留孝司騎手が、壮絶な追い比べを演じ続けて、直線も半ばを過ぎました。栄光まであと100米、その時ついに吉田順治騎手の相棒が、大外から自慢の末脚を見せつけました。


優勝 佐賀 メイオウセイ    吉田順治
2着 荒尾 アラバマフォンテン 吉留孝司
3着 佐賀 ゴールドルミナス  真島正徳

優勝したメイオウセイは、後続集団に2馬身半差をつけての快勝でした。そして2着から7着までは、まさに大混戦でした。アラバマフォンテン・ゴールドルミナス・シゲルオカメノカタ・テイエムアコガレ・アソノビックガール・ダイヤアストライア、6頭による0.4秒差の激闘に、九州競馬ファンは声を枯らせてしまったことでしょう。

日本で一番早く今年のダービー馬の称号を手にしたのは、メイオウセイでした。三小田幸人調教師は、荒尾ダービー初優勝。手綱をさばいた吉田順治騎手は、三度目の優勝でした。メイオウセイ陣営は、堂々と胸を張って九州ダービー栄城賞に駒を進めます、ご声援をよろしくお願いします。

さて今日も最後に、5月の九州競馬の開催日程をご案内させて頂きます。
荒尾競馬は、今週の土曜日・日曜日、8日・9日の2日間です。
佐賀競馬は、来週の土曜日・日曜日、15日・16日の2日間です。16日は、栄城賞ST鯱の門特別があります。
それでは全国の競馬ファンの皆様、今週も地方競馬でごゆっくりとお楽しみ下さい。





ル・プランタン賞

2010.4.27

さがけいば



北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。この実況アナブログのお話しを頂くまで、自分の書いた文章がネット上で公開されることなど、考えてもいなかった様な古いタイプの男です。今回がブログ初挑戦のアナログ人間ですが、よろしくお願いします。

さて初日の話題はル・プランタン、フランス語で春を意味する言葉です。地方競馬の世代別牝馬重賞シリーズ、グランダム・ジャパン3才シーズン第3戦として実施されました、今年のル・プランタン賞。3才牝馬オープン地方全国交流レースという形で、4月25日の日曜日に佐賀競馬場で行なわれました。出走馬11頭のメンバー構成は、東海地区笠松からの遠征馬4頭に対して、迎える九州地区の代表馬が7頭。九州勢は、地元の佐賀から6頭、そして荒尾からの参戦が1頭でした。
当日の天候は晴れ、馬場状態も良でした。九州競馬ファンの歓声が響くなか、優駿達が熱戦を繰り広げます。レースは終盤戦へと入り、いよいよル・プランタン賞の出走馬達が姿を現しました。

4月19日の月曜日に水沢競馬場で行なわれました、グランダム・ジャパン3才シーズン第2戦の日高賞で、なんと上位を独占した笠松勢。東北みちのくは岩手県から、九州は佐賀県まで、わずか中5日の大移動です。ここ佐賀競馬場を訪れる人々のほとんどが、過去のダートグレード競走で見せてきた、東海地区からの遠征馬達の実力を知っています。九州競馬ファンの視線の多くが、名馬の里の笠松ガールズに向けられました。



笠松 エレーヌ笠松 コロニアルペガサス
  
笠松 プティフルリール笠松 ショートエアリー
  
佐賀 ゴールドセント荒尾 テイエムアコガレ




地方全国交流レースという形で行なわれる今年のル・プランタン賞、昨年までとは違う雰囲気を醸し出しながら、出走馬達は戦いの場に身を移します。目にはまぶしい明るい日差し、肌にはやさしい穏やかな風、絶好の競馬日和です。はたして名馬の里笠松から、更なるスーパーアイドルが誕生するのか。それとも地元のプリンセスが、二つ目の冠を手にすることが出来るのか。あるいは九州から、新たなヒロインが出現するのか。




ル・プランタン賞のゲートは、向正面のほぼ中間地点に置かれました。スタートで少し後手にまわった馬がいたようですが、大きな遅れはありませんでした。まず先行したのは九州勢、その中には2月の飛燕賞を制したゴールドセントと吉田順治騎手の姿がありました。また荒尾から参戦のテイエムアコガレと山口勲騎手も先行集団の一角です。そして笠松勢はというと、いずれも後方集団を構成する形で、九州勢を前に見ながらレースを進めています。先行争いはすぐに落ち着いて、ゆっくりとした流れになって一度目のスタンド前へと入りました。




春の明るい日差しの中、先行集団が一周目のゴール板前を通過して行きます。その時、場内から大きな歓声が上がりました。ピンクの帽子が一つ、前へ前へと押し上げてくるではありませんか。そうです、キングシャークです。1月の花吹雪賞を制したダイヤアストライアと鮫島克也騎手が、ゆるい流れを嫌ったのか、後方集団から抜け出してきました。しかし、全体のペースが大きく変わることはありません。すぐにダイヤアストライアも、ゴールドセントやテイエムアコガレと共に、上位集団の一角に落ち着きました。




レースが大きく動いたのは、二度目の向正面。ここまで後ろの方で我慢していた笠松勢が、ついに進出を始めました。エレーヌと筒井勇介騎手が、じんわりと動いて先行集団に取り付きます。それを追うように、コロニアルペガサスと吉田稔騎手が、ものすごい勢いで後方集団から抜け出します。



これが名馬の里の底力でしょうか、笠松ガールズ恐るべし。

優勝 笠松 エレーヌ      筒井勇介
2着 笠松 コロニアルペガサス 吉田稔
3着 笠松 プティフルリール  真島正徳
4着 佐賀 ゴールドセント   吉田順治
5着 荒尾 テイエムアコガレ  山口勲

地方競馬の世代別牝馬重賞シリーズ、グランダム・ジャパン3才シーズン第3戦として、初めて全国交流レースという形で行なわれた今年のル・プランタン賞。九州競馬ファンの一人である私には、少し刺激が強すぎる結果でした。しかし栄城賞まで、あと一ヶ月余りあります。強力な遠征馬達との対戦は、今日出走した九州ガールズにとって、良い経験となるはずです。これからも、ご声援をよろしくお願いします。そして、ここまでの重賞レースでは少し影が薄かったものの、九州ボーイズのダービーへ向けての逆襲にご期待下さい。

さて今日は最後に、大型連休期間中の九州競馬、5月初旬の開催日程をご案内させて頂きます。まず荒尾競馬が、1日・2日、2日には重賞レースの荒尾ダービーがあります。続いて行なわれます佐賀競馬が、3日・4日・5日、期間中の九州競馬は怒涛の連続開催です。それでは全国の競馬ファンの皆様、大型連休は地方競馬を心行くまでお楽しみ下さい。

中島 秀峰
中島 英峰
(九州ダービー担当)
佐賀競馬場内実況
意気込み:
成行きは、静かに。駆引きは、巧みに。
攻防は、強く。勝敗は、熱く。

協賛JBCsss(順不同)
主催さがけいばみちのくホッカイドウ競馬tck 姫路名古屋(開催日順)