ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
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特集

JBC前哨戦

実施日レース名格/シリーズ競馬場距離
8/5(日)レパードステークスGⅢ/JRAJRA新潟1,800m
8/12(日)エルムステークスGⅢ/JRAJRA札幌1,700m
8/14(火)サマーチャンピオンJpnⅢ佐賀1,400m
8/15(水)クラスターカップJpnⅢ盛岡1,200m
8/16(木)ブリーダーズゴールドカップJpnⅢ/GDJ(古馬)門別2,000m
8/26(日)ビューチフルドリーマーカップGDJ(古馬)水沢1,900m
8/29(水)アフター5スター賞大井1,200m
9/9(日)青藍賞水沢1,600m
9/11(火)秋桜賞GDJ(古馬)名古屋1,400m
9/17(祝月)珊瑚冠賞高知1,900m
9/19(水)東京記念大井2,400m
9/20(木)オータムカップ笠松1,900m
9/28(金)姫山菊花賞園田1,700m
9/29(土)シリウスステークスGⅢ/JRAJRA阪神2,000m
10/2(火)白山大賞典JpnⅢ金沢2,100m
10/4(木)道営スプリント門別1,200m

第55回 東京記念

9/19(水) 大井競馬場 2,400m シュテルングランツ

後続を寄せ付けず圧巻の逃げ切り 的場騎手は38年連続重賞勝利

 どんな事がらであっても、遠くのものであれば、やすやすと口にできるが、現実味を帯びてくると何かと慎重になるもの。春には「JBC」「秋の京都」というワードが、関係者の口から頻繁に出てきたものだが、夏以降はあまり聞かれなくなっていた。特にRoad to JBCの対象レースを多く抱える南関東では、そこでのレース内容を見てから判断するという陣営もある。そんな“嵐の前の静けさ”のなかで、JBCクラシック指定競走の東京記念は行われた。
 地元の南関東勢は中・長距離路線の常連が名を連ねたが、他地区からの遠征馬も強力で、その力比較がカギとなった。1番人気に推されたのは、昨年の2着馬カツゲキキトキト(愛知)。しかし、以下も僅差で続き、単勝ひと桁台は5頭、10倍台も3頭という混戦ムードでスタートを迎えた。
 ハナを切ったのは2番人気のシュテルングランツ(浦和)。前走のトライアル戦では最内枠から逃げ切ったが、今回も内枠に入ったことで、その再現を狙う。カツゲキキトキトが2番手につけ、前年の覇者サブノクロヒョウ(大井)も先団の一角につけた。
 振り返ってみれば、シュテルングランツの的場文男騎手は大井記念を9勝(2600メートル=4勝、2500メートル=4勝、2000メートル=1勝)、東京記念もここまで7勝を挙げている。そんな長距離巧者の絶妙なペース配分が、ここでも発揮された。淀みないラップを刻みつつ、向正面半ばからピッチを上げると、他馬は追走に手いっぱい。直線でも後続は脚を使うことができず、シュテルングランツが3馬身差の“圧逃劇”を演じた。
 浦和への転入3戦目で重賞初制覇を果たした新星シュテルングランツ。JRAではマイル前後を中心に使われてきたが、転入後は中・長距離で3、1、1着と安定した走りを見せている。小久保智調教師は「ムキになって走るところがあったけど、馬体的にも精神的にも余裕が出て、(いい意味で)ズブさが出てきた」と話す。大敗続きだったこの馬をきっちり立て直したあたり、南関東リーディングトレーナーの面目躍如。その冴え渡る手腕に今後も注目が集まる。
 また、鞍上の的場騎手は自身が持つ最高齢重賞勝利記録を62歳12日に更新し、38年連続重賞勝利の偉業も達成。今年8月12日に地方競馬最多勝記録となる7152勝目をマークしたが、その後も絶妙な手綱さばきと躍動感のある騎乗を見せている。レジェンドストーリーは、まだまだ終わりそうにない。
 一方、昨年と同様に2着に敗れたカツゲキキトキトは、逃げ馬を見ながら2番手を追走する絶好の展開だったが、結果的にはシュテルングランツの絶妙なペースに屈した。大畑雅章騎手は「また2着でした……」と、笑顔のなかに悔しさをにじませたが、「前残りの馬場でしたし、勝ち馬も強かったですね。この馬の力は出し切れたと思います」と脱帽した。
 シュテルングランツは今回の勝利で、JBCクラシックJpnⅠの選考において優位に立った。小久保調教師も「今後はJBCから浦和記念を使って、東京大賞典」と、これまでの“南関の静けさ”を破るようにJBCクラシックJpnⅠ参戦を明言した。風雲急を告げるシュテルングランツの圧逃劇。いよいよ南関東のJBCロードに火がついた。
取材・文:大貫師男
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

的場文男騎手

前走は最内枠からすごくうまく逃げることができたので、今回も同じようなレースができればチャンスがあると思っていました。しっかり折り合いがついたし、むしろ前走以上にうまく運べたと思います。厩務員さんが一生懸命に仕上げてくれたおかげ。1戦ごとに良くなってきていると感じています。

小久保智調教師

以前はムキになるところがあったけど、疲れをとることやストレスを減らすことに重点を置いて調整した結果、馬体や精神面に余裕が出てズブくなったし、スタートもゆっくり出るようになったんだと思います。これから調教で攻めていけば、もっと良くなるはず。的場騎手と一緒に京都に行きたいですね。