dirt
2014年12月7日(日) JRA中京競馬場 ダート1800m

積極策から直線先頭で押し切る
完全復活で悲願のJRAGⅠ奪取

 昨年まで阪神競馬場で行われていたジャパンカップダートが、今年から中京競馬場に舞台を変え、レース名もチャンピオンズカップに変更。いわゆる招待競走ではなくなったが、アメリカからは1頭の遠征があったが、地方馬は残念ながら2009年から6年連続で不出走となった。
 高松宮記念に続いての中京競馬場でのGⅠということに加え、人気グループTOKIOのメンバー全員が来場することもあって早い時間から場内はたいへんな混雑。入場人員44,461人は、今年の高松宮記念(24,882人)より約8割増というファンでにぎわった。
 1番人気はJBCクラシックJpnⅠを圧勝ともいえる内容で逃げ切ったコパノリッキーで、単勝3.0倍。もしここを勝てば、JRAのダート両GⅠ制覇に加え、今年GⅠ/JpnⅠ・4勝目となり、東京大賞典GⅠを待たずしてダートチャンピオンの座がほぼ確定となる。2番人気は、ドバイ以来の復帰戦となったJBCクラシックJpnⅠで4着だったホッコータルマエ。3番人気がローマンレジェンドで、ダートGⅠ/JpnⅠタイトルのある3頭が上位人気を占めた。
 逃げたのはクリノスターオーで、ホッコータルマエがピタリと2番手を追走。コパノリッキーはといえば、スタートでやや出負けして中団からの追走となった。
 直線を向いてホッコータルマエが先頭に立ち、直後につけていたローマンレジェンドが並びかけてきたが、残り200メートルあたりでこれを振り切り、代わって今度はナムラビクターが迫ったが、半馬身差でしのいだところがゴールとなった。3/4馬身差でローマンレジェンドが3着。JBCレディスクラシックJpnⅠの覇者サンビスタは、牡馬のこのメンバーに入って4着と健闘を見せた。
 強いホッコータルマエが戻ってきた。西浦勝一調教師からは、「3、4番手か、悪くても5、6番手」という指示だったそうだが、好スタートゆえの2番手追走。いつでも前をとらえられる位置でレースを支配した。直線、ローマンレジェンドを振り切って、さらにナムラビクターを抑え込んでというレースぶりは、「うしろから来たらその分だけ動いていこうと思っていました」という幸英明騎手の考えていたとおり。直線は長く感じたというが、それで押し切ったのはホッコータルマエの底力だろう。
 西浦調教師によると、ドバイでの惨敗のあと体調を崩し、それでも夏までは順調に回復していたという。ところがJBCの約2カ月前に筋肉痛を起こし、それゆえJBCは急仕上げになった。その結果が、勝ったコパリッキーに直線で並びかける見せ場があっての4着。「使われながらよくなってくる馬」(幸騎手)というホッコータルマエにとって、叩き2戦目での上積みは大きかったようだ。
 昨年から今年にかけて地方でGⅠ/JpnⅠ・5勝を挙げていたホッコータルマエだが、JRAのGⅠには惜しいところで手が届かず。今回の勝利は、JRAのGⅠタイトルをという陣営の悲願達成となった。このあとは1年前と同じローテーションで、東京大賞典GⅠ、川崎記念JpnⅠ、そしてフェブラリーステークスGⅠからドバイワールドカップへの再挑戦を予定しているとのこと。
 一方のコパノリッキーは見せ場をつくれずの12着。「ゲートの出がよくなくて負けたのではないと思うし、1~2コーナーで他馬にぶつけられたんですが、それが原因でもない。(馬が)自分から上がっていったんですが、止まってしまいました」と田邊裕信騎手。少しずつ歯車が噛み合わないところがあり、それが積み重なっての敗戦となったのだろう。コパノリッキーも状態に問題がなければ、次走には東京大賞典GⅠを予定しているとのこと。
 今年のダート戦線では、コパノリッキーとホッコータルマエがJRAのダートGⅠを分け合った。地方でのJpnⅠタイトルは、ここまでコパノリッキーが2勝(かしわ記念、JBCクラシック)に、ホッコータルマエが1勝(川崎記念)。東京大賞典GⅠは、まさに今年のダートチャンピオンを決する舞台となりそうだ。

幸英明騎手
西浦勝一調教師

この日は人気グループのTOKIOのメンバーが全員来場

取材・文:斎藤修
写真:岡田友貴(いちかんぽ)