2番手からゴール前抜け出す
地元の期待馬が復活の勝利

　グランダム・ジャパン古馬シーズンは今年、金沢・読売レディス杯が7月上旬から8月に移動したため、第3戦の兵庫サマークイーン賞が西日本では最初の舞台。それゆえか、地元馬7頭に対して南関東からも含め5頭が遠征。いかにも女王のタイトルを狙ってきたと思えるメンバーが揃った。
　スタートで悲鳴が上がった。単勝1.9倍のピッチシフターが出遅れ、馬群から取り残されて最後方からの追走となった。逃げたのは最内枠のケンブリッジナイスで、エーシンサルサがピタリと2番手につけた。
　流れが落ち着くスタンド前でピッチシフターの大畑雅章騎手は位置取りを上げようと試みていたようだったが、ペースはそれほど緩むことがなかった。2コーナーを回るあたりでもピッチシフターは前からはまだかなり差のある中団よりうしろの位置取りだった。
　向正面半ば過ぎでペースが上がると、前2頭と3番手以下の差が徐々に広がったが、唯一、ピッチシフターが差を詰めてきた。3コーナーでは前2頭をとらえようかという勢いで3番手まで押し上げ、勝負は単勝一桁台の人気3頭に絞られた。
　3～4コーナーあたりの手ごたえではケンブリッジナイスが逃げ切るかに思えたが、1700メートルという距離はやはり限界。ゴール前で脚が上がり、これをとらえたエーシンサルサが2馬身半突き放し、木村健騎手はガッツポーズでのゴールとなった。
　「小回りコースで、逃げてなんとか粘り込めないかと思ったんですが、最後は相手のほうが力がありました」とケンブリッジナイスの吉原寛人騎手。同じサウスヴィグラス産駒ではあるものの、最後はこの距離での底力の差だったようだ。
　ピッチシフターも差を詰めてきたが、2着のケンブリッジナイスにクビ差まで迫ったところがゴール。やはりスタートでの出遅れは大きく、むしろ向正面からのロングスパートで前をとらえようかというレースぶりは、あらためてこの馬の能力の高さを示した。
　勝ったエーシンサルサは、このレース連覇。昨年はこのあと牡馬相手の摂津盃まで制し、A1特別から6連勝という快進撃を見せた。しかしその後は長期の休養。「摂津盃のあと、脚元に気になるところがあったので休ませました。戻ってきてからも状態が戻るのに時間がかかりましたが、勝てて最高にうれしいです。今日の馬場は逃げたらしんどかったと思います。ケンブリッジナイスが行ってくれて、展開的にもよかった。木村君もうまく乗ってくれました」と橋本忠男調教師。
　園田では前週の台風通過から、スーパージョッキーズトライアルが行われた前日まで水の浮く馬場状態。それゆえこの週の開催中も何度かコースに砂が補充されていた。しかし猛暑となったこの日は、発表こそ重だったが、馬場は急速に回復。そうした馬場状態の急速な変化を知っている地元の利も、エーシンサルサには味方したようだ。
　さて、第3戦を終えたグランダム・ジャパン古馬シーズンは、表彰対象の地方馬では、3着の4ポイントを加えたピッチシフターが11ポイントでトップに立ったが、2日前のノースクイーンカップを制したサンバビーン、そしてエーシンサルサが10ポイントで続くという混戦となっている。