dirt
2016年11月1日(火) 門別競馬場 1800m

断然人気にこたえ大差圧勝
デビューから無敵の3連勝

 11月に入り、「寒いですね」が挨拶代わりになる北海道の晩秋。最終開催を迎えたホッカイドウ競馬は、今年も期待の2歳馬を多数輩出した。
 ブリーダーズゴールドジュニアカップ、鎌倉記念を勝ったストーンリバー、栄冠賞、イノセントカップを勝ったバンドオンザラン、サンライズカップ勝ち馬のヒガシウィルウィンなどが、2歳三冠競走の最終戦となる北海道2歳優駿JpnⅢに駒を進めた。
 そしてJRAからは4頭。なかでも、2戦2勝のエピカリスが注目を集めた。8月新潟の新馬戦はハナに立ったまま6馬身差、2戦目プラタナス賞は直線で抜け出す競馬で7馬身差をつけて圧勝し、このレースでの単勝は1.0倍と断然の1番人気だった。逃げが予想されたトミケンカリムが出走を取消し、ホッカイドウ競馬からは10頭の計13頭が出走した。
 発走時刻、午後8時の気温は0.7度。寒空の下ファンファーレが鳴った。好スタートから抜け出したエピカリスがそのままハナに立ち、ゴーリキ、スーパーステションが続き、ひとかたまりでレースを進める。単勝2番人気のストーンリバーは中団。3コーナー過ぎからヒガシウィルウィンやビービーガウディ、リコーソッピースなどの後続が仕掛けはじめた。依然としてエピカリスは楽な手応えのまま、2番手以下の騎手たちが必死に馬を追う。
 4コーナーを過ぎても、エピカリスの鞍上クリストフ・ルメール騎手はまだ持ったまま。直線でぐいと突き放すと、スタンドの歓声がさらに大きくなった。実況の古川浩アナウンサーが、「独走だ、独走だ。なんと強いのか」と叫ぶ。エピカリスが2着に2秒4差をつけ、1分54秒6で優勝した。上がり3ハロンもエピカリスの39秒5が最速。2着は4番人気のヒガシウィルウィン。スウィフトハートが3着と、サンライズカップの1、2着馬が入った。ストーンリバーは4着。
 深い門別の馬場も、初の右回りもナイターも、関係ない圧勝劇だった。ルメール騎手も「とても乗りやすい馬で、簡単に勝ちました。強かったね」と目を丸くする。生産者の鎌田正嗣さんは「パドックでも落ち着いて、大人びていた。育成牧場や厩舎など、みなさんのおかげです」と愛馬の成長に目を細めた。関係者もファンも、ゴールドアリュール産駒の新たな大物に夢が広がる勝利となった。ホッカイドウ競馬の馬たちも、堂々とエピカリスのペースに挑んだからこその着差だった。
 ホッカイドウ競馬のレースにこれほどの実力馬が出走し、パフォーマンスを魅せてくれたことが嬉しいと、素直に感じられるほどのレースぶりだった。エピカリスが“2歳戦の門別競馬”の価値をさらに引き上げてくれたといえるだろう。
C.ルメール騎手
4コーナーでペースをあげました。後ろは誰も見えなかった。ちょっとスタンドに驚いたので気合を入れたけれど、その必要もない強さだった。競馬が上手で、ポテンシャルが高い馬。次走が楽しみです。
萩原清調教師
今日は、強い競馬をしてくれてよかったです。次走は、馬の状態をみながら考えるので未定です。

2着に入ったヒガシウィルウィン
取材・文:小久保友香
写真:中地広大(いちかんぽ)