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第25回兵庫チャンピオンシップJpnII

マジックマンを背に逃げ切り
  成長見せ3連勝でグレード制覇

25回目を数える兵庫チャンピオンシップJpnIIが生まれ変わった。これまでは夏のジャパンダートダービーJpnIへと続く3歳ダート中距離路線の一角を占める1870メートル戦だったが、今年からダート競走の体系整備に伴って1400メートルに短縮され、3歳春のダート短距離路線の頂上決戦として実施されることとなった。

この変更により、ステップ競走として、全国の地方競馬で、2歳秋(南関東を除く8競走)と3歳春(地区ブロックごとに4競走)に重賞級認定競走(ネクストスター)が新設され、3歳春の4競走の優勝馬には兵庫チャンピオンシップJpnIIへの優先出走権が付与されることとなった。今回はその4競走のうち、ネクストスター東日本を制したギガース(船橋)、同西日本の覇者であるリケアサブル(高知)の2頭が挑んできた。

距離こそ変わったが、変わらないのが中央勢の層の厚さだ。前走でバイオレットステークスを勝って連勝中のエートラックス(単勝2.2倍)と、昨秋の兵庫ジュニアグランプリJpnIIを勝ったイーグルノワール(同2.3倍)の2頭に人気が集中。3、4番人気もエコロガイア(同6.2倍)、チカッパ(同7.0倍)と中央勢。地方勢でもっとも人気のギガース(同38.2倍)は離れた5番人気だった。

上位人気の中央勢4頭はいずれも先行脚質。激しい先陣争いが予想されたが、好発を決めたジョアン・モレイラ騎手のエートラックスがハナを奪った。2番手の外にはエコロガイア、3番手の内にチカッパ、外にギガースで隊列が固まった。イーグルノワールは中団を追走する形になった。

快調に逃げるエートラックスをマークしていたエコロガイアが3コーナーで脱落。内のチカッパが迫って直線へ。

直線でもエートラックスの勢いは衰えず、2着のチカッパに3馬身の差をつけて快勝した。3着には6番人気の中央馬モズミギカタアガリが入った。スタートで大きく外によれて後方からの追走となったが、向正面から長く脚を使って差を詰めた。

2着チカッパの吉村智洋騎手は「1歩目でつまずいたが、いい競馬はできた。勝った馬が強かった」とサバサバした表情を見せた。3着モズミギカタアガリのミルコ・デムーロ騎手は「途中から、よく頑張ったが、直線は最後まで手前を替えなかった」と振り返った。

中央に続き地方でも“マジックマン”ぶりを発揮したモレイラ騎手は「事前に動画を見て、ゲートが速いのはわかっていたので、それを生かして、先行できればと思っていた。いい馬ですし、これからも、まだ勝つでしょう」と終始笑顔だった。

3連勝での重賞初制覇だが、宮本博調教師は「(デビューから数戦は)生ずるいところがあったが、2度、外国人騎手(B.ムルザバエフ騎手、A.ルメートル騎手)が乗ってからは、馬が進化した」と3連勝の理由を明かした。気になる今後については「オーナーサイドとの相談になりますが未定。放牧になりそうですね」と小休止の模様だ。3歳春のダート短距離初代王者の夏以降のさらなる成長と快進撃が待ち遠しい。

取材・文松浦渉

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

ジョアン・モレイラ騎手

レース前はテンションが高く、ゲート裏でも緊張感があったが、うまくコントロールできた。レース中も乗りやすく、仕上がりも良かった。小回りコースにも対応できたし、悪くないと思う。(自分自身の話だが)6年前に園田に来た時は勝てなかったが、今日は勝てて良かったです。

宮本博調教師

前走のバイオレットステークスの出来は維持して臨めた。今回で9戦目だが、使いつつ強くなっている。モレイラ騎手には好きなように乗ってもらうように指示したが、逃げて運んで、見ていて楽だったし、無事なら勝てると思ってた。距離はモレイラ騎手も「これぐらいがいい」と言っていた。