スーパースプリントシリーズ特集

 競走距離1,000メートル以下のレースのみで構成されるシリーズ競走、『スーパースプリントシリーズ(略称:SSS)』。7年目を迎える本年は、昨年同様5戦のトライアルおよびファイナルの習志野きらっとスプリントが行われます。
 SSSは、超短距離戦で能力を発揮する異才の発掘と、各地方競馬場で実施可能な最短距離を極力活かすためワンターン(コーナー通過が3〜4コーナーのみ)のスプリント戦によるシリーズとして2011年に創設されたもので、各地区の超スピードホースが、トライアル、そしてファイナルで極限の速さを競い、初夏の地方競馬を大いに盛り上げます。

 創設からラブミーチャンが三連覇ののち、8歳のナイキマドリードや3歳のルックスザットキルがファイナルを制しているこのシリーズ。昨年は4歳のフラットライナーズがファイナルを制しました。今年は古豪が意地をみせるのか、それとも新星が誕生するのか。

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迷いのない逃げから押し切る
ファイナルの習志野へ意欲

 1000メートルの重賞と聞いて、すぐに思いつくのは新潟の直線で実施されている『アイビスサマーダッシュ』だろう。コーナーがない競馬で、最初の頃はジョッキーも仕掛け所の難しさを感じていたそうだ。
 「1000メートルの競馬でも、どこかで息を入れなければ、やはり最後のひと踏ん張りが利かなくなります。コーナーがあれば息を入れるポイントをつかめるんですが、直線だとそれが難しいんですよ」と、ある騎手が話していたことを思い出す。
 2015年にオープン特別から重賞に格上げされたので『第3回グランシャリオ門別スプリント』となっているが、SSS(スーパースプリントシリーズ)の創設とともに2011年にスタートしている。過去6回すべて良馬場で実施され、最高時計は2013年にアウヤンテプイがマークした59秒4。1分を切った年は4度記録しているが、門別1000メートルは、スタートして3コーナーまでの距離が短いので、先行争いは熾烈を極める。ダッシュが利いた後、3コーナー前後でうまく息を入れることができるかが最大のポイントとなる。
 夕方から雨が降り出し、午後7時を過ぎると雨足が強くなった。メインを前に良馬場から稍重へと馬場状態も変わった。前走で逃げた馬はタイセイバンデットのみ。その他で近走、ハイペースで先行した経験がある馬はテイエムタイホー、トドイワガーデン、コールサインゼロ、メイショウノーベルといったあたり。ハイスピードバトルに13頭が集結したわりに、先行タイプが意外と少なく、タイセイバンデットのマイペースになることも推測できた。
 「再転入初戦の前走で、地元の快速馬であるビービーレジェンドを退けた馬ですから、スピードでは負けない自信はありました」と、岩橋勇二騎手も能力を信じた騎乗で、トドイワガーデンに競られた序盤でも容赦なく先手を奪う。しかし、最初の1ハロンは11秒7と速かったが、その後は11秒3-11秒7と、岩橋騎手は上手にラップを落として他馬を引っ張る。過去に函館ダート1000メートルで前半2ハロン22秒5をマークしたタイセイバンデットにとって、23秒0はマイペースと言えよう。ただ、雨が降り続いたとはいえ、メイン前に稍重へと変わったばかりの馬場状態では、高速決着になるまでの変化ではなく、1分00秒6の勝ち時計に止まった。2着には1馬身差でレッドペリグリン、3着にはトウカイビジョンが入った。
 「1分を切れませんでしたね」と、田中淳司調教師はまず、時計の話を切り出した。レース史上、初めて逃げ切り勝ちとなったが、スピードだけで押し切ることが難しい舞台。まして、内が深く、どの場所を通るのがベストかをジョッキーが迷っていた馬場で、コースロスも覚悟の競馬では致し方ない面もある。
 「それでも、船橋を目標に置いていましたから、勝ててホッとしました。腰の状態が良くなかったようで、北海道で再出発することになりましたが、復帰後の走りから不安点は解消されてきたと考えて良いと思います。左回りの経験もあり、函館での時計から全国区のスピードはあると思います」と、田中淳司調教師はSSSファイナルの習志野きらっとスプリントへの参戦に意欲を示した。昨年はクリーンエコロジーで挑戦して5着だったが、目指すは当然、最速王の称号だ。
岩橋勇二騎手
スタートが決まった時、掛かる馬でもないので、先手を譲らない気持ちで攻めて行くことができました。前走は直線の脚色が一杯でしたが、距離短縮とひと叩きの効果で、今回は最後までしっかり伸びてくれました。まだ伸びしろはあると思います。
田中淳司調教師
序盤はトドイワガーデンに絡まれたものの、先手を奪えた後は折り合いもついていた様子で強い勝ち方ができました。この後はもちろん船橋へ行きます。中央時に左回りの経験もありますし、しっかり調整して勝利を目指したいと思います。


取材・文:古谷剛彦
写真:中地広大(いちかんぽ)