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第96回 2016年7月20日 セイントメモリー

オーバルスプリントの口取り撮影シーン
写真提供:高橋華代子
Profile
 大井競馬場の月岡健二厩舎から2009年7月にデビューしたセイントメモリー。コツコツと走り続けていきながら、本橋孝太騎手とコンビを組み、6歳で京成盃グランドマイラーズを優勝して重賞初制覇を飾ると、サンタアニタトロフィー、初のダートグレードレースのオーバルスプリントも制して、重賞3連勝を飾りました。その年のNARグランプリ4歳以上最優秀牡馬を受賞。

 最近の南関東競馬は中央や他地区からの移籍馬が多く活躍していますが、そんな中で、南関東生え抜きでA1クラスにまで上りつめ、ダートグレードレースを制したこの馬も、ソルテと並んで貴重な存在。大井競馬場を代表する名馬の1頭と言えるでしょう。通算重賞タイトルは6勝。

 「これだけの成績を残してくれた馬に出会えたことを誇りに思います。普段は大人しいですがレースにいけばすごい闘志を出してくれて、馬自身がどんどん強くなってくれました」(月岡調教師)。

 先日行われた6月22日の京成盃グランドマイラーズ(11着)を最後に引退し、今後は大井競馬場の誘導馬として第二の馬生を歩むことになりました。偉大なる先輩にはボンネビルレコードがいます。

 7月14日に大井競馬場の誘導馬厩舎にお引越ししました。長きに渡って苦楽を共にしてきた小林大樹厩務員に引かれて、同じ敷地内とは言え場所は変わるので最初は少々気持ちを高めていましたが、1日経つとリラックして穏やかな表情に。ただ、威圧感はたっぷりで、これが王者の風格なのかと……。

今後の具体的な予定は未定ですが、誘導馬になるための訓練は少しずつ始めていくそうです。

 「馬運車に乗せていく引退になると非常に寂しいですが、また顔を合わせられる状態なので最高ですよね。こういう形で第二の生活をスタートできるのは感慨深いです。皆さんの前にお披露目するためにも健康でいて欲しいですし、誘導するようになったら、『メモリー』って声をかけて頂きたいですね」(月岡調教師)。

 セイントメモリーの現役時代は芸術品のような美しい肌ツヤも印象深い馬でした。「皮膚が薄くてビロードのような肌の持ち主で、くすむこともなかったし、こんな美しい馬はなかなかいないと思います」と月岡調教師も言っていましたが、そんな素晴らしいルックスで、これから誘導する姿が待ち遠しいです。

 何より、大井生え抜き馬としてたくさんの夢を見せてくれたセイントメモリー、9歳まで本当にお疲れ様でした!これからもよろしくお願いします!

誘導馬厩舎へお引越しをしたセイントメモリー
写真提供:高橋華代子
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など