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当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

2019年7月12日(金)

第62回 『佐賀競馬最強世代の一角』
1997年 サラブレッドグランプリ
 キングオブザロード

1992年生まれは佐賀競馬最強世代と呼ばれている。とりわけキングオブザロードとリンデンニシキの2頭は、1996年、JRAとの交流初年となった開設記念(現佐賀記念)では、並み居るJRAの強豪馬を相手にリンデンニシキが勝ち、キングオブザロードが3着に。(詳細は第14回参照)2003年にエスワンスペクターが佐賀デビュー馬として初のダートグレード競走での勝利(エーデルワイス賞)を挙げるまでは、偉業とも言える成績を残した世代だ。

最強世代の1頭、キングオブザロードは佐賀でデビュー。2歳時は2勝、3歳時はニューイヤーカップ、栄城賞に勝ち、佐賀菊花賞はリンデンニシキの2着に敗れるも10勝を挙げている。

5歳になり年明けから4連勝で挑戦したプロキオンステークスは力及ばず13着、JRA勢を迎え撃った開設記念は前述の通り3着に。3歳夏に続き2年連続で芝に挑戦した小倉日経オープンも、昨年より1つ着順を上げた8着。冬の間、名古屋競馬に移籍するも勝つことは出来ず。5歳シーズンは8勝に終わったが、それは挑戦し続けた結果であった。また、輸送競馬が苦手で、環境の変化に敏感であったところも、名古屋で結果が出せなかった要因のひとつだったかもしれない。

6歳シーズンは地元に専念し、自身最多の7連勝を挙げるなど、その強さを佐賀のファンに印象付けた。

11月3日の2500m戦、サラブレッドグランプリでもその強さを如何なく発揮した。リンデンニシキは大井に移籍し出走せず。最大のライバルは、1つ下のサンテスシンオー。

道営デビューからJRAに移籍するも、500万クラスを勝ち切れず、佐賀に移籍してきた。移籍初戦に勝ち、そこから7連勝。さらに18戦連続掲示板を外さない安定感が魅力だった。父はサンテステフ。フランスからの輸入種牡馬で、日本では失敗に終わったという評価だが、力のいる芝向きの産駒が多かったことが原因だろう。

前哨戦の天山賞でキングオブザロードとはクビ差、3着以下大差のマッチレースとなり、本番でもこの2頭が中心視されていた。

スタートを決めたのは最内のサンテスシンオーで、前走同様ハナを奪いマイペースの逃げに持ち込む。鞍上の山口勲騎手としても、キングオブザロードを負かすには、やはりこの手しかないと踏んだのだろう。

一方、人気を背負うキングオブザロードと鞍上鮫島克也騎手は、これも前走同様2番手に付け、サンテスシンオーをマークする。推定14秒台のゆるい流れ。3番手以下は5~6馬身後方で、既にマッチレース状態だ。

レースが動いたのは2周目の2コーナー。逃げるサンテスシンオーがペースを上げると、キングオブザロードもスパートをかける。

3コーナーを過ぎてサンテスシンオーに並びかけると、直線で抜き先頭に立ち、もがくサンテスシンオーをグングン引き離し、最後は独走に。6馬身の差を付けゴールした。

「本馬場入場から返し馬にかけて、馬に気合いが入りすぎて落ち着かせるのに苦労しましたが、前走のデキにあったし、レースは楽な展開でした」と鮫島克也騎手。

最強世代の面目躍如の勝利となった。

7歳時2勝、8歳時1勝と衰えもみられるようになってきたキングオブザロード。9歳時シーズンに2勝を挙げ、夏の九州王冠4着を最後に現役を退いた。

通算32勝は佐賀競馬所属馬の最多勝利記録で、佐賀競馬初の獲得賞金1億円馬(1億371万円)となった。

引退後は福岡馬事公苑で乗馬として第二の馬生を送り、大会で優勝するなど乗馬としても活躍した。2011年の夏、19歳でこの世を去っている。

  • 文・日刊競馬
  • 小山内 完友
  • 写真
  • いちかんぽ

サラブレッドグランプリ 平成9年(1997年)11月3日

サラブレッド系4歳以上オープン 1着賞金600万円 佐賀 2,500m 晴・良

着順 枠番 馬番 馬名 性齢 重量 騎手 タイム・着差 人気
1 6 6 キングオブザロード 牡6 58 鮫島克也 2.57.3 1
2 1 1 サンテンスシンオー 牡5 56 山口勲 6 2
3 7 7 ピークァイエット 牡6 58 大垣敏夫 1/2 6
4 8 10 ブラックタイ 牡8 58 北村欣也 1/2 3
5 2 2 ケイウンベスト 牡6 58 川野幸治 4 4
6 7 8 ヒカリアスティル セン6 56 権藤学 2 9
7 8 9 ウットマン 牡9 58 古川哲也 2 5
8 5 5 ステイクオール 牡6 56 吉田順治 3 7
9 3 3 カツタカツバキ 牝6 55 土井道隆 4 10
10 4 4 グリーンシャイン 牝7 55 中川竜馬 1 8

払戻金 単勝110円 複勝110円・130円・1,240円 枠連複230円