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レースハイライト

第41回 帝王賞 JpnI

2018年6月27日(水) 大井競馬場 2000m

勝負根性発揮し王者の走り
地方馬は2頭が掲示板確保

 今年の帝王賞JpnIはJRAからGI/JpnI馬が6頭、そして地方からも重賞4連勝中のリッカルド、昨年のジャパンダートダービーJpnIを制したヒガシウィルウィンなどが参戦。春のダート総決算にふさわしいメンバーがそろった。
 とはいえ、どの馬も一長一短。昨年のこのレースを制したケイティブレイブは初めての放牧明け。今年のかしわ記念JpnIを制したゴールドドリームにしても、今回はチャンピオンディスタンスの2000メートルで、しかも2戦して3着が最高の大井コースが舞台。テイエムジンソクは初ナイター、サウンドトゥルーは前残り気味の馬場がどうか、リッカルドはペースの違いに対応できるかなど、それぞれに不安要素があった。
 しかし冷静に考えれば、馬が生き物である以上、不安は必ずついて回る。それが、競馬に絶対はないと言われ、ギャンブルとして成り立つゆえん。そうした不安や逆境を乗り越えてこそ、王者の称号を手にすることができ、サラブレッドの系譜に名を残すことができるのである。
 その視点からも、ゴールドドリームは王者の走りを見せた。不安要素のひとつであった出遅れ気味のスタートで中団からの競馬に。先行有利の馬場だけに文字通り後手を引いたが、鞍上のクリストフ・ルメール騎手は向正面で早めの仕掛けを敢行。4コーナーで、逃げていたテイエムジンソク、外から抜け出しを図るケイティブレイブの直後につけると、直線で内の狭いところを突き、最後はケイティブレイブとの叩き合いをクビ差で制した。
 ルメール騎手はレース後、「距離はギリギリだから、インサイドをロスなく回ってきた」と話した。確かに、距離の克服には鞍上の力も大きかった。ただ、出遅れを挽回すべく早めに脚を使い、それでいて最後の叩き合いを制した勝負根性は、この馬自身の強さ。マイルで末脚の切れを見せ、チャンピオンディスタンスで底力を発揮したゴールドドリームは、真のダート王者以外の何ものでもない。
 一方、1番人気のケイティブレイブは3番手から抜け出しを図る完璧な競馬を演じたが、及ばず2着。「久々でも仕上がっていて、自分がやりたい競馬もできた。チャンピオンホースに肉薄できたのは良かったと思う」と福永祐一騎手は納得の表情。休養前より力強さが増したとも話しており、さらなる飛躍も十分に期待できる結果となった。
 地方勢ではリッカルドが最先着(4着)。4コーナーでは手応えよく先行集団を捉えにいく場面もあり、地元南関東の筆頭格に恥じない走りを見せた。矢野貴之騎手は「一瞬『オッ』と思ったし、いい競馬ができたと思う。どんどん強くなっている」と、さらなる進化を強調。ただ、やはり2000メートルは微妙に長い印象で、得意のマイル前後ならダートグレード制覇が期待できる。
 そして、ヒガシウィルウィンも復調を示す5着。リッカルドとはクビ差で、大井記念では3馬身+1馬身3/4と開いていた差を詰めた。「久々に手応えを感じるレースだったし、さらに調子が戻ってくれば」と森泰斗騎手。かしわ記念JpnIで復帰して以降、1戦ごとの良化がうかがえるだけに、ジャパンダートダービーJpnI以来となる重賞制覇も遠くはないだろう。
 それぞれが、自身の不安要素を打破すべく戦った今回の帝王賞JpnI。その中でゴールドドリームは最大限のパフォーマンスを発揮し、国内ダートナンバーワンの座に就いた。しかし、管理する平田修調教師は「まだやることはいっぱいある。真のチャンピオンを目指したい」と話す。
 真のチャンピオンとは――。
 王者は不安要素をひとつひとつ克服し、逆境を乗り越えながら、絶対的な存在を目指し続ける。

地方競馬全国協会理事長賞の副賞として
畜産品が贈呈された

地方勢ではリッカルドが最先着(4着)
取材・文:大貫師男
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

C・ルメール騎手

この馬でまたGIを勝つことができて、すごくうれしいです。スタートが今ひとつだったけど、すぐにハミをとってくれたし、向正面でポジションを上げることができました。距離がギリギリだから、ロスのない軌道で走らせました。最後は相手も強かったですが、前に馬がいると一生懸命に走ってくれます。

平田修調教師

南部杯での出遅れをきっかけにプール調教を取り入れたことで、落ち着きと従順さが増してきました。さらに関節も柔らかくなったし、完歩も大きくなって、距離の克服につながったと思います。これで日本一のダート馬になったと思いますが、まだやることはあるし、真のチャンピオンを目指したいと思います。