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レースハイライト

第18回 名古屋グランプリ JpnⅡ

2018年12月24日(祝・月) 名古屋競馬場 2500m

3歳世代が名古屋でも躍進 地方初参戦で重賞初勝利

 有馬記念GⅠ翌日かつ振替休日の名古屋競馬場は多くのファンで溢れた。「いつものタイミングでパドックに行ったら、とてもじゃないけど前列までたどり着けなかった」とは地元カメラマンの話。パドックを見下ろせる階段にまで人垣ができた名古屋グランプリJpnⅡは、従来の約1.8倍となる6億1293万5300円の発売金額レコードを更新した。
 そんな中、最も支持を集めたのは3歳馬グリム(JRA)で単勝は1.8倍。今年、レパードステークスGⅢと白山大賞典JpnⅢで重賞を制覇し、前走・浦和記念JpnⅡこそ勝ち馬の急襲に遭ったものの2着に粘った。今回騎乗する武豊騎手は香港での国際騎手招待競走で騎乗停止を受けたことにより、これが今年の国内ラストレースとあれば、“持っている男”へファンの期待も高まるところだろう。
 2番人気はもう1頭のJRA3歳馬チュウワウィザードで2.9倍。デビュー以来7戦すべてで3着以内を確保という堅実な馬だ。昨年は1番人気で3着だった地元のカツゲキキトキトは5番人気20.2倍だった。
 JRAでは「3歳世代が強い」と言われた秋。アーモンドアイが牝馬ながらジャパンカップGⅠをレコード勝ちするなど芝GⅠはもちろんのこと、昨年の全日本2歳優駿JpnⅠを制覇したルヴァンスレーヴがチャンピオンズカップGⅠを優勝しており、その流れは名古屋グランプリJpnⅡにも通じた。
 スタートから先頭に立ったのは、戦前の予想通りグリム。内からカツゲキキトキトも押してポジションを取りに行きかけたが、「他の馬が行きそうなら控えます」とレース前に大畑雅章騎手が話していた通りグリムのすぐ後ろに収まった。その外にチュウワウィザードとハッピースプリント(北海道)、それらのうしろにミツバという隊列で1周目向正面に入った。
 向正面半ばを通過した頃、福永祐一騎手がミツバを外に持ち出した。「直線が短いので、早めに動こうと思って」と、一気に先頭まで並びかけた。ここでチュウワウィザードは「まだまだ距離は残っていましたから、そんなに焦ることなく対応しようと思いました」(川田将雅騎手)と3番手内に入った。
 グリムも自身のペースを守りつつも先頭を譲らずペースは流れ、迎えた最後の直線は内のグリムをミツバが競り落としたところ、直後にいたチュウワウィザードが外から差し切って重賞初出走を勝利で飾った。
 半馬身差2着ミツバの福永騎手は「早めに動いて最後まで頑張ってくれました」と言い、さらに2馬身離れた3着グリムの武騎手は「マイペースでいけたけど、中距離の方がいいのかな」と首をひねった。地元の雄・カツゲキキトキトは5着。大畑騎手は「この展開でよくがんばってくれました」と話した。
 チュウワウィザードはこれが初の地方参戦。「追い込み馬なので小回りに上手く対応してくれるか不安もありましたが、この馬に何回も乗ってくれている川田騎手がうまく考えて乗ってくれました」と大久保龍志調教師。同馬の母チュウワブロッサムも管理しており、「すごく思い入れのある血統なんです」と頬を緩めた。「今年は3歳馬が強いと言われていました。そのいい流れを来年以降もつなげていくためにがんばります」というように、ここでも3歳馬の優勝。来年以降、この世代は一大勢力を形成するかもしれない。

地方競馬全国協会理事長賞の副賞として畜産品が贈呈された

地元の雄・カツゲキキトキトは5着
取材・文:大恵陽子
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

川田将雅騎手

能力の高い馬だと分かっていたので、自信を持って競馬を組み立て、いい内容で勝ってくれました。直線ではミツバの手応えが良く、外に切り替えましたが、それでも届く脚があると思っていました。すごく乗り味のいい馬です。現時点での幼い面が解消してくれば安定して自分の能力を発揮できると思います。

大久保龍志調教師

前走よりも状態はアップしていたので、小回りにうまく対応できれば、高い確率で勝てるんじゃないかと思っていました。本質的には大きなコースの方がより力を発揮できると思うので、今後はJRAのコースで重賞などを考えられたらと思います。来年に向けて賞金を加算できたことは大きいですね。