レースハイライト タイトル
dirt
2013年6月13日(木) 門別競馬場 1200m

馬場を見極め外から抜き去る
1年ぶりの勝利で連覇達成

 今年の日本ダービーをキズナで勝利した武豊騎手。その日本ダービーではエピファネイアに騎乗し、半馬身差の2着となった福永祐一騎手。さらに昨年の日本ダービーをディープブリランテで制した岩田康誠騎手に、昨年の天皇賞・春ではビートブラックに騎乗して、自身初となるGⅠ制覇を果たした石橋脩騎手が参戦と、今年の北海道スプリントカップJpnⅢには、中央から旬なジョッキーが参戦した。
 福永騎手が騎乗する昨年の勝ち馬セレスハントや、今年のかきつばた記念JpnⅢなどダートグレードで2勝を挙げている石橋騎手のティアップワイルド、そして今回は岩田騎手の騎乗となったJBCスプリントJpnⅠの勝ち馬サマーウインドら重賞実績馬を差し置いて1番人気となったのは、重賞未勝利ながらも全7勝をすべてダート1200メートルで挙げているマルカバッケンだった。これは条件の相性だけでなく、武騎手の人気によるところもその理由と言えそうだ。
 レースは、川崎から参戦してきたキョウエイロブストがダッシュよく飛び出すも、残り3ハロン付近でサマーウインドが先頭に踊り出た。その外からティアップワイルドが並びかけ、人気のマルカバッケンも馬体を併せながら4コーナーを回っていく。
 直線を向いても先頭はサマーウインドだったが、59キロの斤量が響いたのか伸びきれず、ティアップワイルドを競り落としたマルカバッケンが残り1ハロンで交わしにかかった。
 すると同時に馬場の真ん中から一気に先頭に踊り出たのが、昨年の覇者セレスハントだった。昨年はインコースを突いて栄冠を掴んだが、レース前に馬場を確認したという福永騎手は、インコースの砂の深さに対して馬場の真ん中より外の方が浅くなっていると判断。見事、セレスハントをヴィクトリーロードにエスコート。02・03年のサウスヴィグラス、06・07年のアグネスジェダイに続き、3頭目となる連覇を達成してみせた。
 2着にはしぶとく粘りこんだマルカバッケンが入り、3着にはティアップワイルドと、昨年に続いて中央所属馬が上位を独占する結果となった。
 レース後のインタビューでは、「たくさんのファンの皆さんに応援していただけてありがたく思います」と話していた福永騎手。その感謝を示すように、柵沿いに詰めかけたファンのサインや握手にいつまでも応じていた。
 そしてもうひとり、ファンからサインや握手を求められていたのが、セレスハントを管理する松永幹夫調教師。甘いマスクと華麗な騎乗スタイルで騎手時代からファンも多かったが、調教師となった今も人気の高さは相変わらず。ファンから贈られた祝福の声に“ミッキースマイル”でこたえていた。その松永調教師からは、「元気なら来年も出走させて3連覇を目指したいですね」との言葉も聞かれた。
福永祐一騎手
馬の調子がいいと聞いていましたが、返し馬であらためてそのことを実感できました。今までにない脚を使ってくれましたし、8歳という年齢とは思えないほどに若さも感じられます。これも馬を仕上げてくれた厩舎の皆さんや、これだけの馬を育ててくれた、牧場の皆さんのおかげだと思います。
松永幹夫調教師
昨年と同様にレースの1週前に入厩して調整を行ってきました。レースが近づくにつれて状態が上向いてきただけでなく、年齢を感じさせない若さも見られたように、門別競馬場の雰囲気や今の北海道の気候などがこの馬に合っているのでしょう。この後はクラスターカップを目指して調整していきます。


取材・文:村本浩平
写真:中地広大(いちかんぽ)