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レースハイライト

第64回 東京大賞典 GⅠ

2018年12月29日(土) 大井競馬場 2000m

人気を集めた3強の争いを制す 3歳馬が古馬を一蹴しGⅠ初制覇

 多くのファンでごった返し、馬券売場には長蛇の列ができた2018年東京大賞典GⅠ。第1レースから東京トゥインクルファンファーレによる生演奏が行われ、入場人員は前年比111.7%の3万9330人と場内は活気づいた。昨年からJRAでは有馬記念GⅠの後、12月28日にもGⅠレースが行われ、東京大賞典GⅠはその翌日というスケージュールになった。その昨年は1日の売上(SPAT4LOTOを含む)と東京大賞典1レースの売上がともに地方競馬レコードを更新したが、今年はそれぞれ前年比112.8%、108.4%でさらに記録を更新。東京大賞典GⅠの1つ前のレースで3連単99万720円の配当が出ると、すでに人だかりができていたパドックはざわつき、暮れの大一番へボルテージが上がった。しかし、東京大賞典GⅠは例年通り堅い決着となった。
 注目は3強対決。単勝10倍以下は3頭のみで、1番人気は今年の帝王賞JpnⅠ覇者のゴールドドリームで2.2倍。チャンピオンズカップGⅠを右肩の筋肉痛により回避したものの昨年のJRA最優秀ダートホースへの信頼は厚かった。2番人気にJBCクラシックJpnⅠを制覇したケイティブレイブで2.8倍。その2着オメガパフュームが3番人気で3.7倍だった。
 好スタートを決めたのは今シーズンのホッカイドウ競馬では無敗の6連勝で道営記念を逃げ切り勝ちし、充実一途のスーパーステション。しかし、隊列が決まりかけた頃にアポロケンタッキーがJRA短期免許で来日中のオイシン・マーフィー騎手を背に離れた大外から迫った。スーパーステションにとっては「ペースを落としかけていましたが、外から来られたのでそのままのペースで行きました」(阿部龍騎手)という誤算。縦長の隊列で中団前目にケイティブレイブ、その2馬身後ろにゴールドドリーム。オメガパフュームは後方4番手で向正面半ばから徐々にポジションを上げた。
 4コーナーでケイティブレイブが先頭に並びかけ「自分の形に持ち込めました」と福永祐一騎手。残り200メートルで先頭に立ったが、それをマークするように直後にいたのがゴールドドリームとオメガパフューム。3頭の叩き合いはオメガパフュームの脚色が優勢でGⅠ初制覇を飾った。
 ゴールドドリームは帝王賞JpnⅠでは距離の壁を克服しての勝利だったが、「残り50メートルで止まってしまいました。短い休み明けと、いいペースで流れた分かも」(クリストフ・ルメール騎手)と3/4馬身差で2着。1馬身半差の3着にケイティブレイブだった。
 地方馬最先着はJRAから船橋への転入初戦となったサウンドトゥルーで「直線で他の馬と同じ脚色になってしまいました」(御神本訓史騎手)と4着。逃げたスーパーステションは厳しい展開になりながらも6着に粘った。
 この秋、中央の芝も含めたGⅠ戦線を席巻している3歳世代がまたも金星を挙げた。鞍上のミルコ・デムーロ騎手はチャンピオンズカップGⅠを3歳馬ルヴァンスレーヴで制覇しており、「どこかでレースが重なるかもしれないね(苦笑)」と嬉しい悩みとなった。また、管理する安田翔伍調教師は開業初年度でのGⅠ初制覇。「いつもテレビで盛り上がっている雰囲気を感じていたレースに管理馬を出走させるだけでもすごく興奮しましたが、勝たせていただき感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。
 まだ3歳。今回は調整過程にスパイスを加え、オメガパフュームがそれに応えての勝利だったという。これからの成長の余地は大きい。来年以降、この世代の活躍とともにオメガパフューム自身のさらなる飛躍にも期待が寄せられる。

地方競馬全国協会理事長賞の副賞として畜産品が贈呈された

地方馬最先着はJRAから船橋へ移籍したサウンドトゥルー(4着)
取材・文:大恵陽子
写真:いちかんぽ(築田純・早川範雄)

コメント

M.デムーロ騎手

昨日(ホープフルステークス)と今日、勝てて最高です。初めて乗った時からすごくいい馬だと思っていました。スタートをうまく出て、いい形で進められました。以前より大人になった分、少しズブくなっていましたが、ペースはちょうど良かったです。いつものように直線でいい脚を使ってくれました。

安田翔伍調教師

前走の内容を踏まえて、調教でコンタクトを強めにとるなど意識的に怒らせました。そのため、パドックではエキサイトするかもと覚悟しましたが、想像以上に落ち着いて歩けて、レースでは集中力も高まるなど成長を見せてくれました。さらなる要求をしていける馬。今後は状態を見てオーナーと相談します。