先行2頭の一騎打ちは半馬身差
2歳最優秀馬が三冠初戦を制す

　南関東クラシックシーズンの到来を告げる桜花賞は、グランダム・ジャパン3歳シーズンの第2戦でもある。このレースは2010年から地方全国交流として行われており、今年は他地区から兵庫のトーコーヴィーナスが参戦。すでに重賞4勝をあげている期待馬ということで注目が集まった。
　前日発売の段階から人気はかなり割れており、最終的に1番人気に推されたのは船橋のスターローズで単勝3.0倍。2番人気は兵庫のトーコーヴィーナスで3.5倍。3番人気は大井のララベルで4.1倍と続き、5番人気までが10倍以下と混戦模様。しかしレースは、東西の実績馬2頭が一騎打ちを繰り広げ、場内を大いに沸かせた。
　先手を取ったのはトーコーヴィーナスで、ララベルが直後の2番手。セイエイシャルムやリボンスティックなどがその後に続き、一団となってレースが進んだ。人気の一角トーセンマリオンは後方2～3番手、スターローズは最後方を追走した。
　そのスターローズが向正面半ばあたりで動き始めたが、先行したトーコーヴィーナスとララベルが抜群の手ごたえで後続を引き離しにかかった。直線に入ったところでは内外で離れていたのだが、ラチ沿いのトーコーヴィーナスと田中学騎手が馬体を併せにいくと、「臨むところだ」という真島大輔騎手とララベルも勝負に応じ、両者の追い比べが始まった。そしてゴール前、半馬身前に出たのはララベルだった。見た目には大接戦の直線に思えたのだが、真島騎手からは、「併せ馬になっても負けないと思っていましたから」と余裕のあるコメントが返ってきたことには驚いた。
　2着に敗れたトーコーヴィーナスだが、3着のアイスキャンドルを4馬身離していたことからも、その実力を南関東のファンに示すことはできただろう。「左回りを気にしていたが、先行力が通用することは分かりました。昨年の2歳牝馬トップホースにあれだけくらいついたのだから凄いです」と田中騎手は手応えを掴んだようだ。今後、グランダム・ジャパンに参戦するのかなど、動向が気になるところだ。
　前哨戦のユングフラウ賞を制し、桜花賞の最有力候補として期待されたスターローズは9着に終わった。「前走の砂（不良）は平気だったのに、今回の乾いた砂は嫌がって……。早めに動かしていきましたが、全然反応しませんでした。前回の不利（他馬との接触）の方が普通は嫌がるんですけどね……」と山崎誠士騎手は首をかしげた。
　さて、NARグランプリ2014・2歳最優秀牝馬の称号を引っ提げ今年初戦を迎えたララベルは、重賞3連勝で牝馬クラシック一冠目奪取と、さらに実績を積み上げた。ただ、今回は万全の態勢ではなかったそうだ。「今まで出走した中で一番状態が良くなかったので、とにかく無事に走ってくれという気持ちで見ていました。それでもあの競馬ですから、とてつもなく凄い馬だと再確認しましたね」と荒山勝徳調教師。言葉通りこのレース内容や周囲の評価からも、現時点では一枚抜けた存在だといえるだろう。そして荒山調教師はこう続けた。「牝馬三冠という意識も高くなりました。気は早いですが、関東オークスは打倒ブチコ（JRA所属の白毛馬）ですね」。南関東牝馬三冠を達成したのは2006年のチャームアスリープのみ。史上2頭目の快挙に向けてララベルの挑戦が始まった。