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第62回のじぎく賞

直線外から一気に差し切る
  成長感じさせる重賞連勝

連日、賑わいを見せた大型連休が終わり、普段の落ち着きを取り戻した園田競馬場。この週末からは“その金ナイター”が始まり、少しずつ夏が近づいていることを感じさせた。

グランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズンはのじぎく賞を終えると、残すは関東オークスJpnIIのみ。それまでにポイント加算を目指したい馬が集まった。

人気は5頭が分け合い、中でも重賞2勝のグラインドアウト(高知)とニジイロハーピー(愛知)が支持を受け、最終的に前者が単勝3.4倍で1番人気、後者は3.5倍の2番人気となった。

レースは好スタートからクライムエンジェル、その外にプリムロゼと地元馬2頭が流れを支配し、スローペースに落ち着いた。ニジイロハーピーは中団イン。1周目スタンド前ではバラライカ(北海道)が行きたがる素振りを見せ、3番手の外まで上がってきた。

向正面に入ってバラライカと大山真吾騎手が追い出すと、呼応するように前2頭もペースアップ。ゆったりした流れから一気のペースアップという園田を象徴するような展開で、地元騎手3名が後続を5馬身ほど離した。

3コーナーで後退したクライムエンジェルに代わってプリムロゼが先頭に立って直線を向き、そのまま押し切るかと思われた。ところが、4コーナーで外に持ち出されたニジイロハーピーがグングンと加速し、ゴール直前で前の2頭を捉えて勝利。半馬身差2着にプリムロゼを交わしたバラライカ。プリムロゼは1馬身1/4差で3着だった。

人気のグラインドアウトは4着。2走前の佐賀・花吹雪賞は水の浮く不良馬場でスイスイと脚を伸ばし2着に8馬身差をつける圧勝だったが、前走のル・プランタン賞は稍重で1馬身差での勝利。赤岡修次騎手は「今日はいい位置につけられましたけど、雨が降ったりして軽い馬場の方が走りがいいですね」と適性の差を挙げた。

2着バラライカはこれまでのレースでもムチを入れられると尻尾を振るなど、気難しさを見せていた馬。初騎乗の大山騎手は「最後も脚は上がっていないんですけど、前の馬を抜きたがりませんでした」と、やはり気性面の難しさがあったよう。それでも、地力の高さは見せたと言えるだろう。

一方で、意気消沈といった雰囲気だったのは3着プリムロゼの杉浦健太騎手。「イメージ通りの競馬ができましたし、しっかり反応して最後までいい勝負をして成長を感じました。展開一つですかね……」。重賞で2着、5着と上位争いを続けていただけに、タイトルが望まれるところだろう。

勝ったニジイロハーピーは兵庫クイーンセレクション(姫路)、東海クイーンカップ(名古屋)に続き重賞3勝目。昨秋のネクストスター名古屋では8着に敗れたが、「今なら牡馬相手でも地元でいい勝負をすると思います」と今津勝之調教師は成長ぶりを感じている。

GDJ3歳シーズンでは、自地区1着10ポイントを加算したニジイロハーピーと、他地区4着5ポイントを加算したグラインドアウトが、ともに20ポイントで1位タイ。残すは6月12日関東オークスJpnII(川崎)のみで、ここへの出走可否がGDJ優勝の行方を大きく左右しそうだ。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

大畑雅章騎手

スタートが出ず、1つ後ろの位置になって困りました。道中は僕が最低な乗り方をしてしまいました。2コーナー過ぎから追っつけたのでどうかなと思いましたが、直線で外に出していい伸びを見せてくれ、馬の力に助けられました。掴みどころのない馬で試行錯誤をしていますが、のびしろ十分です。

今津勝之調教師

砂を被っている間はふわふわしていましたけど、被らない外に出してからはシュッと脚を伸ばして強かったですね。成長していますし、輸送をしてもイレ込まないのが強み。距離が延びても心配はありません。このあとは地元の東海優駿か関東オークスか、馬の状態を見ながら考えたいです。