レースハイライト タイトル

2012年4月27日(金) 笠松競馬場 2500m

スローな流れで理想の展開に
直線追ってくる人気馬を完封

 一昨年この世を去ったオグリキャップの名を冠し、笠松最高賞金で争われる地方全国交流重賞。この日の開門時にはオグリキャップのオリジナル帽子が先着500名に配布されたが、平日にもかかわらず、それは一瞬にしてなくなったという。引退して20年以上が経った今でも、競馬ブームをけん引したオグリキャップの人気は衰えることがない。
 断然人気となったのは、大井・金盃での2着が光る船橋のタートルベイだったが、その追撃を振り切って勝ったのは、金沢から遠征のジャングルスマイルだった。
 スタートからハナを奪ったのはジャングルスマイルで、スローペースに落としての逃げ。馬群はほぼ一団のまま、しかしうしろから競りかけてくる馬はない。2周目の2コーナーを回るあたりで後方から人気のタートルベイが一気に押し上げてきたが、それも2番手を追走していたタンゴノセックの直後まで。最後の直線を向いてもジャングルスマイルが先頭で、タートルベイがこれを追いかけ、2頭の一騎打ちになるかに思えたが、その差は最後まで詰まらず。1馬身半差をつけてジャングルスマイルが押し切った。2着のタートルベイから4馬身離れた3着に高知のタンゴノセックが入った。
 「正直、自信はなかったんですよ」とは、ジャングルスマイルを管理する金田一昌調教師。もっとも心配だったのは輸送だ。3走前、川崎に遠征した報知オールスターカップでは、3番人気支持され絶好調で臨んだものの、3~4コーナーで勢いをなくし13着と惨敗。それゆえ今回は、前走地元のスプリングカップ2着から体を戻すことだけを考えて、追い切りはせずにレースに臨んだという。
 「スローな流れで、うしろから競りかけてくるも馬もなく、とにかく今回は展開が向いた」と金田調教師。そういえばジャングルスマイルが金沢に転入して連戦連勝を続けているころは、そんな競馬ばかりだった。そこに現れたのがナムラダイキチという強敵。思えば昨年9月のオータムスプリントでは、ジャングルスマイルが断然人気に推されながら、ナムラダイキチに8馬身ちぎられて完敗の2着。これは1400メートルの忙しい流れで、明らかにジャングルスマイルには向いていなかった。北國王冠では向正面から延々の一騎打ちでナムラダイキチをクビ差でしりぞけたが、同じように早めに並びかけられた中日杯、そしてスプリングカップでは直線で突き放された。
 今回は、向正面で仕掛けてきたタートルベイが一気にまくりきるまではいかなかったところが、ひとつのポイントになったようだ。実際にタートルベイは金沢在籍時、2年前の中日杯ではジャングルスマイルに1馬身半差をつけて負かした経験もある。「(タートルベイに)早めに並びかけてこられたら、3着くらいだったかも」と金田調教師は振り返る。
 ジャングルスマイルの次走は、いったん休みを挟んで、地元の百万石賞(6月17日)の予定だ。早めに並びかけてくるナムラダイキチに対して、今度はどんな戦法で臨むのか。ここまで2頭の直接対決は、ジャングルスマイルの2勝に対して、ナムラダイキチが3勝。ジャングルスマイルの地元での巻き返しにも期待したい。
平瀬城久騎手
今日は思い切って行こうと、先生とも話していましたが、この馬のペースになって、それが結果につながってくれました。相手としてはタートルベイが一番怖かったですが、4コーナーを回っても手応えがあったので、だいじょうぶかなと思いました。
金田一昌調教師
輸送に不安はありましたが、今回は約3時間と距離が近く、川崎と違って当日輸送だったのもよかったと思います。追って伸びるタイプでもないし、終いの脚に賭けようというタイプでもないので、スローな流れで、直線も短く、とにかく展開が向きました。笠松の砂もこの馬に合っていたと思います。

最後の直線 ジャングルスマイル(内)にタートルベイが迫るが届かず

取材・文:斎藤修
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)