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2008年12月17日(水) 川崎競馬場 1600m

 

馬なりで後続に5馬身差、デビューから無敵の4連勝

 冷たい雨が降りしきり、馬場には水が浮くほどの不良馬場。2歳のダート王を決定する晴れの舞台としてはなんとも残念なコンディションだったのだが、近年まれに見る豪華メンバーを目の当たりにすると、その瞬間はいてつく寒さも忘れさせてくれた。
 兵庫ジュニアグランプリJpnII優勝を含む3戦3勝のスーニ、北海道2歳優駿JpnIIIの勝ち馬メトロノース、そしてハイセイコー記念を制したナイキハイグレードが単勝10倍以下の人気で三つ巴。ジャパンカップダートGIでカネヒキリを優勝に導いたばかりのルメール騎手やスーパールーキー三浦皇成騎手、女王・宮下瞳騎手の競演も華やいだ。
 しかし終わってみれば、スーニの強さだけが印象に残ったと言っても過言ではない。「スタートはそんなに早くないから、ハナにはこだわりませんでした。4番手が一番いい形だったかも」と手綱を取った内田博幸騎手は振り返る。
 4番手の外目を進み、3コーナーでは楽な手ごたえで2番手に上がると、最後の直線に入ったところでは先頭へ。「落ち着いて走っていたんですが、前走フワフワするところもあったので、軽く気合いを入れたらハミを取って加速しました。早く先頭に立つつもりはなかったんですが、引っ張り合うよりも馬なりで行かせた方がいいかなと」。後続も追いすがるが、その差はどんどん広がる一方で、2着に5馬身つける楽勝。勝ちタイムの1分40秒5は、中央との交流になってから最速。「ちょっと離し過ぎたかな。もっと控えめでもよかったかも(苦笑)」。と内田騎手がおどけてみせるのも、デビュー戦からスーニの強さを肌で感じ取っているからこそだろう。
 10月の新馬戦で2着に7馬身をつけて圧勝し、続く500万条件戦ではレコードタイムで優勝。そして前走の兵庫ジュニアグランプリでは横綱相撲で完勝。デビューから約2か月で一躍スターダムにのし上がったスーニの今後から目が離せない。
 スーニは別格だったにせよ、2着には北海道所属(認定厩舎・ノーザンファーム)でオークス馬トールポピーの半弟ナサニエルが入り、北海道2歳王国の面目は保たれた。「この馬は背中が柔らかいか硬いかで走りもまったく違うんです。今日は返し馬から良くてチャンスもあるかなと思っていました。本当はもっと前で競馬をさせたかったですが……」とデビューから手綱を取っている服部茂史騎手。この馬の潜在能力からすれば、8番人気は評価が低すぎた。気性が勝っているタイプだけに、爆発力は一級品。左回りも問題なかったそうで、今後の選択肢も広がったであろう。

 
内田博幸騎手
  馬の力には乗っている方がびっくりです。これまですべて違う競馬場で走って、それでこういう競馬ができるのは、潜在能力も相当高いんでしょう。(海外へという話しもありますが)僕が乗れるように頑張ります。この川崎で、スーニの素晴らしいレースを見せられてうれしく思います。  
 
吉田直弘調教師
  馬主さんと相談ですが、次は芝を使う可能性もあります。海外遠征のプランもあります。
 
 


 


 

取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ


 
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