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第101回 2016年12月20日 カキツバタロイヤル

写真提供:高橋 華代子さん
Profile
 カキツバタロイヤルは笠松競馬場の森山英雄厩舎からデビューし、笠松と名古屋の重賞レースを優勝。3歳秋から船橋競馬場の函館一昭厩舎に所属し、B3クラスからA1クラスまでコツコツと階段を上っていきました。

 サンタアニタトロフィーを2勝、川崎マイラーズ、埼玉新聞栄冠賞を制し、南関東の重賞は4勝。若い頃は亡き本多正賢騎手とのコンビでもお馴染みでした。

 430キロ台の小柄な馬体ながらも大きな馬たちに果敢に立ち向かって走り続けた現役生活。2歳から10歳までオールマイティーな活躍を見せ、南関東を、地方競馬を、代表した名馬の1頭と言っても過言ではないでしょう。多くの人たちに愛された馬でした。

 そんなカキツバタロイヤルは現役引退後に生まれ故郷の山田政宏さん(日高町)の牧場に帰りましたが、間もなくして、新冠町万世にあるベルモントファーム内のクラック・ステーブルさんに移動しました。今後は種牡馬として歩む予定で、現在は体作りをしているところ。

 秋口に、クラック・ステーブルさんにおじゃまさせて頂きました。現役時代は芯はしっかりしていても大人しいイメージの強かった馬ですが、ブヒブヒと体全身でいなないている姿に圧倒されてしまいました。カキツバタロイヤルの男?!の姿を初めて見たもので(笑)。

 そんなことを調教パートナーだった臼井健太郎騎手にお土産話で言ってみると、「厩舎にいる時は牝馬に興味がなかったし、馬っけもなかったんですけど。厩舎に7年もいたのに、牧場へ帰ると、さすがのカキちゃんでもそうなるんですね(笑)。でも、元気そうでよかったです」と臼井騎手。

 あれからまた数ヶ月が経ち、クラック・ステーブルの村上進治代表に伺ってみると、「環境にもだいぶ慣れてきて、体もふっくらさせて状態はいいですよ。これからもっと立派な体になってもらいたいなと思っています。牝馬が通ると反応しているのは動物の本能なので、これから仕事をしていく上ではいいことですね」(村上代表)。

 新しい仕事をスタートさせるために、すっかり切り替えているようです。年明けに種牡馬になるための検査を行い、パスしてから、いよいよ種牡馬カキツバタロイヤル誕生という運びになるそうです。そんなうれしい便りが北の大地から届くことを、心待ちにして……。
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など