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2009年2月22日(日) JRA東京競馬場 ダート1600m


レコード決着の名勝負、成長著しい4歳馬が世代交代

 4年ぶりに地方からの挑戦がなかったフェブラリーステークスGI。ドバイ遠征前の一戦として、ダート初挑戦となるはずだったダイワスカーレットが脚部不安のため引退が決まったのはなんとも残念だったが、それでも近年格段に層が厚くなったダートの一線級が顔を揃えた。
 最大の注目は、カネヒキリがジャパンカップダートからのGI(JpnI)4連勝に加え、同時にGI(JpnI)8勝という日本記録達成なるかどうか。単勝では2.7倍の1番人気支持され、同じ7歳世代のヴァーミリアンが続いた。
 そしてもうひとつの注目は世代交代。7歳の2強に続く3番手に推されたのが4歳のカジノドライヴで、ほかにエスポワールシチー、サクセスブロッケンなど、「7歳馬 VS 4歳馬」という図式で世代交代なるかどうかを盛り上げるマスコミも見られた。
 スタート後の芝からダートに変わるあたりでエスポワールシチーが単独で先頭に立ち、カジノドライヴ、サクセスブロッケンがほぼ併走するように2番手で、4歳勢がレースを引っ張った。直後にカネヒキリ、ヴァーミリアンの7歳2強に、フェラーリピサなどが続いた。
 直線を向くと、やや差のある2番手だったカジノドライヴの手ごたえが抜群で、安藤勝己騎手は何度かうしろを振り返った。おそらく前のエスポワールシチーはとらえられると確信し、うしろから来る有力馬の脚いろを確認していたのだろう。
 ゴール前200メートルでカジノドライヴが先頭に並びかけると、そのまま突き抜けるかという勢いだったが、外からサクセスブロッケン、内からカネヒキリが猛然と差を詰め、ゴール前は3頭の叩き合い。最後にぐいと伸びたサクセスブロッケンがクビ差で先着し、内田博幸騎手の右手が挙がった。カネヒキリはカジノドライヴにアタマ差届かずの3着。
 ゴール前の攻防は、期待をはるかに上回る見ごたえのある大接戦となった。
 勝ちタイムの1分34秒6は、4年前のメイショウボーラーのコースレコードをコンマ1秒短縮するもの。その4年前が小雨の不良馬場で時計の出やすい馬場だったことを考えれば、今回のレコードははるかに価値の高いものといえるだろう。
 そのレコードを演出したエスポワールシチーもカネヒキリから1 1/4馬身差の4着に粘った。5着のフェラーリピサ、6着のヴァーミリアンまで、いずれも道中は中団より前にいた先行勢。しかもその上位は6番人気までの順番が入れ替わっただけ。上位6頭の力は高いレベルで拮抗していると考えてよさそうだ。

      
 
 

 

 勝ったサクセスブロッケンは、前走の川崎記念JpnIでは、カネヒキリとフリオーソの接戦から3馬身差をつけられ3着だったが、このときはスローペースの3番手で、3コーナー手前でペースが上がるまでずっと掛かりっぱなしだった。今回はペースが緩むことがない府中のマイル戦。「折り合いがついて、スムーズな競馬ができた。この馬のリズムで走れたのがよかった」と内田博幸騎手。
 また、藤原英昭調教師は「ここを目標にレースを使いながら調子を上げていた。地方の深いダートで走ってきた経験が生きた」。さらに内田騎手は「馬が成長していますから、これからが楽しみです」と。
 サクセスブロッケンは明け4歳となって成長を見せ、カジノドライヴも2着に入ったことで、世代交代を象徴する名勝負となった考えてよさそうだ。
 最初にも書いたとおり、今回は地方からの出走馬はなかったが、内田博幸騎手、安藤勝己騎手という地方出身騎手のワンツーは、また感慨深いものとなった。

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ


 
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