ウエブハロン2017 レディスヴィクトリーラウンド タイトル

 各ラウンドにおいて2競走実施し、女性騎手のみをポイントの対象として、ラウンド表彰(1位~3位)を行うとともに、4ラウンド総合優勝者を最終戦佐賀ラウンドにおいて表彰いたします。
 今回は第1ラウンドに先がけ、ばんえい帯広において、ばんえいエキシビションレースとして、竹ケ原茉耶騎手(ばんえい所属)との共演イベントを行います。
 競走実施日にお客様向けに各種イベントを実施するとともに、5競馬場をめぐるLVRスタンプラリーも併せて実施する予定です。イベント詳細については、決定次第特設サイト内で発表いたします。

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【リポート動画】

最終戦を前に上位2名が同ポイント 第2戦を制した別府騎手が総合優勝

 帯広のばんえいエキシビションから始まった2017-2018のレディスヴィクトリーラウンドは、盛岡、名古屋、高知と転戦して、2月20日の佐賀が最終戦。帯広以外の4カ所で観戦したというファンは「最初は全部行くつもりはなかったのですが、LVRスタンプラリーがあったのでついつい」と照れ笑い。それでも賞品として受け取った“スペシャルプレゼント”の紙袋を肩に掛け、満足そうにしていた。
 平日の火曜日開催ではあるが、場内にはその人を含めて遠方から来たとおぼしきファンが多数。そのなかには宮崎県から来場した木之前葵騎手(愛知)の両親の姿もあった。“準地元”ともいえる佐賀で好騎乗を見せたいところだが、ここまでの得点は21ポイントで最下位。トップは37ポイントで別府真衣騎手(高知)、2位は34ポイントで宮下瞳騎手(愛知)、続いて24ポイントの下村瑠衣騎手(高知)となっていた。
 はたして4名のなかで通算の勝ち星も多い宮下騎手と別府騎手の戦いになるのか、それとも大逆転はあるのか。佐賀ラウンドの第1戦は別府騎手のイチザラブが単勝1.4倍、宮下騎手のモデストが3.7倍と支持を集めた。
 男性騎手は騎乗停止中の石川慎将騎手を除いて年齢が若い順に6名が加わり、第1戦がスタート。すぐに2番枠の別府騎手が先手を主張したが、その直後を宮下騎手がマークしていった。下村騎手と木之前騎手は行き脚がつかず後方から。それでもやや縦長の隊列は、3コーナーあたりから徐々に短くなってきた。
 逃げの手に出た別府騎手は粘り込みを図る態勢。しかしその外から宮下騎手が一完歩ごとに近づき、残り30メートルあたりで先頭に立って第1戦を制した。
 「調教師さんに2番の馬(別府騎手)が逃げるだろうから、それについていってと言われていまして、そのとおりに乗ることができました」と会心の笑顔。宮下騎手は4日前に梅見月杯を優勝しており「なんか今、とても楽しく乗れているんです」と話す表情もまた、充実している感じに見えた。
 対して2着の別府騎手は「1コーナーでマークされているのはわかっていたんですが」とポツリ。「でも2戦目はポイントが倍ですからね。次は負けません」と力強く話してパドックに向かった。
 下村騎手は最後の直線で大外を通って4着。「馬場の外はよく伸びますね」とこの日の馬場に手応えを掴んだ様子。9着だった木之前騎手は「うーん、ちょっとうまくいかないですね。でも知っている人がたくさん来ていますし、次はいいところを見せたいです」と気を取り直して、最終戦の準備に入った。
 その最後の勝負、第2戦は宮下騎手が2.0倍で1番人気。続いて下村騎手が2.7倍と支持を集めた。しかしスタートでアクシデント。下村騎手の騎乗馬が、ゲートが開くやいなや頭を上げて、外ラチ方向に逸走していったのだ。すぐに立て直したものの、1コーナーでは馬群から離れた最後方。9着という結果で引き揚げてきた下村騎手は「今日は人前に出たくないです……」と落ち込んでいた。その馬には気難しい面があるようで、前走も道中は最後方。とはいえ、佐賀でいい思い出を作ることができない結果になってしまったのは確かだった。
 一方、前の争いは、別府騎手が地元騎手の2番手につけて「馬場のいいところを通れました」と4馬身差で快勝。2着争いは宮下騎手が中団から差を詰めてくるところ、向正面で後方から上昇を開始した木之前騎手が宮下騎手をクビ差交わして2着に入った。最終戦では上位に入ると女子限定ポイントが上乗せされるルール。ということで、木之前騎手は佐賀ラウンドでも総合ポイントでも3位に浮上した。
 そしてMVLJ、つまり総合優勝の行方だが、じつは最終戦を前にして別府騎手と宮下騎手が44ポイントで並んでおり、優勝の可能性はこの2人に絞られていた。
 最終戦のあとに別府騎手が「レース前に同点だって聞いていましたから」と話すと、それを聞いた宮下騎手が「えっ、そうだったの!?」とビックリ。この意識の差が出たのかどうかはわからないが、最終戦を制した別府騎手が2年連続で総合優勝を飾ることになった。
 表彰式で別府騎手は「連覇したいし、しなければいけないとも思っていましたので、ホッとしています。また次もあったら、優勝を狙いたいです」と力強く話した。2015年には名古屋で、2016年には名古屋と佐賀で実施された“レディス&ヤングジョッキーズ”。レディスヴィクトリーラウンドはそこから発展する形で4つの競馬場で実施されている。次回はどういう形となるのかはまだ決まっていないが、今年も女性騎手たちが躍動する戦いは見どころ十分。そして優勝争いは熾烈だった。

取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)
第4ラウンド優勝
総合優勝

別府真衣騎手
(高知)
瞳さんとの優勝争いはデッドヒートになって、本当にすごかったですね。盛岡から高知までのポイントはトップでしたが、最終戦は(女子1位の)得点が2倍だったので怖かったです。でも最終戦は3コーナーでの手応えがよかったので、これなら大丈夫かなと思いましたね。これから地元でも頑張りたいと思います。
第4ラウンド2位
総合第2位
宮下瞳騎手
(愛知)
優勝を狙える位置にいたわけですから、正直なところくやしさはありますね。最終戦は別府騎手をマークする形で行ったんですが、結果的にはもう少し前に行けばよかったかな。でも、今回のこのシリーズではいい成績を残せたと思いますし、本当に楽しかったです。次こそは真衣ちゃんをやっつけます。
第4ラウンド3位
総合第3位
木之前葵騎手
(愛知)
3位にすべりこめて、うれしい気持ちですね。第1戦は馬がゲートになかなか入ってくれないし、道中もフワフワして全く動かなかったんですが、最終戦の馬は外を回ったらよく伸びてくれました。このシリーズで1回も勝てなかったのは残念でしたが、表彰台に立つ姿を見せられたのはよかったと思います。