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2014年5月28日(水) 浦和競馬場 1400m

転入2戦目の期待馬は悔しいクビ差
1番人気馬がゴール前一気に差し切る

 今年で18回目を迎えた、さきたま杯JpnⅡ。ここまで勝ち馬として名を刻んできたのは、中央馬15頭、地方馬2頭と圧倒的に中央勢が多い。今年はもう少しのところで地方勢に勝利の女神が微笑むかと思われたのだが、最後の最後に、蛯名正義騎手がエスコートした1番人気のノーザンリバーが力でねじ伏せた。
 中央勢はもちろんのことだが、今回は地方勢も豪華メンバーがそろっていた。
 3年前の覇者で2年連続(2010、11年)NARグランプリ最優秀短距離馬の受賞実績があるナイキマドリードが逃げる形となり、昨年のNARグランプリ最優秀4歳以上牡馬に輝いたセイントメモリー、かきつばた記念JpnⅢを制したばかりのタガノジンガロが追走。中央勢はセイクリムズンやダノンカモンが続き、ノーザンリバーはその後ろをキープ。「1コーナーで(他馬に)寄られてしまったので、思っていたよりも後ろになってしまいました」(蛯名騎手)。
 その後ろにつけていたトキノエクセレントは、今回が中央から川崎への転厩2戦目。向正面中ほどから進出していくと、3~4コーナーでは逃げるナイキマドリードに並びかけ、直線では単独先頭へ。そのままトキノエクセレントが押し切るかと思ったところ、大外から一気に襲い掛かってきたノーザンリバー。「カーブがきついのでスピードのノリがいつもより遅くなりましたが、直線ではこの馬本来の伸び脚を見せてくれました」(蛯名騎手)。トキノエクセレントをクビ差交わしたところがゴールだった(勝ちタイムは1分26秒7・重)。
 ノーザンリバーの今後の予定は現段階では未定ということだが、今年の最大目標はJBCスプリントJpnⅠ(盛岡1200メートル)に置いているそうだ。
 一方で、中央時代にノーザンリバーやセイクリムズンらとも差のない走りをしていたトキノエクセレントにとっては、悔しいクビ差となってしまった。
 前走のプリムローズ賞ではかなり折り合いを欠きながらも勝利し、力の違いを見せつけたばかり。一度使ったことで状態は上向いており、厩舎サイドも非常に楽しみにしてのダートグレード挑戦だった。コンビを組んだ見澤譲治騎手の話では、今回も行きたがる面があったそうで(前回よりは良かったそうだが)、そこは今後の課題になるだろう。中央での5勝もすべてダート1400メートルというスペシャリストだけに、今後は中央遠征なども視野に入れながらローテーションを組んでいく予定だ。コンディションは良化を見込めるそうで、さらに強くなっていく期待も高まる。これからのトキノエクセレントにも注目していきたい。
 最近の南関東勢はダートグレードで寂しい結果が続いていたが、久しぶりに熱くさせてもらった。こういう瞬間があるからこそ、競馬はやめられない。

蛯名正義騎手
ホッとしました。残り100メートルの脚色が良かったので、何とか間に合ってくれるんじゃないかと思っていました。最近は厩舎関係者や牧場の方々の努力の甲斐もあって、馬は使い込んでもガクッとくることがなくなってきたので、非常に良い状態を保って走れています。これからも楽しみです。
浅見秀一調教師
(ノーザンリバーは)1歳のセリで初めて見て、バランスや動きが気に入った馬なんです。最近は状態の変動が大きくないので、ここまで順調に進めることができました。レースの指示は特に出してはいません。ヒヤッとした場面もありましたが、蛯名君がうまくさばいてくれました。


トキノエクセレントは惜しかった

取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)