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2009年8月14日(金) 盛岡競馬場 1200m

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JBCスプリント以来の勝利、再び大舞台への足がかり

 天候不順でついに梅雨明けが特定できなかった今年の東北地方だが、クラスターカップJpnIII当日は気持ち良い青空が広がり、良馬場で実施できるという幸運に恵まれた。
 佐賀のサマーチャンピオンJpnIIIと日程が接近しているが、今年は過去2年実施された水沢1400メートルから、創設当初の盛岡1200メートルに条件が戻された。これにより再びスプリント色が強くなり、両レースが差別化できたことは良いことだろう。そして、今年はそれを待っていたかのように、バンブーエールという大物が参戦してきた。
 そのバンブーエールが圧倒的な人気に応えたのだが、松岡正海騎手はレース後まず「ホッとしました」と口にした。ドバイ・ゴールデンシャヒーン4着健闘からの帰国後は、さきたま杯JpnIII(2着)、プロキオンステークスGIII(3着)ともに勝ち切れないまま、クラスターカップJpnIIIを迎えていただけに、どんな形でも勝ちたかったということなのだろう。
 この日は「返し馬で今日はいけると思った」と自信満々の騎乗。徹底先行馬が不在と見るや、自ら先頭に立ってペースを作り、前後半ほとんど差のない平均ペースでそのまま押し切った。絶妙の位置取りから追い詰めた、2着トーセンブライトの安藤勝己騎手が「1200メートルが初めてだったし、もっと差せる流れならば……」と振り返ったように、1200メートル戦の経験、適性はやはり大きいようだ。
 バンブーエールが秋以降の大舞台へ向けて進撃を再開したが、松岡騎手は「距離は1200から1600メートルくらいまで大丈夫。南部杯となるとメンバーも強くなりますけれどね……」と、再度岩手参戦の可能性も示唆してくれた。

 
松岡正海騎手
 2、3番手くらいが理想でしたが、スタートしてペースが遅くなりそうだったので逃げの手に。1頭だと遊ぶところがあるので接戦になるとは思っていましたが、返し馬で具合が良さそうなのは分かりましたし、59キロでも大丈夫だと思いました。 
 
  

 
 

 コパノオーシャンズが出走取消となり4頭となったJRA勢が上位を占めたが、残る掲示板の隅には、「前をこれから追い詰める、というところで脚が止まった」村上忍騎手の地元代表ダンストンリアルを振り切って、リワードパットンと赤岡修次騎手。またも高知勢がグレードレースの入着圏を確保した。
 兵庫からの移籍初戦だったが「初めてのレースでしたがスッと好位が取れたし、勝ちに行く競馬ができました。これならまた……と思いますね」と赤岡騎手。他のお手馬は、と聞くと「ポートジェネラルは放牧中ですが、フサイチバルドルで遠征予定です」とのこと。全国の交流レースで、高知競馬が存在感を増してきていることを、ここ岩手でも実感することができた。

取材・文:深田桂一
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)