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2015年12月29日(火) 大井競馬場2000m

直線大外一気に差し切る
秋の上り馬が2強を一蹴

 晴天に恵まれた12月29日、東京大賞典GⅠ当日の大井競馬場には、昨年より1万人近く多い、3万4076人のファンが暮れの大一番を楽しみに集まった。
 今年の出走馬は14頭。JRA勢6頭すべてが前走チャンピオンズカップGⅠからの出走で、場所を変えての再戦という様相。地方勢は、浦和記念JpnⅡの1、2着馬、ハッピースプリントとサミットストーンが揃って参戦し、今年のダート戦線の締めくくりにふさわしいメンバーが集結した。1番人気は、このレース3連覇を狙うホッコータルマエで単勝2.3倍。2番人気は、今年のJBCクラシックJpnⅠ(大井)の覇者コパノリッキーで2.7倍。3番人気は、チャンピオンズカップGⅠ・3着のサウンドトゥルーで3.9倍と、三つ巴の状態でレースがスタートした。
 予想通り先手を取ったのはコパノリッキー。それを徹底マークするようにホッコータルマエが外の2番手にピタリとつけた。3、4番手に、ワンダーアキュートとハッピースプリントが続き、先行集団の後ろにサミットストーンが追走。サウンドトゥルーは、中団あたりで有力馬を見ながらレースを進めていた。
 3~4コーナーで少し差を広げたコパノリッキーとホッコータルマエ。やはりこの2頭の一騎打ちか、と思わせたが、直線に入るとすぐにホッコータルマエが先頭に立ち、突き放しにかかった。しかし、大外からぐんぐん伸びてきたのがサウンドトゥルー。ゴール前で一気にホッコータルマエを捉えると1馬身3/4差をつけてゴールイン。大野拓弥騎手が力強く拳を握った。
 この秋最大の上り馬サウンドトゥルーが頂点に立った。今年10月の日本テレビ盃JpnⅡで重賞初制覇を飾ると、その後、JBCクラシックJpnⅠ・2着、チャンピオンズカップGⅠ・3着と確かな末脚で頭角を現してきた。「一戦一戦力をつけている。ここ2戦は勝てずにいたが、今日はきれいに差し切ってくれて嬉しい」と大野騎手は満面の笑顔。高木登調教師は「以前より体が柔らかくなって、レース後の反動が出なくなった。今年は順調に使えたし、急激に力をつけていますね」と成長ぶりを語った。まだ5歳、どれだけ強くなっていくのか楽しみだ。
 そして、このサウンドトゥルーの勢いに屈することとなった実績馬、ホッコータルマエとコパノリッキーだが、この2頭の対決は終始見応えのあるものだった。「勝った馬はどんどん強くなっているけど、コパノリッキーの強さを一番知っているだけに、楽な競馬をさせるわけにはいかなかった」とホッコータルマエの幸英明騎手。一方、4着に終わったコパノリッキーの武豊騎手は「前走から手前を全然変えないんですよね。状態なのかどうなのか。ただ今日はマークがきつかった。これが逃げ馬のつらいところ」と、自分の競馬はやりきったという雰囲気で語った。互いに良きライバルと認め合うこの2頭に、脚質の違う新鋭が加わり、来年はどんな展開が待ち受けているのだろうか。
 なお、これまでダート戦線の中心的存在だった9歳馬ワンダーアキュートがこのレースで引退となった。東京大賞典GⅠは6年連続の出走で、最後は3着というこの馬らしい走りを見せてくれた。GⅠ/JpnⅠは27戦出走し、3勝、2着7回、3着8回というハイレベルな安定感を誇り、今年のかしわ記念JpnⅠでは、史上初の9歳馬による平地GⅠ/JpnⅠ制覇という快挙も成し遂げた。引退レースの手綱を取った和田竜二騎手は、レースから戻るとワンダーアキュートの首筋を優しく抱擁し「いいレースをしてくれた。最後もコパノリッキーを捉えてくれたし。本当に本当に偉い馬」と相棒を称えた。
 今年は5着までをJRA勢が独占。地方馬最先着は6着のハッピースプリントだった。宮崎光行騎手は「3コーナーで仕掛けたけど、上がりのペースについていけなかった。でも試してみないとどうなるか分からないし、今日は思いきって行った」とコメント。自ら攻めた結果にまったく悲観はしていなかった。今年のダートGⅠ/JpnⅠ戦線では常に見せ場を作り、経験を積んできたハッピースプリント。来年こそはという想いは、陣営もファンも同じだろう。
大野拓弥騎手
夏の時点ではジーワンを勝てると思っていなかったので夢のようです。だいたいイメージ通りに乗れましたが、ペースが速く追走に苦労しました。直線はもう少し楽に届くと思いましたが人馬ともにいっぱいいっぱいでしたね。来年は迎え撃つ立場になるのでさらにパワーアップしてがんばりたいと思います。
高木登調教師
ここ2戦悔しい思いをしてきたので勝ちたかったです。いい状態をキープしてきたので今日の気配も問題ありませんでした。いい位置取りでしたが道中はいつもとリズムが違う走りをしていたので少し心配でしたね。直線は力が入りました。かなりいっぱいに走ったので馬の状態を見て来年の予定を決めます。

 今年の東京大賞典GⅠの売上27億4963万900円は、地方競馬1レースあたりの売上レコードを更新。そして1日の売上48億5144万4950円(SPAT4LOTO含む)も、11月3日のJBC開催を上回り、地方競馬1日あたりの売上レコードを更新した。2015年は、JBCの開催や新スタンドのオープンなどもあり、プロモーションやイベントなどを積極的に行ってきたTCK大井競馬。その努力が実った、まさに今年の総決算といえる1日となった。

取材・文:秋田奈津子
写真:国分智、築田純(いちかんぽ)