スタートを決めて2番手から
直線独走となって重賞連勝

　この日の大阪地方は、最高気温が37度を超えたとのこと。そういう状況ではナイター開催であっても、陽射しが強い前半戦ではスタンドのひな壇には人影がまばらで、馬場はカラカラに乾いていた。
　そして、この週の開催前には馬場のインコースに砂が補充されていた。その影響があるのかどうか、この日は第1レースから兵庫サマークイーン賞のひとつ前の第9レースまで、逃げた馬が2着以内に粘り込むという結果。その傾向も加味されたのだろうか、ナイター競馬の雰囲気が濃くなったパドックに12頭の出走馬が現れたとき、逃げ先行で好成績を挙げているエーシンサルサの単勝オッズは、すでに2倍を切っていた。続く2番人気もトーコーニーケと、地元所属馬に注目が集まったが、その2頭の明暗はスタートではっきりと分かれることになった。
　ゲートが開いた瞬間、まっさきに飛び出していったのはエーシンサルサ。逆にトーコーニーケは一歩目で滑ってしまい、後方からの競馬になってしまった。エーシンサルサは同じく好スタートを切ったスマイルヴィジットに先手を主張されたが、鞍上の木村健騎手は無理せずに2番手を選択。3番人気に推された昨年の2着馬、船橋のアスカリーブルは馬群の中団付近を追走し、やはり「スタートでつまずいた」（石崎駿騎手）という船橋のエミーズパラダイスは、後方から前を窺うという展開になった。
　しかしこの日の馬場は、後方待機策から台頭するには厳しかったのかもしれない。トーコーニーケもエミーズパラダイスも2周目の向正面から先頭集団をめがけて追い上げたが、見せ場はそこまで。第3コーナーで先頭に立ったエーシンサルサが、最後の直線では他馬を置き去りにして7馬身差で圧勝。2着と3着には、スタートからロスなく脚を溜めていたアスカリーブル、そして笠松のタッチデュールが入線した。
　エーシンサルサはこれで5連勝を達成。しかしながら今年の3月末の時点では、オープンクラスではいまひとつという馬だったのである。橋本忠男調教師いわく、「ゲートをまともに出るようになったので」とのことだが、それにしてもすごい変身ぶりだ。ブリンカー着用、パドックでは最終周回を待たずに馬場入りと、まだ精神面に心配が残る状況ながらも、着実に成長しているということなのだろう。この勝利でエーシンサルサはグランダム・ジャパン古馬シーズンの対象レースを2勝して、第4戦が終了した時点でトップに立った。
　エーシンサルサの次の目標は、古馬シーズン第7戦となる9月15日の秋桜賞（名古屋）。橋本調教師のその言葉を聞いた馬主関係者の間には「（エーシン）クールディが勝ったレースですね」と、期待にあふれる笑顔が広がった。ただ、2着に敗れたアスカリーブルを管理する出川克己調教師からは「このシリーズにまた参戦します」と、2年連続での古馬シーズン優勝を狙っていく方針が示されている。さて、名古屋ではどのような顔合わせになるのだろうか。優勝争いの行方には、陣営のレース選択も大きな要素として加わることになりそうだ。
　

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