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レースハイライト
 
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2010年6月30日(水) 大井競馬場 2000m

競走成績Movie

歴戦のJRA勢を寄せつけず、直線見せた驚異のパフォーマンス

 まさにダートの上半期を締めくくるにふさわしいメンバーが揃った。
 秋に予定されるアメリカ遠征を控えたエスポワールシチーこそ不在となったが、ヴァーミリアン、フリオーソ、ボンネビルレコードは、ここ3年の帝王賞JpnIの覇者。サクセスブロッケン、カネヒキリは、昨年、一昨年の東京大賞典を制している。さらに今回の帝王賞を興味深いものとしたのは、ダートグレードで10勝を挙げているスマートファルコンが、08年のJBCスプリントJpnI(2着)以来、久々にJpnIの舞台に姿を見せたこと。
 こうした錚々たるメンバーの中で、驚きともいえる輝きを放ったのが、船橋のフリオーソだった。
 好スタートを切ったフリオーソは、気合を入れて逃げの手に出たサクセスブロッケンの2番手を追走。4コーナーまで持ったまま、絶好の手ごたえで前に並びかけた。直線を向いて単独で先頭に立つと、鞍上の戸崎圭太騎手はちらりとうしろを振り返り、後続の脚いろを確認する余裕まであった。そして満を持して追い出されると一瞬のうちに突き放し、混戦の2着争いから抜け出してきたカネヒキリに2馬身半という決定的な差をつけての完勝となった。
 カネヒキリにとっては、06年のこのレースでアジュディミツオーの2着に敗れていただけに、またも川島正行厩舎勢に屈しての2着。とはいえ、屈腱炎を克服しての08年から09年にかけてGI・JpnI・3連勝があり、さらに今回は昨年のかしわ記念JpnIでの骨折から約1年2カ月ぶりの実戦で見せた結果だけに、あらためてこの馬の能力の高さを示した。
 そしてカネヒキリにアタマ差まで迫った3着は、ラチ沿いから伸びてきたボンネビルレコード。大井に戻ってこれが2戦目。帝王賞には5年連続の出走で、5、1、2、3、3着という結果は、同じコースで争われる東京大賞典が過去に4回出走していずれも着外だったことを考えれば、このレースに対する執念ともいえる結果だろうか。
 フリオーソが勝ったこと自体は、これまでの実績を考えればそれほどの驚きではない。しかし、直線で後続をまったく寄せつけなかった完璧なレースぶりは、見ている誰しもをアッといわせたのではないだろうか。さらには、これまで9度対戦して一度たりとも先着を果たせていなかったヴァーミリアンのみならず、さらに強力なメンバーを相手に見せた今回のパフォーマンスだけに、これは驚きというほかない。
 川島正行調教師は、03年のネームヴァリュー、06年のアジュディミツオー、そして08年と今年のフリオーソと、ここ8年の帝王賞で4勝。仮に南関東限定の重賞であったとしても、これほどの確率で同じタイトルを獲るというのは簡単なことではないだろう。それが、中央の一線級を相手に迎えたJpnIという最高の舞台でのものとあれば、これはもう驚異的というしかない。
 フリオーソは、このあとは一息入れて日本テレビ盃JpnIIから、JBCクラシックJpnIを目標にするという。今年、初めて船橋競馬場で行われるJBCに向け、期待が高まるフリオーソの快走であった。
戸崎圭太騎手
なかなか勝ちきれず、惜しいレースが多かったんですけど、今日はほんとに馬の調子もよかったし、ぼくも自信を持って乗れたので、いい結果につながったと思います。馬が充実しているので、位置どりはどこからでもだいじょうぶだと思って、折り合い重視で行きました。すごくいいメンバーが揃って、その中で勝ちきれたというのは、フリオーソはほんとに強くなっています。
川島正行調教師
すごいメンバーを相手にして、これだけのレースをしてくれたということで、ほんとにうれしかったです。今回は万全の仕上げで、自分でも自信を持って、戸崎君にも「今日勝てないんじゃ、もう勝つチャンスはないよ」と送り出してあげたので、彼も自信を持って乗っていたと思います。直線では馬なりで先頭に立って、あとはどこで仕掛けるか、今日は戸崎君のカンも冴えていたんじゃないでしょうか。強いフリオーソが見せられました。




取材・文:斎藤修
写真:NAR、いちかんぽ(森澤志津雄、三戸森弘康)

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