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初夏の地方競馬を盛り上げる「スーパースプリントシリーズ(略称SSS)」がいよいよ開幕!
7年目を迎えた今年も、5つの地方競馬場でトライアルが行われ、船橋競馬場でファイナルを迎える。
レースが施行される競馬場で実施可能な最短距離で争われることから、地方競馬の“超”短距離王決定戦と位置づけられている。本シリーズのコース形態は、ワンターン(コーナー通過が3~4コーナーのみ)で行われるため、
僅か1分にも満たないスピードレースは瞬き厳禁、ゴールまで目が離せない。 -
2011年に創設されたスーパースプリントシリーズの初代王者は、トライアルの名古屋でら馬スプリントと最終戦の習志野きらっとスプリントを勝利したラブミーチャン。トライアルでは終始楽な手応えのまま圧勝。前年のエトワール賞(門別)以来、13カ月ぶりの勝利となった。
迎えた最終戦は、スピード勝負に絶対の自信を持つジーエスライカーとの激しい先手争いが演じられた。
4コーナー過ぎまで互いに先頭を譲らず、勝負は最後の直線となったが、終始外側を回っていたにも関わらず、ラブミーチャンは絶好の手応えで、残り200m地点から抜け出し、2着ジーエスライカーに
1馬身半差を付けての完勝。
上がり最速タイムもマークし、着差以上に強い競馬で文句なしのシリーズ初代王者に輝いた。
なお、ラブミーチャンは、翌年と翌々年も同ローテーションでともに勝利し、なんと3連覇を達成!ラブミーチャンといえば、競馬ファンだけでなく、一般の方にも広く知られている、風水でお馴染みのDr.コパ氏が馬主である。
同氏の代表馬は、フェブラリーSを連覇したコパノリッキーや、高松宮記念馬コパノリチャードが挙げられるが、おそらくラブミーチャンの存在は、前記2頭と同じか、それ以上の存在だったのではないかと思う。そんなラブミーチャンは、通算34戦18勝(獲得賞金2億5千万円程)の実績を残し、2013年のJBC競走を前に引退した。
全国各地へ遠征し、計14場に出走したことも驚きだが、北海道のサマーセールでその素質を見抜き、僅か300万円程で落札された関係者の相馬眼には感服するばかり。また、同馬を語る上では欠かせない、笠松の人気ジョッキー濱口楠彦氏(ラブミーチャンが引退した
1週間後に死去。享年53歳)とのコンビが、人気に拍車をかける要因となったことは言うまでもない。 -
第4回の本シリーズ優勝馬ナイキマドリードは、8歳にしてファイナルの習志野きらっとスプリントを制し、短距離王の称号を手中に収めた。
最上位の実績を誇るものの、夏場に弱く、8歳という高齢、さらに前2走の大敗もあり、ナイキマドリードにとっては“屈辱の”3番人気に甘んじた。レースは、トライアルの川崎スパーキングスプリント優勝馬ユーリカ、名古屋でら馬スプリント優勝馬ワールドエンドなど、快速自慢が集結し、スタートから激しい先行争いが演じられた。
「逃げ」も想定していたというナイキマドリード陣営だったが、ペースが早いと判断した川島正太郎騎手は、無理に行かせず5,6番手を追走。最後の直線で外に持ち出すと、上がり最速タイとなる35.7の末脚で豪快に差し切った。ナイキマドリードの絶対能力と見事なペース配分で好騎乗を魅せた川島正太郎騎手により、最高の結果をもたらした。 -
2015年は、3歳馬ルックスザットキルが本シリーズ5代目王者に輝いた。
アメリカ産の外国産馬である本馬は、父Wildcat Heir同様、ダート短距離戦を得意としており、ファイナルを迎えるまでダート1200mでは7戦6勝、どのレースも圧勝劇の連続であった。ファイナル戦の最大の見どころは、新星ルックスザットキルとそれを迎え撃つ前年のシリーズ覇者ナイキマドリード(9歳)、中央交流戦でも好走しているサトノタイガー(7歳)といった古豪との新旧対決だった。
前者は9歳になった年明け初戦の船橋記念で4連覇の偉業を遂げ、健在ぶりをアピール。
後者は前年のJBCスプリントを2着と好走していた。レースは、川崎スパーキングスプリントの1、2着馬カベルネフランとキョウエイロブストがトライアル同様、激しい逃げ争いを演じる。
3番手に控えたルックスザットキルは、残り200mになったところで、満を持してのスパート。
あっさり先頭に踊り出るとサトノタイガーなどの後続を退け、着差以上の強さを見せた。
斤量差が勝負のカギを握っていたことも勝因の一つだと思うが、スピード能力の絶対値は相当なもの。5歳馬となった現在は休養中(5月時点)だが、復帰が待ち遠しい一頭である。 -
2016年の本シリーズ優勝馬フラットライナーズは、トライアルの川崎スパーキングスプリント制し、ファイナルの習志野きらっとスプリントへと駒を進めた。
デビュー戦こそ1000m(1着)だったが、その後はしばらくマイル路線に出走し、好走と凡走を繰り返していた。昨春以降はスプリント路線へ再びシフトチャンジ。
これが奏功し、昨春からファイナルまで5戦4勝とし、勢いそのまま、見事、本シリーズを制した。優勝を決めた習志野きらっとスプリントは、絶好のスタートを切ったリコーシルエットがハナを奪い、
人気のルックスザットキルとフラットライナーズが2番手争いを演じる。
3コーナー過ぎで先頭に立ったフラットライナーズがアドマイヤサガス、サトノタイガーの猛追を退け優勝。前年の覇者ルックスザットキルは3コーナー付近での不利もあり、早々に脱落し10着となった。
ちなみに、フラットライナーズの勢いは今年に入っても衰えず、1月には南関東競馬重賞レースの船橋記念(1000m)を優勝している。 -
歴代優勝馬を振り返ると、第1回から3年連続でラブミーチャンが3連覇の偉業。第4回は古豪ナイキマドリード、第5回はルックスザットキル、そして昨年はフラットライナーズが栄冠を手中に収めている。
全ての優勝馬に共通しているのは、スピードの絶対値が高いだけでなく、過去に1200m~1400m戦でも強敵相手に好走していること。つまり、単調なスピード一辺倒の馬では頂点に立つことはできない。今年の本シリーズは、盛岡の早池峰(はやちね)スーパースプリントを皮切りに、川崎、名古屋、門別、園田、船橋と各地で行われる。中央交流戦やGIレースは脚光を浴びて話題になることが多い。
しかし、個人的には地方競馬でしか体感できない“超”短距離王決定戦はとても魅力的で興奮度MAXのレースとして、ぜひ現地での観戦をオススメしたい。
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