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レースハイライト
 
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2011年2月2日(水) 大井競馬場 1800m

競走成績Movie

ゴール前人気2頭の一騎打ち
実績馬が力でねじ伏せる

 南関東では、船橋のクイーン賞JpnIIIが12月に移動した2004年以降、年明けのTCK女王盃JpnIII、そしてエンプレス杯JpnIIへという古馬牝馬による交流3戦のローテーションが確立。ダートグレード戦線で上位を争う牝馬にとっては、照準を合わせたくなるシリーズだ。
 実際、このTCK女王盃では05年以降、前年のクイーン賞を制した馬が、該当馬の出走がなかった07年と08年以外、すべて勝利をおさめている。そのデータもあってか、同レースを完勝したミラクルレジェンドの単勝オッズは1.7倍。1倍台前半という時間帯もあったほどで、レパードステークスから重賞3連勝を予想したファンも多かったようだ。
 しかし今回はダートグレード4勝の実績を誇るラヴェリータという強敵が出走してきた。前2走はJBCクラシックJpnIとジャパンカップダートGIで苦戦となったが、牝馬限定戦なら簡単に負けるわけにいかない存在だ。
 ザッハーマインも逆転を狙ってきた。クイーン賞では逃げ切れなかったが、先行有利の馬場状態なら話は別。さらに昨年の関東オークスJpnIIを制したシンメイフジ、巻き返しを期すブラボーデイジーもエントリー。この5頭の単勝オッズが10倍以下と、上位拮抗の様相でレースを迎えることとなった。
 レースでもその上位人気馬に、本来は追い込みタイプのプリマビスティーが加わって先頭集団を形成し、4コーナーから怒涛の追い比べが始まった。
 逃げたシンメイフジと2番手を進んだブラボーデイジーが懸命に粘り、ザッハーマインも鞍上のクリスチャン・デムーロ騎手が大きなアクションで馬に推進力を与える。その後ろから、馬群の間を抜けたミラクルレジェンドと大外を回ったラヴェリータが猛烈な競り合いを開始した。両者は残り100メートルで先頭に立って一騎打ち。ゴール地点ではわずかの差だったが、ラヴェリータのほうに凱歌が揚がった。
 ラヴェリータは、前走のジャパンカップダートを最後に引退という予定だった。しかしその方針を転換させたのが、JBCレディスクラシックが創設されるというニュースであった。すぐさま現役生活を1年間延長することが決定され、大山ヒルズ(鳥取県伯耆町)への移動後は、その報せを受けた牧場スタッフが大雪と闘いながら入念に調整して、このレースを目指した。そうした経緯があっての1着に、「引退しないで正解でしたね」と、牧場関係者。今年も牝馬戦線を引っ張る存在となりそうだ。
ミルコ・デムーロ騎手
初めての騎乗でしたが、スタートのいい優秀な馬という印象を持っていました。道中は、弟もいい馬(ザッハーマイン)に乗っていましたし、シンメイフジやミラクルレジェンドにも注意しながら進めていきました。ゴール前はきわどい争いで、ハードなレースになりました。
松元茂樹調教師
前走から2カ月ありましたが、中間の調整はうまくいきました。ジョッキーには、前々で競馬をしないと持ち味が出ない馬だから、と指示を出しました。ゴール前の攻防はちょっと見えにくい場所にいたのでよくわからなかったのですが、がんばってくれたかなと思っていました。今年は秋にJBCレディスクラシックもできましたし、この先も牝馬路線を歩ませていく予定です。

 対して、ダートグレードレース連勝を狙ったミラクルレジェンド鞍上の岩田康誠騎手は、「叩き合いで勝てると思ったんですが……」と悔しそうな表情。それでも、「展開次第で逆転できますよ」と、次の勝負に向けて気を取り直した。
 3着に残ったブラボーデイジーは、「今回はゲートをきちんと出たからね。ただ、こんなパサパサの砂は合わないように思うなあ」と、音無秀孝調教師。師の口からは、次は昨年勝利したエンプレス杯に進むことが明言された。
 さらには「瞬発力勝負では厳しかった」とクリスチャン・デムーロ騎手が振り返ったザッハーマイン、骨折休養明けでも見せ場を作ったシンメイフジも、3月2日川崎のエンプレス杯を見据えている。4週間後もこのメンバーでの上位争いとなるのか、それとも新星が割り込んでくるのか。次の戦いにも引き続き注目が必要だ。
取材・文:浅野靖典
写真:NAR、宮原政典(いちかんぽ)

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