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2008年12月29日(月) 大井競馬場 2000m

 

驚異の上がり35秒台の争いを制し、完全復活をアピール

 10頭立ては中央との交流になった95年以降で最少頭数だが、やはりそれは中央勢があまりにも強力なメンバーだったからこそだろう。中央の5頭にフリオーソを加えた6頭がGI(JpnI)馬で、そのGIタイトルの合計はなんと24。しかも、いずれもが大井2000メートルのGIを勝っているというのだから、年末のこの大舞台にふさわしいダートチャンピオン決定戦となった。
 ハナに立ったのは6連勝中のブルーホーク。サクセスブロッケンがぴたりと2番手につけ、ボンネビルレコードが今回は早めに3番手の内、外にカネヒキリが併走。ヴァーミリアンはそのうしろを追走。「スタートでミスして遅れました」(戸崎圭太騎手)というフリオーソはさらにうしろの中団からという展開。
 直線を向いて先頭に立ったのはサクセスブロッケンだが、直後に迫っていたカネヒキリとヴァーミリアンが直線半ばで馬体を併せて交わしにかかった。2頭の叩き合いはゴールまで続き、カネヒキリが終始優勢を保ったままクビ差で先着した。
 屈腱炎による2度の手術から立ち直ったカネヒキリは、前走ジャパンカップダートGIでは06年のフェブラリーステークスGI以来2年10カ月ぶりの勝利。今回の勝利で、完全復活なったといえるだろう。
 驚いたのは上がり3ハロンのタイムだ。勝ったカネヒキリが35秒1で、2着のヴァーミリアンは位置取りがうしろだったため、なんと35秒0。近年の大井2000メートルのGI(JpnI)の上がりタイムを見ると、36秒台でもかなり速いほうで、最速は04年帝王賞でのアドマイヤドンの36秒1だった。たしかにレースを見ていて、道中スローで直線ヨーイドンの競馬だったなとは思ったが、それにしても大井のダートで35秒は驚異的。なんと5着のフリオーソまでが35秒台を記録していた。
 直線後退し、2着のヴァーミリアンから2馬身半離されたサクセスブロッケンでも35秒8で上がっていて、走破タイムは2分5秒ちょうど。普通ならこのくらいでも十分に強い勝ち方をしていてもおかしくない。それだけ前で叩き合った2頭の能力が抜けていたということだろう。
 カネヒキリは、常に脚部不安の心配があるため、来年も国内のレースに専念。ヴァーミリアンも3度目のドバイはないと言われているだけに、来年の古馬ダート中距離路線は、かつてない高いレベルでの争いが国内で見られそうだ。

 
C.ルメール騎手
  ペースがそれほど速くなかったし、スタートもよかったので3番手につけられました。直線ではヴァーミリアンとマッチレースになるのを待っていました。ヴァーミリアンにも乗ったことがあり、両方の馬を知っているので、ゴールではカネヒキリのほうが前にいるだろうと思って追いました。  
 
角居勝彦調教師
  ジャパンカップダートのあとも症状は何も出ていないので、これならここを使えるんじゃないかと思って出走しました。往年の力をちゃんと出せるようになって、強いレースを見せられるようになりました。脚元に不安があるので、来年も国内のレースで、とりあえずはフェブラリーステークスに向かうと思います。
 
 


 


 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ


 
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