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2017年5月5日(祝・金) 船橋競馬場 1600m

控える競馬も直線抜け出し圧勝
得意の舞台でジーワン9勝目

 ゴールデンウィークは全国各地の競馬場で大盛況だったようだが、5月1日から5日の開催となった船橋競馬場も連日たくさんの人たちでにぎわい、熱戦が繰り広げられた。
 その最終日に組まれたかしわ記念JpnⅠ。10頭立てと少頭数だったが、中央6頭はすべてダート重賞ウィナーで、コパノリッキーやベストウォーリア、モーニンなど、ダートグレードレースには欠かせない面々が出走した。
 終わってみれば、武豊騎手がエスコートしたコパノリッキーの強さが際立つ結果で、かしわ記念JpnⅠ・3勝目。オーナーのDr.コパこと小林祥晃さんの誕生日に、今年も花を添えた。
 逃げると思われていたコパノリッキーだったが、最内枠から飛び上がるようなスタートで波乱の幕開け。モーニンが逃げる形になり、2番手にブラゾンドゥリス、ベストウォーリアなどが続いていき、コパノリッキーは他の中央馬5頭を前に見る形で中団から追走していった。
 自分の形にならない中でも冷静沈着にエスコートをした武騎手のさすがの判断力。「スタートがあまりよくなかったので先行する選択肢はなくなったんですが、3年前もこういう形で差して勝っているし、いろんなケースは想定していました。ある程度、前が引っ張ってくれて悪くない流れで道中の走りもよかったので、いい形で最後の直線を迎えました」
 コパノリッキーは3コーナー付近で外目から徐々に進出、最後の直線に入ると抜群の手応えで、逃げ粘っていたモーニンら中央勢を抜き去った姿は、王者の貫禄たっぷり。しびれるようなパフォーマンスに、場内からも大歓声が送られた。「この馬はつかみどころがなくて、いまだにわからないところがありますが、走った時は本当に強いです」(武騎手)。
 5番手あたりから徐々に進出して2着に追い込んできたインカンテーションに2馬身差をつける圧勝、3着はモーニンだった。勝ちタイムは1分39秒9(良)。
 コパノリッキーのダートグレード出走は、3歳時の兵庫チャンピオンシップJpnⅡ優勝に始まり、7歳になった今もその強さは健在。GⅠ/JpnⅠ・9勝目とし、10勝の大台まであと1勝に迫った。今後は帝王賞JpnⅠやマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠなどが選択肢に入っているそうだ。
 さて、地方所属馬は出走4頭のうち7着のオメガスカイツリーが最先着。
 昨年のかしわ記念JpnⅠでは、NARグランプリ2016・年度代表馬となったソルテが、コパノリッキーの2着に入って力走したシーンは大きな感動を呼んだが、今年はソルテもハッピースプリントも放牧休養中で不在。
武豊騎手
ここ数戦は自分の力を出していませんでした。今回は船橋マイルで得意の舞台。ここで走ってくれないと困るなと思っていたので、久しぶりにこの馬らしい走りを見せることができてよかったです。昨年もこのレースを勝って復調してきたので、今年もきっかけになれば。いいゴールデンウィークになりました。
村山明調教師
栗東にいる時は少し太いように見えましたが、今日はマイナス8キロ(536キロ)でちょうどよかったと思います。3年前に(差して)勝った時の再現になればいいなと見ていました。マイルも左回りもいいですし、騎手もうまく乗ってくれて、この馬のいいところが見せられてよかったです。うれしいですね。

 かつては、アブクマポーロやサプライズパワー、トーシンブリザード、ナイキアディライト、アジュディミツオー、フリオーソと、南関東の雄たちが優勝馬として名を連ねてきたレースだけに、日頃から南関東に関わる筆者にとっては何とも寂しさが募る。
 2日前に行われたかきつばた記念JpnⅢでは、ソルテの全弟、兵庫のトウケイタイガーが中央馬を抑えて優勝したことは地方競馬にとって非常にうれしいニュースになった。南関所属馬たちも続いていくことを願いたいのだが……。

取材・文:高橋華代子
写真:築田純(いちかんぽ)